読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その39)映画「ア・ハード・デイズ・ナイト」の未公開シーン

ビートルズ ポップス 洋楽

f:id:abbeyroad0310:20160211003044j:plain

映画のストーリーはこうです(ネタバレありなので、これからDVD等を観るつもりの方は飛ばして下さい!)。

 

リヴァプールから来た4人のビートルズと名乗る若者達。ビートルマニアに追いかけられる毎日でしたが、何故かメンバーの一人、ポールのおじいちゃんのジョンが彼らに同行します。因みにおじいちゃんの名前はジョン・マッカートニーです(笑)って、これ、ビートルズが、アメリカのカーネギーホールでコンサートをやった時に、主催者が間違えて印刷したパンフレットに載ってた名前ですよ!覚えてたんですかね?

 

それはともかく、このおじいちゃんがとんでもないトラブル・メーカーで、マネージャーのノームとシェイクを喧嘩させるわ、女学生を驚かせるわ、挙句の果ては見ず知らずの女性と結婚の約束まで交わしてしまいます。そして、リンゴに「若い者は外の空気を吸わなきゃいかん」とかなんとか言ってメンバーを離れるようそそのかし、その気になったリンゴは、テレビの収録があるにもかかわらず、カメラを片手に一人メンバーを離れてしまいます。

f:id:abbeyroad0310:20160211003827j:plain

彼は行く宛てもなくさ迷い歩き、あちこちでトラブルを起こして、とうとう警察に保護されてしまいます。しかし、テレビの収録の時間が迫り、他の3人のメンバーは必死でリンゴを探します。おじいちゃんからリンゴが警察に保護されていることを伝えられ、皆で救出しにかかります。何とか脱出できたリンゴはビートルズに復帰し、時間ギリギリで間に合って無事に収録を終えます。そして、彼らは、再び猛烈に忙しい日々へと戻っていったのでした。

 

さて、どんな映画でもそうですが、この映画にも未公開シーンが幾つかあることは前回もご紹介しました。今回は、その中の一つをご紹介しましょう。

 

ポールは、1964年4月20日に一人で出演するシーンを撮影しました。でも、それは、最終的には編集でバッサリカットされちゃいましたf^_^;そのシーンは、ポールが一人で行方不明になったリンゴを探すという設定でした。ポールは、18才のイスラ・ブレアという女優と会話するシーンを撮影するリハーサル室へ行きました。

 

ポールは、こう語っています。「僕がやるはずだったシーンがあったんだ。古いBBCテレビシアターの近くの角にあるシェパーズブッシュっていうパブの2階でイスラ・ブレアと撮影したのを憶えてるよ。」

「このシーンでは、僕達が恋愛していたように描かれていた。カメラがずーっと回っていて、僕は、彼女を宛てもなく探し回るんだよ。まさに60年代のフランス映画みたいな感じで、それを延々と繰り返さなきゃならなかった。一日中そんなことをやってたよ。でも、そんなことを日常生活の中でやるわけないからうまくいかなかった。ちょっと不自然だったよ。」これがその未公開シーンの一部です。二人がリラックスしている様子なので、カットが掛かっている間かもしれません。

f:id:abbeyroad0310:20160202005350j:plain

レスター監督がそのシーンを使わなかった理由は、もうかなりのシーンの撮影が終わっていて、そのシーンを挿入する余裕がなかったのと、たとえ作り話と分かっていても、ビートルズの1人が若い女性とそんな設定でスクリーンに登場すると、女性ファンが過剰反応してしまうかもしれないと判断したからです。そのおかげで、ポールは、ソロシーンがない唯一のメンバーとなってしまいました。せっかく頑張ったのに残念だったね、ポール(笑)

 

このシーンは、この日とその翌日にブッシュ・パブの上の階にあった、ジャック・ビリングズ・テレビ・スクールというダンス教室で撮影されました。最初の撮影が終わると、ポールは、彼の運転手の運転でブレアを彼女の自宅まで送り届けました。ポールが彼女の家を出ると、彼らは、大勢の女の子達が待ちかまえているのに気づきました。

 

ブレアは、こう語っています。「私は、自分のしたことがどれくらい恐ろしいことだったか想像もしてなかったの。ポールも恐かったと思うわ。彼女達は、彼につかみかかり、私に罵声を浴びせたの。私の髪を引っぱり、ひっかき、引っぱり、叩き、つねったの。とっても恐かったわ。」

 

恐ええ~~~~((((;゚Д゚)))))))ファンの女の子達は、ブレアの自宅まで追いかけて行ったんですね。恐らく彼女がポールの車に乗り込んだのを見て、ブレアの自宅に向かうんだろうと察知し、追いかけたんでしょう。あるいは、公衆電話で同じファンの友人に「私達のポールをあの女が自分の家に連れ込んだのよ‼️絶対許さないわ(♯`∧´)」「何ですって?じゃあ、私がとっちめてやるわヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3」みたいなやり取りがあったのかもしれません。

 

ポールは、何とか車で脱出できましたが、その日以降、ブレアは、彼が繰り返し自宅へ送ると申し込んでも地下鉄で帰りますと断りました。そりゃ、二度とそんな目に遭いたくなかったでしょう。

 

それにしても、ポールの行動は、軽率だったとしか言いようがありません。共演の女優と2人で車に乗っているところを見られれば、ファンならずとも「何か関係があるんじゃないか?」って疑われますよ。今と違って当時の車のウィンドウにはスモークが貼ってありませんから、外から丸見えです。まして、女優の自宅へ行ったと知ったら、女性ファンは怒り狂いますし、マスコミの格好の餌食になります。

 

それに、そんな酷い目に遭ったにも関わらず、懲りずに彼女を何度も誘ったんです。ん?ってことは、彼女にちょっかいを出そうとしてたの?この頃にはジェーン・アッシャーと交際してたのに。おいおい、ダメだろ、そりゃ。っていうか、ポールは、この頃、結構浮気していて、結局それが元でジェーンに愛想を尽かされ、振られてしまうことになります。

 

1970年6月にレスターは、「A Hard Day's Night」で使用されなかったシーンを見ようと、トゥィッケナム撮影所の記録室に行きましたが、映画の未公開シーンを収録したフィルムは、すべて廃棄されていました。そのスタジオには、映画の完成後5年間、未使用のシーンを収録したフィルムを保管し、それを過ぎたら廃棄するという方針がありました。その方針通り、フィルムは廃棄されたのです。

 

つまり、レスターがもう少し早くスタジオを訪れていれば、未公開シーンを撮影した貴重なフィルムを手に入れることができたのです。実に惜しいことをしました。しかし、それにしてもですよ、いくらそんな方針があったとしても、ビートルズですよ、ビートルズ!彼らに関する資料は、どんなものであっても保管しておくべきだったでしょう。

 

しかも、廃棄したのは1969年だと考えられますが、その頃にはもう彼らはスーパースターになっていました。とすれば、何をさておいても大事に保管しておこうと考えるでしょう、フツー?(♯`∧´)

 

犯罪になりかねませんが、関係者が廃棄されようとしたフィルムをコッソリ持ち帰って保管しておこうと思えば、簡単にできたハズです。そして、ビートルズが解散後、オークションに掛ければ、当時のビートルズに関する貴重な資料として、恐らく相当な価格で落札されたでしょう。

 

まあ、今更死んだ子の歳を数えても仕方ありません。話を続けます。廃棄された部分の台本は、以下の通りです。

 

建物の外部、通り。

ポールがリンゴを探して通りを歩いてくる。その通りには、テレビ・リハーサルに最適な古い建物がある。ドアには、「テレビ・リハーサル室」と書いてある。

ポールがその建物に近付くと、たくさんの俳優とエキストラ達が立ち去るところだった。彼らはコスチュームに身を包んでいる。彼らは、セリフのリハーサルを終えて立ち去ろうとしていた。ポールは、建物の入口に近づくと、中に入ろうと決意する。

建物の内部、ホール。

ポールは、建物の中に入ってウロウロする。彼は、ドアを開け、コスチュームに身を包んだ女性を見つける。彼女は、部屋の中を回り、明らかに演技している。ポールは、しばらく彼女を見て、リハーサル室に入ろうとする。

リハーサル室の内部。

ポールは、部屋に入る。女性は、演技を続けている。彼女は非常に若くて、愛らしく演技に熱中している。その部屋にいたのは、ポールと彼女だけだった。彼女は18世紀のフランスの貴婦人のように優雅に振舞っている。もっと正確にいうと、イギリス人が一生懸命にその時代のフランス女性を演じていたのだ。ただ、彼女は、若くとても魅力的だった。

ブレア「私があなたを信じていたなら、私はそうしたかもしれませんし、自分自身で問題を解決するためにその道を選んだかもしれません。私があなたを信じていたなら、私はあなたを好きになった、いえ、愛したかもしれません。しかし、私は、あなたを信じられないのです。あなたは、ただ私の隣に寝て信じて欲しいと乞うだけです。あなたは、自分の目的を達するために私に嘘を付き続けるのです。」

彼女は、想像の中の恋人を頭から消して、その場で軽く踊る。そして、振り返ると、彼女は彼女と同じくらいそのシーンに観入っているポールに気づく。

ブレア:「まあ!(驚く)」
ポール「(熱心に)あの、どうぞ演技を続けて。」
ブレア「出て行って!あなたのおかげで台無しよ。」

ポール「出て行けって、僕に言ってるの?」

ブレア「そう、あなたによ。」

ポール「ああ、ごめん。邪魔しちゃって。」

しかし、それでも彼は出て行こうとはせず、ただじっと彼女を見続け、微笑む。彼女はどうしていいか分からなかった。

(以下略)

 

熱心に演技の練習を続けている女性をポールが見つけ、思わず惹きつけられて観入ってしまいます。彼女は、初めのうちはポールを不審者と思い警戒するのですが、話していくうちに次第に打ち解けていくという設定です。

 

はっきりとは示されていませんが、二人が恋に陥っていくことを予感させるシーンです。この後も結構長いやり取りが続くんですよ。演技に関してはまったく素人のポールが、良くこれだけの長いセリフを覚えたなと感心します。台本を読んだ限りでは、ストーリーとは関係無いですね。だから、カットされたのも仕方無かったかもしれません。それ以前にポールの演技に問題があったのかも(笑)

 

それに、確かに、当時の状況では、このシーンを放映するのはリスキーだったかもしれません。ビートルズが人気絶頂の頃でしたから、ポールのファンの女性がどんな反応を示すか、想像しただけで恐ろしいものがあります。お芝居と現実の区別がつかなくなることは、珍しいことではありません。現在でもそうですし、まして、1960年代なら尚更です。ポールがブレアを車で自宅まで送った時の騒動も知ってたはずですから、これは使っちゃいかんだろうと自主規制したんでしょうね。

 

でも、この未公開シーン、観てみたかったなあ〜 (ー ー;)

(参照文献)THE BEATLES BIBLE, FILM FORUM, THE BEATLES COLLEGE, MOVIE MORLOCKS

(続く)