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★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(号外)ポール・マッカートニーの2017年来日公演の裏話について

2017年のポール・マッカートニーの来日公演について、「もう来ない詐欺」とか「金儲け主義」とか、一部のマスコミが批判的な報道をしています。これについては、別のHPで反論していますのでそちらをご覧ください。

www.studiorag.com

1 ライヴへのこだわり

今回の日本武道館公演の裏話を2017年4月2日のInterFM897で倉本美津留さん、浦沢直樹さん、湯川れいこさん亀田誠治さん、森川欣信さんという自他共に認めるビートルズ・フリークの錚々たる面々が語っていました。

 

亀田さんは、2013年ポールが来日した時に直接取材で会ったことがあるんです。その時に、彼が未だにオリジナルのヘフナーを使い続けていることについて、あんな華奢なベースをツアーに使って大丈夫ですかと聞いたんです。そしたら、運搬する時は大事に赤ちゃんを抱くようにして、飛行機も楽器のためにファーストクラスを抑えているんだそうです。

 

それまでのツアーではリッケンバッカーを使っていたんですが、友人のエルヴィス・コステロからヘフナーを使うように勧められて替えたんだそうです。コステロは、観客がよりビートルズ時代のポールをイメージできると考えたのでしょう。大正解だと思います。ポール・マッカートニー=ヘフナーというイメージがファンの頭の中に出来上がっていますから。特に、ライヴではずっとヘフナーでしたからね。

 

亀田さんによるとポールがセットリストを変えないのは、曲が強いから、つまりどの曲も外せないからではないかということです。でもね、サウンドチェックの時には全然違う曲も演奏してるんです。福岡のリハーサルでは「ユア・マザー・シュッド・ノウ」を演奏しましたが、本番ではやらなかったんですね。

 

私は、サウンドチェックの抽選に応募したんですが、残念ながらはずれてしまいました( ノД`)

 

ポールが3時間ぶっ通しでライヴをやること、そしてその間水分補給を一切しないことは多くのファンが知っています。しかし、湯川さんによると、水分補給しないことにもちゃんと彼なりの理由があるんだそうです。実は、リハーサルの時はちゃんと水分というか、スペシャルドリンクを盛んに飲んでるんです。

 

2014年にポールが来日した際に急病になったとき、日本で彼を診察したドクターからは当然、脳梗塞心筋梗塞のおそれがあるから水分補給すべきと忠告されたそうですが、ライヴの途中で水分補給してしまうと、熱をもって膨らんだ声帯が水で冷やされて、声が変わってしまうのでやらないんだそうです。つまり、ポールは、ステージの上で死んでも構わないという覚悟で演奏してるってことですね。

 

2 日本武道館のもつ特別な意味

2015年に武道館でライヴをやって欲しいと日本側から要請した時に、ポール側のスタッフが何で5万人を集められるアーティストなのに、1万人しか入らない会場でやるのかという疑問を持ったんですね。それはそうでしょう、単純に考えれば客単価が上がりますから、それがチケット代に跳ね返ってしまいます。そして、ポール自身もあの武道館を打ち上げるまでは、それ程の思い入れはなかったようなんです。

 

しかし、日本側のスタッフは、武道館が日本人にとってどれだけ意味のある場所か、ポールがあの場所でライヴをやることがどれほど重要かについて熱心に説明しました。それに武道館はサウンドが良いんですね。

 

私も武道館へ行きましたが近いんです、ポールとの距離が。私は、ポールの左斜め後方の席だったからダメでしたけど、アーティストからは、ライヴハウスみたいに一番奥の観客の顔まで見えるんだそうです。ラッキーなら目と目が合うこともあります。これは実際に武道館のステージに立った亀田さんの証言です。

「ポール 来日 2015 武道館 ユニオンジャック」の画像検索結果 

武道館でのライヴでは、レット・イット・ビーの演奏の際に、コンピュータ制御で観客が腕に着けたリストバンドが、スタンド席はユニオンジャックに、アリーナは日の丸に点灯したんです。ポールは、このサプライズ演出に感激のあまり顔を両手で覆い、しばらく動けませんでした。

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それでポールは、翌日一人で自転車を漕いで武道館へ行き、しばらくそこに佇んで感慨にふけりました。翌日にわざわざライヴを終えた後の会場へ行くなんて、よほどのことがなけりゃそんなことしませんよ。

 

その後のインタヴューで、彼は、その時のライヴがどれほど伝説的だったかを語りました。さらにその後のロンドン、リヴァプールのライヴのステージでも、武道館がどんな素晴らしい場所で、そこにおけるライヴがどれほど素晴らしかったかを観客に語ったのです。

 

翌年の2016年のカナダ、ドイツ、アメリカのツアーでも、会場に日本人がボードを持っているのを見つけると、指をさしてこっちへおいでとか、ステージに上がるように促したりとか、大変な歓迎ぶりだったんです。

3 海外ツアーの開催は容易ではない

湯川さんは、ポールがセットリストを大きく変えないのは、自分が完璧にできる曲を演奏したいと考えているからではないかと推測しています。

 

亀田さんは、ポールのシャウトは凄くフレンドリーだと表現してますね。ラウドなんだけど暴力的ではない、暖かいシャウトだと。分かる気がします。

 

森川さんは、京セラドームで「私は1966年に武道館に行きました」と書いたボードを持って立っていたら、ポールにステージから指をさされて「君、武道館に来てたね。良く覚えてるよ。」と言われたんです。私は、その時そこにいてそのシーンを観てました。ポールのユーモアのセンスに感心したんですが、きっかけはファンが作ったんですね。

湯川さんによれば、ポールは、離婚した前妻のヘザーとの間に生まれた娘のベアトリスと、月14日面会しないといけないと義務付けられているんだそうです。つまり、そんなに長くロンドンを離れることができないんですね。そんな制約があるにもかかわらず、来日してくれるんですよ。

4 著作権問題

これは、上記とは別のお話ですが、ポールには著作権問題が重くのしかかっています。この問題は大変複雑なので詳細は別稿に譲りますが、一言でいえば「ポールは、自分がビートルズ時代に制作した楽曲の著作権を所有していない。」ということなんです。つまり、自分で制作した楽曲にもかかわらず、ライヴで演奏する時は、莫大な使用料を所有者に支払わないといけないのです。

 

ライヴを開催する時は、プロモーターが使用料を管理会社に支払います。そして、管理会社からコンポーザーなどに支払われるのです。ポールがビートルズ時代の楽曲を演奏すると、他のアーティストをカヴァーした時と同じように使用料が支払われます。つまり、プロモーターは、それを見込んで経費を積算しなければなりません。

 

これがいかに巨額かというと、例えば、「イエスタデイ」1曲で全世界で年間3,000万ドル(日本円で約32億5,440万円)が支払われていると推計されています。ポールがライヴを開催する時に、プロモーターが1公演当たりいくらの使用料を支払っているのかは不明ですが、推計すると約900万円近いのではないでしょうか(あくまで試算です)?

 

彼がソロになってからの楽曲については、いずれ管理会社から彼にコンポーザーとしての使用料が支払われますが、ビートルズ時代の楽曲については支払われません。もちろん、他の種類の料金は発生するので0円ということはありませんが、いずれにしてもキツい話です。

「自分の制作した楽曲なのに使用料を支払わないと演奏できない。」契約があるからとはいえ、アーティストにとってこれ程屈辱的なことはありません。ポールは、50年以上もこの屈辱に耐えてきたのです。

 

5 まとめ

つまり、ポールが来日公演を行うことは、それほど簡単ではない。」ということです。上記のような様々な制約をすべてクリアしないといけないんです。こういった背景+HPでご紹介した事情を理解すれば、彼の来日公演をあれこれ批判することはできません。

(続く) 

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