★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その139)ジョン・レノンのヴォーカルの魅力について(その1)

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1 曲に自らの魂を込めた天才

ジョン・レノンは、ヴォーカリストとしても超一流の才能を発揮しました。彼がリードヴォーカルを取るときは、その独特な感性、豊かな知性や様々な経験に裏付けられた魂のすべてを込めたのです。恐らく、こういった才能において、彼の右に出る者はいないのではないでしょうか?

もちろん、これは、プロのシンガーやヴォーカリストなら当然のことです。しかし、恋するウキウキした気持ち、振られた悲しさ、怒り、切なさ、嫉妬、人間とは何か…これらのありとあらゆる感情や想いを巧みに織り交ぜてヴォーカルに乗せることができたのは、彼をおいて他にはいないような気がします。

2 高い知性と豊かな教養

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彼は、労働者階級出身でしたし、家庭環境も複雑でした。しかし、彼は、幼少期から読書を好み、生まれ持った才能に加え、自ら学習することで高い知性と豊かな教養を身につけたのです。

いや、むしろ、そのような生い立ちだったからこそ、彼の作品もヴォーカルもより魅力的に輝いたのかもしれません。彼は、音楽だけでなく文学や哲学などにも強い興味を抱き、良く理解していたのです。

そんなジョンを表すこんなエピソードがあります。彼は、こんなことを語っていました。「僕が5歳の頃、母は『幸せが人生の鍵よ」といつも僕に言っていた。僕が小学校に通う頃になると、先生達が『君は、将来何になりたいんだね?』と尋ねてきた。僕は『幸せです』と答えた。すると先生達は『君は、質問の意味を分かっていない』と言った。僕は彼らに『先生は、人生の意味を分かっていない』と答えた。」

 

驚くべきことにジョンは、小学生の時点で既に人生の哲学を持っていたのです!子どもであれば、例えばサッカー選手になりたいとか、ケーキ屋さんになりたいとか子どもらしい夢を持っているものです。

しかし、彼にとってそれらは手段であるにすぎず、「人生の究極の目標は幸せになることだ」という哲学をもう小学生の段階で持っていたのです。

そして、凡庸な先生達の批判に鋭く切り替えしたのです。「栴檀は双葉より芳し(せんだんはふたばよりかんばし。大成する人物は、幼いときから人並みはずれて優れたところがあることのたとえ。)にピッタリですね。

もっとも、彼の学業成績は、思春期になると急降下してしまいました。彼は、ロックンロールに夢中になり、それ以外のことはどうでもよくなったのです。また、大人に対する反発もあったのかもしれません。

3 ユニークな声

ジョンは、おそらく歴代のシンガーやヴォーカリストの中でも、とてもユニークな声を持っていた一人だと思います。もちろん、エルヴィス・プレスリーフレディ・マーキュリーマイケル・ジャクソンなど偉大なヴォーカリストはみんなそうなんですが、ジョンと似た声の持ち主は、恐らくいないのではないかという気がします。

彼の声域は、B1~A5までだったようですが(諸説あります)、いわゆるエッジの効いた声というか、パンチのある声ですね。しかし、シャウトしている時でもガサツな発声をしていたわけではなく、非常にきめ細かく音程を調整していました。

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ビートルズがブレイクするきっかけとなったのは、彼の声に負うところが大きかったと思います。せっかく素晴らしい楽曲を作ったとしても、ヴォーカルがそれについていけなければ、宝の持ち腐れになってしまいます 

その意味でジョンがユニークな声を持っていたことは、ビートルズがブレイクするための大きな要素の一つだったといえるでしょう。

4 艶っぽい声

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ジョンの声をどう表現して良いのか、なかなか適切な言葉が見当たらないのですが、「艶っぽい」というのが一番的確な表現ではないでしょうか?

特に、しっとりとしたバラードや幻想的な楽曲では、シルクというよりはベルベットのような肌触りの声を聴かせます。ツルッとしてるんじゃなくて、ちょっとザラついてるんですね。そのザラつき加減がちょうど良いんです。

かといってハスキーな歌声ともまた違います。ハスキーヴォイスといえばロッド・スチュワートが代表的ですが、あそこまでカスれてはいません。また、ミック・ジャガーとも違いますね。彼と同じような声を出すヴォーカリストは、他にいないのではないでしょうか?

5 鼻腔共鳴

ジョンのヴォーカルを聴いていると、なんとなく鼻にかかったような声に聴こえませんか?おそらく彼は、「鼻腔共鳴」というテクニックを使っていたのではないかと思います。

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鼻腔というのは鼻の奥にある空間ですが、声をここで響かせることによって美しい響きになります。鼻腔共鳴を使うととても音がクリアに響いて聴こえるのです。  

ジョンがこのテクニックを無意識に使っていたのか、意識的に使っていたのかは分かりません。ジョンは体格が良かったので、頭蓋骨が大きくて鼻腔が広かったのかもしれません。それで、鼻腔共鳴を存分に使えたのではないでしょうか? 

そういえば、インタヴューに応える彼の声も、どことなく鼻にかかった響きがありますね。とすると、敢えてトレーニングしたというよりは、自然に発声できたのかもしれません。

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6 低音域はジョンの独壇場だった

天井をぶち破るかのような高音域は、ポール・マッカートニーの独壇場でしたが、低音域は、正にジョンの独壇場だったといえるでしょう。ポールも低音域はカヴァーできましたが、パワーではジョンが勝りました。

ビートルズの記念すべきデビュー曲、「ラヴ・ミー・ドゥ」では元々ジョンがリードヴォーカルを担当していました。ところがプロデューサー、ジョージ・マーティンの提案で急遽ジョンがハーモニカを吹くことになり、リードヴォーカルをポールと交代しました。流石のポールもいきなりリードヴォーカルを任され慌てました。「緊張して声が震えた」と語っています。

確かに、低音で♫ love me do~ と歌うところは、彼にしてはやや不安定です。後に「あの曲は、低音が出せるジョンがリードヴォーカルをやった方が良かった」と友人に語っています。

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ジョージ・ハリスンは、中音域を担当していましたが、彼の声は、ややか細くリードヴォーカルを取るには、少しパワーに欠けていました。ただ、彼は、コーラスになると抜群の才能を見せたのです。このことについては、また改めてお話しします。

ジョンの発声法は、イメージ的には声を鼻腔共鳴させて、前に放り出すような感じだと思います。パワフルでズドンと腹に響くような感じでしょうか。

7 コンポーザーであったが故の作品に対する深い理解

ビートルズは、自分が作成した作品でリード・ヴォーカルを取ることが殆どでした。自分で作った作品ですから、その意味は誰よりも良く理解しています。

ですから、「この作品にはこのヴォーカルだ。」と自ら最良の選択ができました。ある時は激しくシャウトし、またある時はしっとりとした歌声を聴かせるなど、見事に使い分けていたのです。

例えば、ジョンは、アルバム「ラバー・ソウル」に収録された「ガール」で、イントロ無しでいきなり「♫~Is there anybody going to listen to my story」と少しザラついた感じの気だるい歌声を響かせます。

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この作品の歌詞、メロディー全体に漂うなんとも言えない哀愁は、この声と合わさることで初めて深い味わいを持ったのです。

この曲の歌詞は、彼女は素敵な女だがもう振り回されるのはごめんだ。だから別れたい。でも、別れ話を切り出すと彼女は泣いてすがりついてくる。ああ、どうしたらいいんだろう?そんな内容です。

不思議な魔力を持つ女性に魅入られてしまった主人公が、別れたいけど別れられない。そんなもどかしさを切々とうたっています。そんな歌詞にピッタリのヴォーカルです。

まるで、部屋の中に誰かがそっと忍び込んできたかのように、いつの間にかリスナーの心の奥深くまで入り込み、その魂を揺さぶります。この箇所を耳にしただけでリスナーは、もう陶然とさせられてしまいます。

8 あえてタイミングを遅らせた

ジョンがバラードで使ったテクニックですが、実際の演奏よりほんの少しだけテンポを遅らせてヴォーカルを乗せていました。

上述したガールなどはその典型ですね。🎵~ I tried so hard to leave her~のところです。ほんの気持ちだけ遅らせているんですが、それが気だるさを感じさせ、何ともいえずウットリとした気分にさせられます。

自分で色々と試してみて、この歌い方が一番効果的だと気づいたのかもしれません。

お断りしておきますが、どうやらこのシリーズ、またまた長くなりそうです(^_^;)

(続く)

 

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