★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その141)ジョン・レノンのヴォーカルの魅力について(その3)

「john lennon beatles concert」の画像検索結果

さて、それでは個々の楽曲でジョンのヴォーカルについて検討してみましょう。なお、このブログは「誰にでも分かる」をコンセプトにしていますので、メジャーな楽曲とコアなファンが好む楽曲の双方から選んでみます。

1 明るく元気な楽曲部門

正にビートルズをスターダムに押し上げた一連の楽曲ですね。

(1)プリーズ・プリーズ・ミー

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ビートルズが初めてチャート№1(正確には№2)を獲得した記念すべき曲です。コーラス部門に分類してもおかしくない素晴らしいコーラスも聴かせます。
冒頭の🎵〜Last night I said these words の所からいきなりジョンとポールのパワフルなツインヴォーカルが炸裂します。2人ともありったけのパワーで伸びのある声を響かせています。
「please please me the beatles」の画像検索結果

ジョンは、最初の5小節はストレートに歌い、2番の歌詞のshowのところでしゃくり⤴️(本来の音程の下から入って上にすり上げるテクニック)を入れ、wayの所でフェイク〰(実際のメロディーにさらに音を付けたし、上がったり下がったりする節を付けるテクニック)を入れています。

驚くべきことに、ポールもこのジョンのヴォーカルにピッタリと自分のヴォーカルを合わせています。これが少しでもズレるとあの美しいハーモニーが崩れてしまうからです。

 

そして、🎵〜Come onとジョンのシングルヴォーカルになりますが、その力強さとセクシーさに当時の女の子たちは熱狂しました。

しかも、ポールとジョージが、すかさず🎵〜Come onとリフレインでコーラスを畳み掛けます。心憎いのは、メインヴォーカルの音程は同じなのに、コーラスは次第に音程を上げていくことです。これでリスナーの気分がドンドン盛り上がります。
メインヴォーカルの力強さとは対称的ともいえるコーラスの美しさ。これで曲調にオーケストラのような厚みが加わりました。

デビューから僅か2曲目で、ヴォーカルだけでもこんな革新的な取組みをやったことに驚きを感じます。

(2)テル・ミー・ホワイ

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「歌うのが楽しくて仕方がない」とでも言っているかのような、ジョンの明るいヴォーカルが全編に亘っています。

ジョンのリードヴォーカルはダブルトラッキングされ、テイク4が採用されました。もっとも、コーラスもダブルトラッキングされたようです。

ジョージ・マーティンは、ジョンのシングルヴォーカルのダブルトラッキングをモノヴァージョンでは控え目にしました。彼の意図は、この曲ではコーラスが入るので、ジョンのシングルヴォーカルの部分は、あまり編集しない方がより彼の声の良さが引き立つというところにありました。

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彼は、ヴォーカルをミキシングする際に手動でフェーダーを上下させて調整したのです。この時、ビートルズは映画の撮影でスタジオにはおらず、マーティンやタウンゼントらエンジニア達だけでした。

しかし、ジョンのシングルヴォーカル冒頭の🎵〜well I gaveのところはうっかりフェーダーを下げ損ねたので、ダブルトラッキングになっています。

ステレオミックスでのヴォーカルは、テイク8が採用されましたが、ダブルトラッキングされたものの、ジョンが正確に2回のヴォーカルをやらなかったため(当時ADTはまだ開発されていませんでした)、ちょっとラフな仕上がりになっています。このラフさ加減が彼らしいといえば彼らしいんですが(^_^;)

 

この曲に限りませんが、ジョンは、ダブルトラッキングで正確にヴォーカルを2回繰り返すことが苦手でした。何しろフィーリング第1の人なので、やる度に違うんですよね。

例えば、2番の歌詞では、🎵and if you don't〜とテイク8で歌いながら、ダブルトラッキングではif you don'tと歌っています。ですから、ここがごちゃ混ぜになっていてぎごちなく聴こえます。

そりゃ、違う歌詞を重ねているんですから当たり前ですよね。でも、ジョンは、そんなことにはお構いなしでした。しかし、自分が作った曲ですよ?歌詞なんか間違えないでしょ、フツー?

しかも、そのままリリースしちゃったんです。まあ、この当時はこれ位アバウトだったんですね。

ジョンは、彼が出せる高音域の限界で折れそうになりながらも踏ん張り、堂々たるパフォーマンスを聴かせます。少々のミスはあっても、そんなものはどうでも良くなる程、彼のヴォーカルとリズムギターはリスナーをウキウキした気分にさせてくれます。

なので、コアなファンには人気の高い曲です。

(3)ヘルプ!

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ビートルズが2度目に主演した映画のタイトル曲です。

曲調こそ明るいものの、タイトル通りジョンが「助けて!」という悲痛な叫びをあげています。ビートルズは、人気絶頂を迎えていましたが、その分プレッシャーもハンパなく、リーダーの彼はそれを一身に背負い、もがき苦しんでいました。

ジョンの魂の叫びそのものだったので、ヴォーカルもより心に響きます。簡単に聴こえるかもしれませんが、このヴォーカルはなかなか難しいです💦ポールとジョージのパートも大変なんですけどね。非常にユニークで面白いアレンジをやっています。

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ビートルズお得意のイントロなしでいきなりヴォーカルから始まるパターンです。ヘルプ!と4回シャウトとしていますが、全部が同じではないんです。

最初のヘルプは、少し長めにシャウトしています。といっても、ほんの僅かなので殆ど気がつかないと思いますが(^_^;)パソコンで音声を分析すれば正確な時間が測れると思うのですが、残念ながら私はそういった技術を持ち合わせていません。

最初のHelpで、ジョンはしゃくりを入れています。でも、コーラスになっているから分かりづらいですよね?

ビートルズが本当にスゴいなと思うのは、こういうテクニックを至るところにサラッと散りばめているところです。彼らをカヴァーしてなかなかうまくいかないという場合、こういうところに気がつくかどうかで大きな差が出ると思います。

よほど耳が良い人でない限り、なかなか分からないでしょうね。彼らをカヴァーしていて、譜面通りにできているはずなのに何か違う、おかしいと思ったらこういうところを見直してみると上手くいくかもしれません。

2回目のヘルプは1回目に比べて少し短く、3回目はさらに短くなっています。といっても、これもほんの僅かです。

1回目のヘルプは、ジョンとジョージがユニゾンで、ポールがそこへコーラスを重ねています。そして4回目のヘルプだけジョンが別テイクのヴォーカルを加えています。

ここの部分だけでもこんな複雑なことをやっているんです。おそらく他にも色んなパターンを試してみたんだろうと思いますが、その中でこれが一番良いと判断したのでしょう。もちろん、スタジオでレコーディングして編集していますから、ライヴではこの通りには再現できていません。 

(4)アイ・シュッド・ハヴ・ノウン・ベター

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映画「ア・ハード・デイズ・ナイト」の挿入歌です。列車の中で楽しそうに歌ってますね。もちろん、口パクです(笑)

この曲でもジョンは、ダブルトラックを使っています。映画の中ではポールがユニゾンで歌っているように見えますが、ツインボーカルではなくあくまでもジョンのシングルボーカルをダブルトラックしたものです。

ジョンのダブルトラックはよくズレるとお話ししましたが、珍しくこの曲では殆どズレていません。っていうか、それが当たり前なんですけどね(^_^;)

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ジョンのちょっとザラついた艶っぽいヴォーカルが存分に楽しめます。ファルセットを入れるところもとても気持ちいいですね。この当時の楽曲の中で、彼自身がお気に入りの一つに挙げています。

この頃は、家庭にステレオプレーヤーがまだ普及しておらず、レコードはモノラルヴァージョンが一般的でした。ようやくステレオヴァージョンが出回り始めた頃です。なので、この楽曲もモノとステレオの両方のヴァージョンがあります。

コアなファンの人の中には、モノラルの方が音質が良いという人がいます。考えてみるとそれも当然のことで、モノラルであればテープの幅を全部使えますが、ステレオになると半分しか使えません。とすれば磁性体の密度が落ちてしまいますから、音質がその分だけ落ちるのは当時の技術では仕方のないことです。

さらにいうと、CDよりレコードの方が良いという人も多いですね。確かにデジタルのサウンドより、レコードの方が温かみのあるサウンドに聴こえます。

もちろん、これは好みの問題で、デジタルで最新の技術を使って編集したサウンドの方が良いという人もいます。日本ではCDばかりになっていますが、外国ではレコードも未だに売られています。 

 

(参照文献)THE BEATLES MUSIC HISTORY!

(続く)

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