★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その142)ジョン・レノンのヴォーカルの魅力について(その4)

Remembering John Lennon: Performing Live With The Beatles In 1965

【2】 パワフルな楽曲部門

ジョン・レノンのパワフルなヴォーカルが炸裂する楽曲です。

1 ツイスト・アンド・シャウト

(1)ジョンのシャウトが炸裂!

正にジョンのヴォーカルの代名詞ともいえる至極の名曲です。

かつて彼は、「ロックンロールを言い換えるとすればチャック・ベリーだ」と語ったことがありますが、その言葉を借りて言うなら「ツイスト・アンド・シャウトを言い換えるとすればジョン・レノンだ」と言っても過言ではない程、この作品は、彼のパワフルなヴォーカルの代表的なものであり、これを一番に推すファンも大勢います。

(2)ビートルズのオリジナルではない

これは、ビートルズのオリジナルではありません。バート・ラッセル(・バーンズ)とフィル・メドレーの共作です。1962年にアイズレー・ブラザーズがこの曲をリリースして17位にチャートインさせていますが、実は、この曲を最初にリリースしたのは彼らではなく、アトランティックレコードに所属していたトップ・ノーツというグループで1961年にリリースしています。これがラッセルです。

「bert russell」の画像検索結果

この時のプロデューサーが誰だかご存知でしょうか?知ってたらすごいですけどね。名前を聞けば、ビートルズファンなら誰でも知っている人です。

何とフィル・スペクターなんですよ!後にアルバム「レット・イット・ビー」のプロデュースを手掛けたあの人物ですが、この時は、まだビートルズとの接点は全くありませんでした。

「phil spector 1962」の画像検索結果

ラッセルがこの作品を書いた頃には、アメリカを中心に世界的なツイストブームが起きていました。ツイストというのは、腰をひねりながら踊るダンスのことです。こんな感じですね。曲は、チャビー・チェッカーの「レッツ・ツイスト・アゲイン」です。日本のCMのBGMにも使われたりしたので、聴いたことがあるという方も多いと思います。

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それでスペクターは、ツイストに合うようにアレンジしました。ラッセルは、自分の楽曲のイメージが壊されたので憤慨したのですが、当時は、まだ新人でアレンジに関して全く発言権がなかったため、ただ黙って見ているしかありませんでした。

後にスペクターがビートルズのロング・アンド・ワインディング・ロードにオーケストラとコーラスを勝手に加え、原曲を制作したポール・マッカートニーが激怒したというエピソードがありますが、原作者の意向を無視して勝手にアレンジしてしまうという傾向は若い頃からあったようです。

ラッセルは、スペクターのプロデュースは失敗だったと語っています。ちなみにトップ・ノーツ版はチャートインしていません。それがこれです。そういっちゃなんですが、これじゃあ売れませんわな(;^_^A

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(3)アイズレー・ブラザーズ・ヴァージョン

それで、彼は、改めて自分でプロデュースし、アイズレー・ブラザーズに歌わせて1962年にリリースしました。ツイストナンバーからアレンジを自分の理想的なスタイルに大きく変更し、17位とはいうもののチャートインに成功しました。これも偶然ですが、ラヴ・ミー・ドゥの最高位と同じですね。

ビートルズが聴いたのは、こちらのヴァージョンです。もし、このアイズレー・ブラザーズ・ヴァージョンがなければ、ビートルズがカヴァーすることもありませんでした。

この曲は、ビートルズが下積み時代からずっと演奏し続けていた曲であり、彼らの原点ともいえる曲です。アイズレー・ブラザーズのヴァージョンはこちらです。

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ツイスト・アンド・シャウトが成功したことで、アイズレー・ブラザーズは、独立して自分たちのレコード会社を立ち上げ、当時無名のギタリストを1965年にデビューさせました。

そのギタリストの名は、ジミー・ジェイムスです。といっても誰のことだか分かりませんよね(^_^;)もし、分かるとしたら、あなたは60年代の洋楽に相当詳しい人です。

そう、それがあの天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスだったのです。運命というのは不思議なものですね。

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(4)唯一無二のジョンのヴォーカル

オリジナルを聴けば分かるように、ツイスト・アンド・シャウトは、もともとラテン音楽をベースにしたリズム・アンド・ブルースでした。それをビートルズは、ロックンロールにアレンジしたのです。

そして、彼らのすごいところは、どんな作品でも彼ら流のアレンジを加えて、完璧にオリジナルを凌駕してしまい、あたかも自分たちのオリジナルであるかのような作品に仕上げてしまうところです。

この作品もその代表の一つです。この曲をレコーディングした時、ジョンは風邪を引いていて喉がガラガラの状態でした。とてもヴォーカルをレコーディングできるような状態ではなかったのですが、なにしろこの頃のビートルズは、既に分刻みのスケジュールに追われていて、レコーディングできる時間が限られていたのです。 

それでジョンは、ミルクでうがいをし、のど飴を舐めながら喉の調子を整えて、もうこれが最後だという感じで、ありったけの声を振り絞ってレコーディングしました。これは結果論だから何とも言えませんが、むしろ彼がそんな体調だったからこそ、逆に彼の全身全霊を込めたヴォーカルが花開いたのかもしれません。

この曲に関しては、これまでもそしてこれからも、彼を超えるヴォーカルができるシンガー、ヴォーカリストは現れないでしょう。それほど彼のヴォーカルには鬼気迫るものがあります。

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この曲もジョンは、自分が出せる音域の限界に達していました。ですから、彼が完璧な状態であったとしても、かなりしんどい曲であったことには違いありません。

実は、彼のこの時のヴォーカルは、音程が不安定に揺れていて完璧ではなかったんです。しかし、そのことが逆に何ともいえないグルーヴ感を醸し出すことになりました。そんなところは、つくづく天才だと思いますね。

ポールとジョージのコーラスが上手くジョンのヴォーカルをサポートしたことも非常に効果的でした。最後のWell shake it, shake it, shake it, baby nowの部分は、彼がありったけの力を込めて歌いました。これぞまさにロックンロールだという見事な野性味に溢れるシャウトです。 

(5)コーラスも抜群!

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おまけにこの曲は、シンプルではありますがコーラスもまた素晴らしいんです。♫Ah〜とジョン、ポール、ジョージの見事な三声のコーラスが入ります。誰がどのパートをどのように担当しているか分析してみましょう。

最初にジョンが♫Ah〜と歌い、一旦息継ぎします。再び音程を上げて♫Ah〜と歌います。その上へジョージがヴォーカルを重ね、一旦息継ぎし再び音程を上げて♫Ah〜と歌います。さらにポールがヴォーカルを重ねます。

ポールは、最後に♫Ah〜とコーラスを入れて音程を3段階に上げています。いやはやその高いこと(;^_^Aしかも、♫Whao!とシャウトまで入れています。この曲ではシャウトはジョンも入れていますが、ジョージは入れていません。

♫ooh~とファルセットを入れていますが、ここも三声のコーラスになっています。何度も言いますが、ギターやベースを弾きながらですからね。どうしてこんなことができるのか、彼らの天才ぶりにはただただ感嘆するよりほかありません。

 

この曲がある意味、ビートルズのパワフルな楽曲の原点だったといえるかもしれません。ビートルズの後期に、彼らは、レボリューション、ヘルター・スケルター、アイ・ウォント・ユー(シーズ・ソー・ヘヴィー)などのパワフルな楽曲を制作しましたが、その原点にはこの作品があったような気がします。

この曲が収録されたファースト・アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」をレコーディングする際、アルバムとしてリリースするには、どうしても1曲足りないということが分かり、全員で話し合ってどの曲にするかを決めました。それがこの曲です。

間奏になるとアイズレー・ブラザーズのヴァージョンではトランペットが演奏しているハーモニーをジョンとジョージがギターでハモり、サックスの音をポールがベースで弾いています。つまり間奏ではコードを弾くギターが無くなっているのです。

しかし、音の隙間はしっかり埋まっていて、見事なアンサンブルになっています。ギターサウンドにしたことでロックのイメージが強くなり、ビートルズらしい楽曲になったといえるでしょう。

すいませんm(__)m解説が長くなりすぎたので、ここら辺りで切り上げて、続きは次回に回します。このブログを立ち上げて2年になりますが、一曲の解説で回をまたいだのはこれが初めてです(;^_^A (参照文献)THE BEATLES MUSIC HISTORY, The Beatles Bible、真実のビートルズサウンド「完全版」

(続く)  

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