★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その158)アルバム「ビートルズ・フォー・セール」リリース(その4)

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1 レコーディング・テクニックの進歩とメンバーの距離感の拡がり

(1)テクニックの進歩がビートルズにもたらしたもの

やがて、レコーディング・テクニックが進歩して別々に音源をレコーディングできるようになると、みんなが一緒に演奏するという昔ながらのスタイルは採らなくなっていきました。

テクニックが進歩したおかげで、ビートルズは、レコーディングの負担が減るという恩恵を受けることになりましたが、その反面、彼らの結束力が弱くなってしまったこともまた事実かもしれません。

(2)「ハニー・ドゥント」はジョンも歌っていた

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前回の記事でリンゴが「ハニー・ドゥント」のメインヴォーカルを担当したとご紹介しましたが、実はBBCのライヴでは、ジョンがこの曲を歌っています。リンゴが歌うとほのぼのとしたカントリーになるんですが、ジョンが歌うとロックンロールに一変します。

やはり、ヴォーカルではリンゴはジョンにかないませんね(^_^;)でも、リンゴのほのぼのとした歌い方も、彼の人柄がにじみ出ていて良いと思います。

2 ジャケット写真の撮影

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(1)ロバート・フリーマンが撮影

有名なこのアルバムのジャケット写真は、やはり前回の「ウィズ・ザ・ビートルズ」と同じカメラマンのロバート・フリーマンが、ロンドンのハイド・パークで撮影しました。

ポールは、こう語っています。

 

「ジャケット写真は、ロバート・フリーマンが撮影したけど、なかなか良かったよ。簡単だった。2時間しか掛からなかった。カッコいい写真が何枚か撮れたよ。ハイドパークのアルバート・メモリアルで撮影したんだ。」 

これがフリーマンです。

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彼が撮影したビートルズの写真の中ではこれが有名ですかね?他にもまだ沢山ありますが。

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ジョージのヘアスタイルが特に印象的だったね。彼は、小さなカブみたいな形にしようとしていた。大体、カメラマンは、僕達に『もっと良い衣装を着てくれ!』って言うんだ。だって、僕達は、何時も同じような衣装を着てたからね。黒い上着に白いシャツに黒いマフラーさ。」

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(2)疲れた表情は演出だった

ノーマンの写真では、ビートルズは青白く笑顔もない顔で、衿も曲がっていてとても疲れているように見えました。しかし、これはあくまで演出だったんです。アルバムタイトルは小さな活字で、EMIやパーロフォンのロゴより小さく、ビートルズの名前はどこにも無かったのです。

 

アルバムの内側の写真は、彼らが1964年2月11日にワシントンDCのコロシアムでコンサートをやった時のもので、フリーマン自身が誇りに思っている作品の一つです。その隣は、ビートルズが、トゥイッケナム撮影所にあった映画「ア・ハード・デイズ・ナイト」のコラージュ写真の前に立っている姿を撮影したものです。

3 秀逸なデレク・テイラーのイナーノーツ

ビートルズの広報担当者であったデレク・テイラーは、アルバム中のライナーノーツ(解説文)にこう書いています。左側の人物です。

f:id:abbeyroad0310:20180218004010p:plain「これは、ビートルズにとって4枚目のアルバムとなる。『ビートルズ売出し中』といっても、もちろん、彼ら自身が売り出されたわけではない。君は、このアルバムを買うことができる、いや、買うだろう。もし、この解説を読まないんなら、汚い指紋は付けないでくれ。」これがライナーノーツの一部です。

「全てが今流行している曲だというわけではない。しかし、カヴァー曲にもお金に換えられない歴史がある。」
「誰もみな若返ることはできない。ある世代の子どもが放射能を浴び、タバコをふかしながら土星をピクニックし、ビートルズのこと全てについてこう尋ねる、『本当に彼らのことを知ってたの?』と。」
「universe travel saturn」の画像検索結果「その時にはロングヘアだとか絶叫だとかなど、全てを説明しようとしないで欲しい。ただ、このアルバムから2,3曲を選んで聴かせてやることだ。そうすれば、彼らは全てを正しく理解できるだろう。西暦2000年の子ども達は、我々が今日感じる快適で暖かな感情に包まれるだろう。」「little school boys girls」の画像検索結果

私が思うところ、ビートルズが仕掛けるマジックは、時も世代も越える。それは、全ての国境や障壁を破壊した。それは、人種や世代、階級の違いも乗り越える。それは、世界中から愛されている。

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「このアルバムは、ビートルズ・サウンドのいくつかの愛すべき見本を見せてくれている。例えば、類い稀な存在である、ジョン・レノンポール・マッカートニーにより制作された8つの新曲があり、過去10年間のリズミックな曲から選び抜かれた6つの曲、例えば『カンザス・シティー』や『ロック・アンド・ロール・ミュージック』がある。驚きだ。」

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「このアルバムの制作には、多大な時間と昼夜を問わない努力が注ぎ込まれた。多くの作品のような、クリスマスに間に合わせようと安直に仕上げた抱き合わせ商品ではない。」
「レノン・マッカートニーの少なくとも3曲は、ジョンが『アイ・フィール・ファイン』をヒットさせるまでは、真剣にシングル・カットが検討された。
 
 
 
『エイト・デイズ・ア・ウィーク』『ノー・リプライ』『アイム・ア・ルーザー』の3曲である。どの曲もチャートのトップになったであろうが、このアルバムに収められることになり、他のアーティスト達にとって練習にもなった。」
「他のアルバムでもそうなのだが、ビートルズは、市場がいつも彼らに求めるよりも多くの作品を棄ててしまっていたのである。」
ビートルズと彼らのレコーディング・マネージャーであるジョージ・マーティンは、効果を狙ってのことであるが、レコーディングの際に少しばかり細工というか、トリックを仕掛けている。」
「つまり、幾つかの斬新な仕掛けを滑り込ませているのである。『ミスター・ムーンライト』では、ポールが曲をドラマティックにするためにハモンド・オルガンを演奏したり、そして、これは初めてのことなのだが、ジョージ・ハリスンが古いアフリカの太鼓を叩いた。これは、リンゴがスタジオの他の場所でボンゴを叩いていたからである。ジョージのドラミングは、曲の中に残っている。ボンゴは後で挿入された。」
「paul mccartney beatles for sale hamondo organ」の画像検索結果「『エヴリ・リトル・スィング』では、リンゴがティンパニを叩き、『ロック・アンド・ロール・ミュージック』では、ジョージ・マーティンがジョンやポールと共にピアノで参加している。『ワーズ・オヴ・ラヴ』では、リンゴがパッキング・ケースを叩いた。」

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「1964年のこれ以上はないシンプルなレコード制作だった。世界のこの種のものの中で最も優れているといえる。ステージで再現されなかった曲は殆ど無いと言っていい。ポップ・ミュージックを学んでいる学生や評論家なら分かると思うが、これはそうそうあることではないのである。」
今なおベストなアルバムはできていないとジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人は明言している。その全てにおいて、4人が世界中を虜にしたことが知られているにもかかわらずである。」
「ありのままのジョン、メロディックなポール、ジョージの曲、リンゴのおまけが付いていてもである。誰が何をしたのか正確なことを知りたい人は、それぞれのタイトルに沿って詳細を記載している。」

4 ライナーノーツの予想通りになった!

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私が改めてこのライナーノーツを読んでスゴいと感じたのは、テイラーが1964年の時点で2000年を迎えてもなお彼らの楽曲が色褪せず、多くのファンに支持されているであろうことを予想し、実際その通りになっていることです。おそらく、ビートルズのライナーノーツの中で最も優れたものといえるのではないでしょうか?

もちろん、彼は、超能力者じゃありません(笑)しかし、ビートルズが、デビューアルバムから一貫して、常に新しいことに取り組んでいたことを理解していたんです。

5 このアルバムも大ヒット!

このアルバムは、1964年12月4日にリリースされ、12日にチャートインしました。チャートNo.1だった「ア・ハード・デイズ・ナイト」と入れ替わりにNo.1を獲得し、7週間連続でそこに留まりました。1965年2月27日に再びNo.1に返り咲き、1週間キープしました。そして、5月1日から3週間No.1を続けました。

最終的には46週間チャートインしました。このアルバムがリリースされる1か月前には、既に50万枚以上が発注されました。そして店頭に並んでからは75万枚が売られ、アルバムとしては史上最高の売り上げを記録しました。

さて、このアルバムについてのお話は以上です。

 

 

(参照文献)THE BEATLES BIBLE

(続く)

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