★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その161)「ラバー・ソウル」と同時進行〜ビートルズのファン・クラブ会員向けの希少なレコード(その3)

「beatles 1965 john lennon」の画像検索結果

 1 1964年版の続き

(1)ビートルズが大ブレイクした1年を振り返りファンに感謝した

ビートルズは、実はしっかり台本を読んでいたという事実を隠し、アドリブ感を出すために、何の努力もしていない風を装っていました。台本にはギャグが書き込まれていますが、読めないような手書きです。 

前回はジョンが口火を切りましたが、今回はポールが最初に話しています。「こんにちは、ポールです。今年も僕たちのレコードをたくさん買ってくれてありがとう。」 

「beatles 1964 paul talk radio」の画像検索結果

ポールは、「君たちが僕たちのレコードを聴いて楽しい気分になったことを願っているよ。僕たちがそれらを溶かして(melting)楽しい気分になったみたいにね。」と話しました。すると他のメンバーが笑ったので、ポールは言い間違えたことに気がつき、「いやいや、間違えちゃった。レコードを作った(making)みたいにね。」 

まあ、これはジョークでわざと間違えたんでしょうね。

「このスタジオで『Love Me Do』をレコーディングしたんだ。もう何年も前のような気がするね。じゃあ、楽しいクリスマスと新年を迎えてね。」

 

ジョンは、いつものようにウィットに富んだセリフを吐いています。そして、わざと「次、2ページ目」などと話して、これが純粋なフリートークではなく台本があることをリスナーにバラしてますね。

「beatles 1965 john lennon」の画像検索結果

ジョージは、映画「ハード・デイ・ナイト」を沢山のファンが観てくれたことに感謝した後、次の映画がカラーであることを明かしました。もちろん、「ヘルプ!」のことですね。

「beatles 1965 george」の画像検索結果そして、またジョンが出版した自分の本「A Spaniard in the Works」をちゃっかり売り込み、「ただのごみだけど、それほどお金はかからないよ。」と付け加えました。ドイツのハンブルグのクラブ時代に、ドイツ語の俗語からビートルズというバンド名を思いついたことは、彼らの音楽の源泉となったと語りました。

最後に全員でアイルランド民謡の「Oh, Can You Wash Your Father's Shirts」を適当に歌い出し、「クリスマス!」と叫びました。

(2)アイドルによるトーク番組の走り?

現代のアイドルによるトーク番組の走りとまでは言えないものの、アイドルが公式ファン・クラブ会員限定とはいえ、彼らのフリー・トークを聴かせるのは、当時としては珍しかったと思います。

日本でもそうですが、当時、芸能人は雲の上の存在であり、なかなか彼らの素顔を見ることは現代以上に難しかったのです。

 

ファンが彼らと接する機会は、レコードかテレビ、ラジオなどに限られていました。ビートルズはライヴを盛んに行っていましたが、当時の劇場の収容人員からして、チケットを手に入れること自体が至難の業でした。

そんな彼らが音楽ではなく、フリートークで話しているのを聴けるのですから、ファンにとってはたまりません。

2 「The Beatles' Third Christmas Record」(1965) 

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(1)最初のレコーディングは失敗だった

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ビートルズの1965年のクリスマス・レコードは、10月19日、ロンドンのマーキー・スタジオにメンバーが集まり、ファンへの楽しいクリスマスのあいさつで、大いに盛り上げようとしたのですが、出だしからつまづいてしまいました。

創造性に満ち溢れたアルバム「ラバーソウル」のセッションが始まった週で、ビートルズなら何でもできるかのように思えたのですが、マジックが実現しなかった一例となりました。

「beatles 1964 bbc」の画像検索結果

この日のレコーディングでカットされた部分からすると、ビートルズが架空の海賊ネットワーク「ラジオ・ビートル・ピープル」なるショーを設定し、緻密に野心的な計画を練り上げていたようです。

しかしながら、メンバーにあまり熱が入っているようには思えません。彼らは、ジョークや話の進行をアドリブでやろうとしていました。しかし、うまくいかずアウトテイクとしてカットされてしまいました。

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ポールは、ドイツ製のパイプオルガンでスタジオに風のような音を響かせ、ジョージは、ジョンがモハメド・アリのモノマネでボクシングの試合の実況中継のスポーツ・コメンテーターを演じています。

結局、ちゃんとした台本を作らなかったのが失敗の原因でしょう。彼らはミュージシャンであり、コメディアンじゃないんですから。

(2)ブッチャー・カヴァーのヒントにはなったかも?

ただ、唯一の救いともいえる点は、このセッションに参加していた写真家、ロバート・ウィテカーに、赤ちゃんが生まれて初めて話すクーイング(喃語)がバックで流れたことで、インスピレーションを与えたかもしれないということです。

5か月後、彼は、アルバム「Yesterday and Today」で、あの歴史に名を刻んだ「Butcher Cover」という強烈なインパクトのある写真を撮影しました。残念ながら、それはリリース直後、あまりに刺激的過ぎるということで回収されてしまいましたが。

「「Butcher Cover」」の画像検索結果

(3)あまりに取り止めがなさすぎ

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「ジョン、君が僕たちに色々と言いたいことがあるのは分かってるよ。」とポールはレコードの途中でジョンに語りかけました。ジョンは、「僕は、長い間、このことについて君に話す機会がなかったよね。色々なこと全部だけど。」と応えました。

 

驚きなのは、あれ程結束の固さを誇っていた彼らが、実は、普段から充分なコミュニケーションを取れていなかったことを窺わせる会話をしていることです。当時の彼らは、あまりにも忙しすぎて、じっくりと話し合う機会すらなかったのです。彼らは、非常に強く結ばれていましたが、次第に距離が広がっていくようになります。

まだこの頃は、彼らの結束は固かったのですが、この後、コンサートの中止、ブライアンの死という出来事があり、次第にメンバー間の距離が離れていきます。

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このレコードでホストとチアリーダーの役割を果たしているポールは、メンバーを引き続きリードします。

「僕たちは、努力してこのレコードを何とかまとめなきゃいけない。それにはもう2時間かかるだろうけど、それで多分何かが得られるだろうね。」

彼は、まとまりのつかないレコーディングになっていることに焦ったんでしょうね。彼らは、「The Holly and the Mustard」と「Silent Bonfire Night」というクリスマス・ソングを少し歌いました。一応これでクリスマスレコードとしての体裁は整いましたが、結局出来が悪く採用されませんでした。

(4)一からやり直し

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ビートルズは、11月8日にアビイ・ロード・スタジオで再びレコーディングにチャレンジしました。

彼らがレコーディングに苦労していたことに気づいたプロデューサーのジョージ・マーティンは、ジョージの「Think For Yourself」をその日の早い段階でテープに取り入れ、スタジオでの彼らの会話と合わせることで魅力あるものにしようと考えました。

結局、それは使われなかったのですが、バッキングボーカルの一部は、後に映画「イエロー・サブマリン」で使われました。

(5)ようやく完成

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このテイクは、真夜中にレコーディングされ、「Yesterday」のクリスマス風の替え歌から始まり、「クリスマスが近づいていることを忘れちゃいけないよ!」とのリンゴのコメントを幕開けに、メンバーは終始ジョークを言い合っています。

「ringo starr 1965」の画像検索結果「今年も誕生日やクリスマスのプレゼントやカードを送ってくれて本当にありがとう」と繰り返し語られている彼らのファンへの感謝のコメントが印象的です。

ジョンがFour Topsの「It's the Same Old Song」を歌い出した途端、マネージャーのブライアンは、慌てて「ジョニー、著作権!」と叫んですぐに中断させました。他人の曲を無断で使っちゃマズいですよね(^_^;)

「Eve Of Destruction」の画像検索結果

それどころか、彼らは全員で、バリー・マクガイアの「Eve Of Destruction」というヴェトナム戦争に対する反戦歌のパロディーを歌い出したのです。普段から「ヴェトナム戦争のことは口にするな」と固く禁じていたブライアンは頭を抱えました。もっとも、ジョンは、1966年のインタヴューでこの曲は理解できないと批判しています。

「rubber soul」の画像検索結果そんなこんなでドタバタしましたが、同時にレコーディングした「ラバー・ソウル」は不朽の名作となりました。やっぱり、本業が一番ですね(笑)

 

(参照文献)RollingStone

(続く)

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