「With The Beatles」の話を続けます。7月18日(初のレコード・セッション)の時に、ビートルズは4曲のカヴァー・ヴァージョンに取り組みました。
「You Really Got A Hold On Me」、「Money (That's What I Want)」、「 Devil In Her Heart」、「Till There Was You」です。特に最初の2曲は、「Please Please Me」に収録されたカヴァー曲のどれよりも後々に影響を残し、それまでのビートルズにおける最もすばらしいレコーディングとして記録されています。
私は、個人的には「Money (That's What I Want)」が1番好きですね。これは、1959年に後にモータウンとなるタムラ・レーベルからバレット・ストロングがリリースした曲です。プロデューサーのジョージ・マーティンがピアノを弾いているんですが、これがワイルドで曲に重厚な感じを加えています。特に、イントロがたまりませんね。
「With The Beatles」がリリースされる頃には、ファースト・アルバムの「Please Please Me」は7ヵ月間イギリスのアルバム・チャートのトップでしたが、それと入れ替わりにトップになり、21週間そこに留まりました。デビュー・アルバムの成功と併せて、ビートルズは、チャートのトップを51週連続で独占し続けました。
これは、LPレコード(long playing recordの略称で当時はそう呼んでいました。)が少数のヒット曲とそれ以外の曲で構成されるのが一般的だった1963年当時としては、非常に珍しいことでした。シングル曲を一曲も入れないなんて、よほど売れる自信があったんでしょうね。
リリース前にもう30万枚の予約注文が入り、「With The Beatles」は成功したも同然でした。公式リリースの4日前の11月18日に、ビートルズは、25万枚売上げたために、その時点でシルヴァー・ディスク賞まで与えられました。発売の7日後には50万枚以上を売り上げ、1964年1月中旬までに、88万5千枚まで増加し、さらに年末までには93万枚が売られました。
(2)「Fab4」という言葉の誕生
ビートルズの広報担当者だったトニー・バーローは、前の「Please Please Me 」に引き続いてこのアルバム中の解説を書きました。「このアルバムには、多くのステージでビートルズが好んで演奏した曲を含む14曲が両面に収められている。彼らは、成功したファースト・アルバム『Pleas Please Me』で用いた『成功の方程式』を繰り返した。すなわち、彼らが最も賞賛するアメリカのR&Bアーティストのレパートリーから選んだ曲と一緒に、彼らのオリジナルの作品8つをレコーディングしたのだ。」