★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その109)ジョン・レノンのギター・テクニックについて(その4)

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ジョン・レノンのギター・テクニックについて、引き続きお話しします。今回は、アコースティックギターについても触れます。

1 ロング・トール・サリー

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この作品は、イントロなしでいきなりポールの天井を突き破るかのようなハイ・トーン・ヴォイスが炸裂し、彼のメロディアスなベース、ジョンとジョージのギターとリンゴのドラムが刻む強烈なビートが続きます。

 

珍しくジョンとジョージの2人がそれぞれ異なるソロ・パートを弾いています。1回目の間奏のソロがジョンですが、いかにも彼らしいパワフルで弦を殴り付けるかのような激しいストロークで、この作品を盛り上げています。「ユー・キャント・ドゥ・ザット」と同じような奏法ですね。2回目のジョージのソロと聴き比べて下さい。上がジョン、下がジョージです。

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ジョンは、自分のソロを弾き終わると、本業のリズム・ギターに戻って演奏を続けています。このソロをだれが弾いているかについては異説もあるのですが、サウンドの特徴からして間違いないのではないかと思います。

 

ライヴ映像でもジョンが弾いているっぽいのですが、肝心の左手があまり写っていないので正確には確認できません(^_^;)ただ、明らかに2回目のソロはジョージが弾いているので、やはり、1回目はジョンでしょう。

 

ステレオでは左右からジョンとジョージのギターが聴こえますが、これはワンテイクでレコーディングしたものをジョージ・マーティンがミキシングで振り分けたものです。

 

2    シーズ・ア・ウーマン

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この作品もジョンのカッティングが決め手です。ただ、それ程難しいテクニックを駆使しているわけではありません。にもかかわらず、ドキュメンタリー映画「エイト・デイズ・ア・ウィーク」のエンディングにも使われたこの曲のスリリングなイントロを聴いてワクワクしない人はいないでしょう。

 

ジョンは、イントロをダブル・トラックしています。恐らくサウンドに重厚さを与える効果を狙ったのではないかと思われます。メイン・ヴォーカルがスタートしてからは、コードは、A7、D7、E7の繰り返しですが、ストロークのタイミングを微妙にずらしています。

 

オン・ビートも長めの箇所と短めの箇所がありますが、これが意識的なものなのか、フィーリングから来るものなのかは分かりません。また、ミュートやスライドを入れて、独特のグルーヴ感を出しています。7thもチョーキングを入れて変化を付けています。

 

相変わらずシンコペーションを巧みに挟み、オフ・ビートでノリを出しています。ただ、テイク1ではそれを入れておらずテイク2から初めて入れたのは、恐らくその方がノリが良くなると判断したからでしょう。

 

ポールは、このジョンのオフ・ビートを「作品全体を同じ調子で水彩画のように塗りつぶすことをせず、キレの良いリズムを刻んでいる」と賞賛しています。 

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この作品は、アメリカのハリウッド・ボウルでのライヴ・パフォーマンスが最高の出来ではないかと思います。メンバー全員が絶好調だったんでしょうね。

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しかし、この当時は、野球場での野外ライヴで、観客の絶叫で耳がおかしくなるような状況でした。おまけに機材もそんな大観衆の絶叫に耐えられる代物ではありません。ジェット機のエンジンのような騒音で彼らの演奏は殆ど聴こえず、流石のマーティンも当時の技術でのレコード化を断念した程です。

 

ビートルズが演奏した当時はステージに返しのスピーカーが無く、自分たちの出しているサウンドすら、絶叫にかき消されて把握できなかったのです。現代のライヴではありえませんが、環境に技術が追い付いていなかったんですね。リンゴは、ジョンやポールの肩や足の動きで、この辺りを演奏しているなと見当を付けて演奏していました。

 

ずっと後になって技術が進歩し、この収録はCD化されましたが、驚くべきことにビートルズは、この劣悪な環境下でも完璧に演奏していたのです。これでもなお彼らの演奏テクニックを批判できるでしょうか?

 

3 ユーヴ・ガット・トゥ・ハイド・ユア・ラヴ・アウェイ(悲しみはぶっとばせ)

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これは、ビートルズがアメリカンツアーを初めて行い、ボブ・ディランと面談して彼の影響を強く受け、ジョンが作った曲です。それまでの明るいラヴソングから一転して、内省的で悲観的な内容の歌詞になりました。

 

ジョンは、フラマスのフーテナニー12弦アコースティックギターという珍しいギターを弾いています。レコーディングの際、マーティンは、あまりディランっぽくならないようジョンに指示し、ジョンもそうしたつもりだったのですが、結果的には、やはりディランの影響が色濃く出ていることはポールも認めています。

 

それまでエレキギター一色で演奏してきたビートルズが、初めてアコースティックギターを前面に押し出した作品です。これでビートルズの作品に一層の幅と深みが加わりました。

 

「アンド・アイ・ラヴ・ハー」はこれより前の作品ですが、その時は恋人を想う甘く優しいメロディーだったのに対し、この作品では失恋した男のやり場の無い哀しみをアコースティックギターと切々としたヴォーカルで表現しています。

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8分の12拍子という変則的なリズムですが、ロー・コードだけなのでフィンガリングが忙しい割には、弾き語りがそんなに難しい作品ではありません。ですから、ストリート・ミュージシャンは好んでこの作品を演奏します。

4 デイ・トリッパー

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ビートルズの数ある作品の中でも1、2を争う余りにも有名なギター・リフで、ジョージが弾いているものも含めてジョンが作りました。とジョンが言ってるので間違いないでしょう(笑)ジョージも否定してませんし。それぞれのパートを比較してみましょう。

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5 アイム・ルッキング・スルー・ユー

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この作品も、ジョンのアコースティックギターの腕を見直す良い作品かもしれません。複雑なリズムの取り方とフィンガリングに彼の才能を見ることができます。

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それにしてもまあ、コードチェンジの忙しいこと(^_^;)この後、ジョンは、「ディア・プルーデンス」など多くの作品で、アコースティックギターの才能を見せることになります。

 

6    ノーウェジアン・ウッド(ノルウェーの森)

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ジョージのシタールが注目されがちな作品ですが、そもそも彼にシタールでリフを入れるように求めたのはジョンです。また、ジョンのアコースティックギターもなかなか捨てがたい魅力があります。

 

ジョンは、イントロから単にコードストロークで終わらせることをせず、作品全体で定期的に繰り返されるメロディーラインを同時に提供します。これによりリスナーに対し、「ああ、次にこんなメロディーが来るんだろうな」との予測と安心感を与えます。カポを2フレットに装着し、全体的にメリハリの効いたサウンドで、良いリズムを刻んでいます。

 

右手でメロディーを刻まないといけないので、今どの辺りを弾いているのか神経を集中する必要があります。一応、譜面上は8分の6拍子になっていますが、実際にはレコードかCDを聴いて耳コピしないとあのニュアンスは出ません(^_^;)小指で3弦の4フレットをハンマリングすると、「once had a」辺りのあのカッコいい「トゥイ~ン」というサウンドが出ます。

 

ジョンは、最初のヴァージョンではバックグラウンドでギターをストロークするというシンプルなアレンジを選択しましたが、それに満足せずやり直してもっとギターを前面に出すことにしました。彼の決断が正しかったことは、作品自体の仕上がりの素晴らしさが証明しています。

(続く)

(参照文献)All You Need Is The Beatles, The Beatles Rarity, The Beatles Music History

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