★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その115)ポール・マッカートニーのヴォーカルの凄さについて(その1)

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「paul mccartney beatles」の画像検索結果

ポール・マッカートニーの2017年4月の日本公演が迫ってきました。ファンの間では、彼に関する話題で盛り上がりを見せているところです。そこで、ビートルズ時代の彼の才能についてお話します。ベーシストとしての才能については、既にその63~68で触れたのでそちらに譲り、今回は彼のヴォーカリストとしての才能についてです。

1 七色の声を持つ男

今さら言うまでもありませんが、ポールは、ヴォーカリストとしても抜群の才能を見せています。その大きな特徴の一つが「変幻自在に声を変えることができた」という点です。

「beatles paul sing live」の画像検索結果 

具体的な作品については後で詳しくご紹介しますが、ポール・マッカートニーって何人もいるの?」と思わせるほど曲によって発声をガラリと変えています。こんな様々な発声をする歌手あるいはヴォーカリストは他に例がありません。

というか、むしろ普通の歌手は、歌い込んでじっくりと自分の唱法を身体になじませていきます。エルヴィス・プレスリーマイケル・ジャクソンなどみんなそうですね。

 

唱法はそのアーティストの個性ですから、いかにして個性を作り込んでいくかということにどのアーティストも力を入れています。その結果、特徴がはっきりしていきますから、逆にモノマネもしやすいんですよ。

確かに、プレスリーも「監獄ロック」などのロックンロールを歌う時と、「好きにならずいられない」などのバラードを歌う時では歌い方は変わりますが、どれを歌ってもプレスリーですよね? 

ところが、ポールは、「ロング・トール・サリー」では天井をぶち破るかと思えるほどの高音でシャウトしたかと思うと、「ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア」では天使のような優しく甘い歌声を披露し、「レディー・マドンナ」ではプレスリー張りの低く野太い歌声を聴かせ、「オー!ダーリン」ではゆったりとしたテンポながら、迫力満点の力強くしかも高音のヴォーカルを披露してくれます。この変幻自在ぶりは、どんなアーティストにもマネできません。動画で確認してみましょう

https://youtu.be/uLRiGX3L-kw

彼は、少年のころから色んな歌手のモノマネが得意で、プレスリーなども良くマネしていたとか。こんなところにも秘密があるのかもしれません。

 

桑田佳祐は、ビートルズ・フリークとして有名ですが、彼はポール好きなのにカヴァーしているのはジョンのヴォーカルの曲ばかりなので、あるラジオ番組でファンからなぜポールの曲をカヴァーしないのかと問われました。

すると彼は、あの声は日本人では出せない。彼の喉にはEQ(イコライザー)がついてるんだ。」と応えました。なるほど、言いえて妙ですね。

2 音域の広さ

ポールのヴォーカルについてもう一つ特徴を挙げるとするなら、その音域の広さです。A1(ピアノの鍵盤で一番低いA、ラ)からA6(ピアノの鍵盤で一番高いA、ラ)まで出せたようです(これも諸説があるので、あくまでその中の一つと考えてください)。

下の鍵盤で確認してみましょう。ファルセット(裏声)まで含んでいますが、世界のトップクラスの歌手、ヴォーカリストと並ぶ広さです。文字が小さいので、拡大して下さい。

「vocal range of paul mccartney」の画像検索結果

もちろん、彼が№1というわけではなく、彼よりもっと広い音域を出せたヴォーカリストはいます。では、ポピュラー音楽界で最も広い音域を出せたのは誰でしょうか?

別にクイズにしなくても良いんですが、せっかくなので正解を見る前にちょっと考えてみてください。

さて、正解は…。

 

ガンズ・アンド・ローゼズアクセル・ローズです。彼の音域は、何とF1(ピアノの鍵盤で一番低いF、ファ)からB♭6(一番高い黒鍵、シ♭)です。いやはや、ここまでくるともはや人間技じゃありませんね(^_^;)

 

ただ、ここで重要なのは、ポールはヴォーカリストであって、歌手ではなかったということです。つまり、あくまでバンドのメンバーとしてヴォーカルを担当したのであって、専業の歌手ではなかったのです。これも動画で確認してみましょう。なお、この動画では彼の音域をA1~C6としています。

www.youtube.com

ポールは、ライヴでは、ベースを弾きながらヴォーカルをやっていました。これって簡単そうに聞こえるかもしれませんが、かなり大変です(^_^;)ビートルズを演奏するバンドで、ポールを担当している方ならお分かり頂けると思いますが、ヴォーカルとベースを同時にやり、なおかつクオリティーを保つのは容易ではありません。

 

 

ポールは、ビートルズの初期からメロディアス・ベース、つまり、まるでメロディーを奏でるかのようなベースラインを弾くことが特徴でした。

それだけでも難しいのに、それに加えリードヴォーカルを担当し、コーラスでハモるわけですから大変な負担のはずです。ところが、彼は、一切弦を抑える右手の手元を見ることなく、それらの課題を易々とクリアしてしまったのですから、やはり天才というしかありません。

3 喉の強さ

ポールは、どんな高音を出しても絶叫しても潰れないという、信じられないくらい強い喉を持っていました。超合金でできているのではないかと呆れるほどの強さです(^_^;)

「beatles paul sing live」の画像検索結果 

確かに、ビートルズは、ライヴは常に30分位しかやりませんでしたし、前期の作品は3分未満の短い曲が多く、ジョンと半々にリードヴォーカルを担当していました。とはいえ、ポールは、コーラスにも加わっていましたし、それにライヴ自体殆ど毎日のようにやっていました。そのうえ、レコーディングもあったのですから、弱い喉ならとっくに潰れているか、ポリープができていたはずです。 

ジョンは、ツイスト・アンド・シャウトのレコーディングの時には風邪で声が掠れていましたし、ジョージも扁桃炎で入院したことがありましたが、ポールに関しては、殆どそのようなエピソードを耳にしたことがありません。 

4 女性並みの高音

「paul mccartney sing non vibrato beatles」の画像検索結果

ジョンは、「ポールは、女の子みたいに高い声を出せる。」と語っていますが、それほど彼は、いとも簡単に女性並みの高音を出せました。これも動画で確認してみましょう。とんでもない高音を出せますね(^_^;)ですから、女性の歌手やヴォーカリストが数多く彼がメインヴォーカルの曲をカヴァーしています。

https://youtu.be/5BUBIepWTCo

さらに凄いのは、ポールは、ヴォーカルの途中でいきなり低音から高音へスライドできるのです。例えば、名曲「イエスタデイ」では、「so far away」という歌詞の「far」の箇所でいきなりE4へジャンプするのです。これは女性の叫び声に近い高さです。このように彼は、低音と高音を自在に行き来できたのです。


https://www.youtube.com/playlist?list=RDNrgmdOz227I&feature=share&playnext=1

彼の音程を機械で測定すると、インジケータがピタリとE4を指すのです(それも±0を)!もちろん、コンピューターが音楽界で使用されるようになるもっと前の時代にレコーディングされた曲です。

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今ならカラオケで素人でも簡単に自分の音程を知ることができますが、当時は耳だけが頼りです。同じ曲の冒頭の「Yesterday」の箇所はG3ですが、これは「ヘイ・ジュード」の「bad」と同じ音程で全くブレていません。おそらくどの曲でも同じ結果になるでしょう。それだけ彼の音程は正確だったのです。

(参照文献) THE WORLD’S GREATEST SINGERS

(続く)

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