★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(号外)ジョン・レノンの特集番組がNHKで放送されました

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1 ベッドイン・パフォーマンス

NHKでジョン・レノンの命日である2017年12月8日に特集番組が放送されました。そこで「ギヴ・ピース・ア・チャンス」「イマジン」の誕生秘話が採り上げられたので、ご紹介します。

まだ、ビートルズが解散する前の1969年に、ジョンとヨーコは、オランダのアムステルダムで二人でベッドに横たわりながら、マスコミの写真撮影やインタビューを受けるという「ベッドイン」と名付けたパフォーマンスを行いました。彼らは、これによって世界に愛と平和を訴えようとしたのです。

「john lennon bedin」の画像検索結果

ヨーコ「戦争の暴力に反対するためよ。戦争をするのではなく、ベッドの中にいたほうがいいと。」
ジョン「それと髪の毛を伸ばすんだ。平和が来る日まで髪を伸ばし続けよう。」

しかし、パフォーマンスのタイトルがあまりにセンセーショナルだったため、二人がベッドで性行為に及ぶことを期待して殺到したマスコミは拍子抜けした形になりました。そのため意図が十分に伝わらず、「売名行為だ」「金のためにやっている」とマスコミから批判を浴びました。それでも彼らは、批判を全く意に介せず、政治家やマスコミに対してメッセージを送り続けました。

 

ニック・ノーランド(撮影監督)「彼らは、理想ばかり掲げていてナンセンスだと批判されていた。しかし、二人は、いつも自然体で気に止める様子はなかった。」

「あの頃の新聞に毎日載っていたのは、バラバラになった死体とかナパーム弾とか、みんな戦争のコマーシャルなんだよ。『ベッドイン』するってことの目的は、平和のためのコマーシャルということだったんだ。」(「ジョン・レノン・ラスト・インタビュー」より)」

当時は、ヴェトナム戦争が泥沼化しており、世界各国の態度も次第にアメリカに批判的になり、アメリカ国民の間にも厭戦気分が拡がりつつあったのです。ジョンとヨーコは、もうこの戦争を止めさせようという思いでパフォーマンスを行ったのです。

彼らは、オランダに続きアメリカでもベッド・インをやろうとしたのですが、ジョンが大麻の不法所持でイギリスで逮捕されたことを理由に入国を拒否されてしまい、やむを得ずカナダのモントリオールで行いました。

2 ギヴ・ピース・ア・チャンスの誕生

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しかし、ベッドインは、好奇の目で見られただけで、世界へ平和のメッセージを送り届けるという当初の目的を達成したとはいえませんでした。そこで、ジョンとヨーコは、次の戦略を考えたのです。

アンドレ・ベリー(音楽プロデューサー)「ベッドインを通してメッセージを発するだけでは伝わらないと、ジョンは悩んでいた。彼は、もっとインパクトを求めていて、歌を作ることにした。すべてを即興で、すごいことだ。」

ノーランド「たしか作詞を始めたのは、収録した日の1〜2日前だったと思う。ジョンは、かねてから頭の中で描いていたイメージを一気に形にしたみたいだった。」

 

何とたった1日か2日であの曲を制作したというのです。平和に対する強い想い入れがあったこそ、そんな短時間で曲を作れたのでしょう。

♫ギヴ・ピース・ア・チャンス「何とかイズム(主義) かんとかイズム イズム イズム イズムばっかしさ だけど 僕らが言っているのは 『平和を我等に』 ただこれだけさ」

この曲は、世界中で大ヒットし、ヴェトナム戦争で揺れていたアメリカを突き動かしました。首都ワシントンD.C.反戦集会には50万人が集まり、この曲を歌ったのです。

ノーランド「ギヴ・ピース・ア・チャンスは、平和について一人一人が何ができるかを考えさせてくれた。今でも思い出すだけで心が揺さぶられる。」「give peace a chance washington 1969」の画像検索結果

3 そして名曲イマジンへ

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2017年12月に渋谷のタワーレコードで開催された写真展で展示された写真は、本来なら当時アメリカのライフという雑誌で公開されるはずだったのが、政府やスポンサーなどの圧力によってできなかったものだそうです。この写真の中には、世界で初めて公開されたものもあるのだそうです。

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私が驚いたのは、自由主義国家であるはずのアメリカですら、政府が表現の自由を侵害したことです。「国益」のためであれば基本的人権であっても侵害する。いつの時代でもどこの国でも、これは変わらない現実なのでしょうか?

この曲は、世界中のアーティストによってカヴァーされ、特に平和のメッセージを訴えたい場面でよく用いられています。パリでイスラム過激派による同時多発テロが起きた時に、マドンナは、イマジンを歌って傷ついた人々を慰めました。

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ニューヨークでは、イマジンの世界を描いた絵本が話題になっています。一羽の鳩が世界を旅しながら、平和の尊さを訴えるというストーリーです。イマジンを聴いて育った親たちが、子供たちに伝えたいと思って買うケースが多いようです。

「john lennon imagine children's book」の画像検索結果

日本でも関口与哉さんは、昼間は会社員をしながらジョンの曲を歌い続け、歌詞に込められた理想を語っています。「イマジンの歌詞はすごい理想郷で、時代が緊張感を持ったときには、本能的にああいう世界の存在というのを求める部分がある」

イマジン、想像してごらんという言葉は、ヨーコのグレープフルーツという本の中にあったもので、ジョンがそれにヒントを得てこの曲を作りました。彼は、彼女から想像してみることの大切さを教えられたのです。ですから、ジョンは、ヨーコの名前もクレジットするよう訴え続け、2017年になってようやくそれが認められました。

 

世界各地でテロや戦争は治るどころか、ますます拡大しています。音楽は音楽に過ぎないのかもしれません。しかし、それが多くの人に歌い継がれていくことによって平和が実現すると考えるのは、決して理想主義とは言えないでしょう。現実にジョンとヨーコの活動は、ヴェトナム戦争終結に大きく貢献したのですから。

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(続く)