★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その148)ジョン・レノンのヴォーカルの魅力について(その10)

【4】 幻想的な楽曲部門(続)

2 ア・デイ・イン・ザ・ライフ(続)

(1)テイク6が採用

スタッフの証言から、ジョンのヴォーカルが完璧だったことが窺えます。ポールがどんな意見を言ったのか、そして、それが採用されたのかどうかは分かりません。

「a day in the life beatles」の画像検索結果

テイク6がベストと判断されましたが、ユニークなのはポールのベースです。間奏のオーケストラに入る直前のジョンの驚異的な♫turn~you~on~というヴォーカルをマネてベースも同じように弾いたのです。リンゴのドラムも凄くてフィル・コリンズが激賞していますが、ジョンのヴォーカルがテーマなのでここでは省略します。

 

ジョンは、自分自身で♫I’d love to turn you on~の部分をダブルトラッキングし、オーヴァーダブしてファルセットを重ねました。

(2)Ah~を巡る論争

ポールのパートが終わった後に、Ah~とスキャットが入っていますが、これがジョンなのかポールなのかについて、世界中のファンの間で50年以上の長きに亘り、論争が続けられています。

そこだけを抜き出したのがこの音源です。

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(3)ジョンかポールか?

「a day in the life john paul」の画像検索結果

私は、始めはポールだと思っていたのですが、色々な資料を参照するとジョン説もかなり有力なようです。因みに2017年に出版された「大人のロック!ザ・ビートルズ 源流と進化(日経BPムック)」では、ポール説を採用しています。ファンの間ではジョン説が多いようです。

この論争は、50年経った今でも世界中で続けられていて結論が出ていません。ジョン説、ポール説、それに少数派ですがジョージ説もあります。

ジョンとポールは、声質も違いますし、担当した声域もジョンは低音域、ポールは高音域を担当することが多かったのです。また、「メインのコンポーザーがリードヴォーカルを担当する」というお約束もありましたから、殆どの曲は聴き分けられます。

(4)どちらにも聴こえるというファンも多い

しかし、この部分に関しては、どちらにも聴こえるのです。というのもかなり深いリバーブ(エコー)がかけられているため、長年のファンですら、どちらにも聴こえてしまうという方が大勢います。

しかも、ちょうどポールのパートからジョンのパートへ移行する繋ぎのパートなんです。だから、どちらが担当したとしてもおかしくありません。また、歌詞のないスキャットだけであることも、さらに判別を困難にしています。厄介なことに、ポールは変幻自在に声を変えることができ、ジョンに似た声も出せました。

もう一つおまけに、ポールが制作した「ラヴリー・リタ」という曲の冒頭に同じようなスキャットが入っているのですが、それと声もメロディーも良く似てるんですよ(^_^;)こちらは、確実にポールのヴォーカルなので、余計に混乱させられてしまいます。

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レコーディング・エンジニアのジェフ・エメリックは、著書の中でジョンだと断言しています。

(5)ミドルエイトを制作したのはポール

ポールは、フィリップ・ノーマンが書いた「ポール・マッカートニー ザ・ライフ」の中で、このミドルエイトは、彼が独自に制作したピアノの小品で、机の引出しの底から引っ張り出してきた未使用のものだ。毎朝決まった時間にバスで通勤する人が、眠りながら夢に落ちていく時の状況を描いたと語っています。

 

彼は、これを少年時代、82番バスで通学していたことを懐かしく思い出しながら書いたのです。このイギリス北部の街に生まれ育った少年たちの想い出は、やがてポールの「ペニー・レイン」そしてジョンの「ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー」という傑作として実を結びました。

「liverpool bus 1955」の画像検索結果

さて、彼がいうミドルエイトが♫Ah~まで含むのだとすれば、上記の「メインのコンポーザーがリードヴォーカルを担当する」というビートルズのお約束からして、このパートのヴォーカルはポールということになります。しかし、彼は、このことについては何も語っていません。

(6)もう分かりましぇ~ん(T_T)!

正直な話、これはもう分からないとしか言いようがありません。お手上げです(^_^;)何しろ、張本人のジョンもポールもずっと黙秘してますから(笑)そして、公式な記録も今のところ発見されていません。まあ、そんな細かいところまで記録しませんわな、フツー。

どちらの説もそれぞれに根拠を挙げていて、中にはかなり説得力があると思われるものもあります。しかし、それが決定打とならないのは、公式の記録ではないため傍証の域を出ないからです。

213曲中の1曲、それもそのごく一部のスキャットだけで、50年以上も論争が続けられているアーティストなんて、他に聞いたことがありません。

ビートルズは、ファンが騒ぐような仕掛けを素知らぬ顔であちこちにばらまいておいて、予想通りファンが騒いでいるのを見て楽しんでいるのではないか?」と勘ぐってしまいたくなります。

実際、ジョンは、したり顔で彼らの作品を評論する「音楽評論家」に辟易(へきえき)し、ワザと難解な歌詞を書いて、彼らがああだこうだと的外れな評論をするのを面白がっていましたから。

知ってる側からすれば、楽しくてしょうがないでしょうね。偶々誰かが出した答えが当たってたら「お〜、正解だ。良く分かったね。」ってパチパチ拍手してたりして。

さて、皆さんは、どちらだと思いますか?ん?待てよ、リバーブをふんだんにかけている?ってことは、やっぱりジョンかな?ジョンは、自分の声が嫌いで盛んにダブルトラッキングなどの編集を良くかけていましたから。

 

もう一つありそうなオチは、「もう忘れちゃった」ってヤツです(笑)これも十分あり得ますね。何しろビートルズ時代に限っても、膨大な仕事をしてきた彼らです。その一コマの詳細を一々覚えていないとしても、全く不思議ではありません。

何せ「イン・マイ・ライフ」という傑作をジョンとポールのどちらが主に書いたかですら、二人の間で意見が食い違っているんですから。あんな傑作を作っておいて、どちらがメインだったかハッキリしないなんてねえ〜。それほど人間の記憶ってあいまいなもんなんですよ。

あ、でも、やっぱりおかしいな。だって、サージェントが大成功を収めて、当然、ビートルズには取材が殺到したわけですよ。その中でこのことについてもインタヴューされたハズです。

リリース直後なんだから、忘れる訳がありません。その時にも何も言わなかったってことですよね❓まさか、誰も聞かなかったとか❓

オーケストラに関してはかなり詳細な記録が残されているのに、これに関してはエメリック以外の証言もないし、記録もないんですよ。ファンが大騒ぎする程、ビートルズもマスコミも気にも留めてなかったのかな❓

(7)♫Ah~のコード進行を巡るある見解

ところで、このメロディーは、この後の1968年に発表されたディープ・パープルの「ハッシュ」という作品冒頭の♫NaNaNa~というスキャットの部分によく似ています。この類似性については、私だけではなく他にも多くの人が指摘しています。

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これはディープ・パープルのデビュー作品として有名ですが、実は、オリジナルは、ジョー・サウスが制作し、ビリー・ジョー・ロイヤルが1967年10月にリリースしたものなんです。それをディープ・パープルがカヴァーしたんですね。サウスが「ア・デイ〜」にインスパイアされてこの作品を作成したのかどうかは分かりません。

さて、ここでヴォーカルから話が脱線しますが、この部分のコード進行に関するある見解をご紹介します。ただし、これはあくまでも一個人の見解ですから、正しいかどうかは分かりませんよ。こんな見方もあるということで参考にして下さい。 

とかなんとか♫Ah~について書いているうちに、こんなに長くなっちゃっいました💦この見解を詳しく語ると長くなるので続きは次回で。って、TVのCMまたぎか~い!(~--)/(^^;)

 

(参照文献)CultureSonar, PopFlock

(続く)