★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(175)ジョン・レノンの大脱走を手助けした男(その2)

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1 オレに脱走の手助けをしろって?!

(1)ミッション・インポッシブル

ジョンが、厳重な警備体制が敷かれているホテルを抜け出して、骨董品を買いに行きたいと言い出したものですから、入内島(いちじま)さんも驚きました。「いや、ちょっと待ってくれよ。自分の足でって、それは流石に無理だよ💦」

ビートルズが宿泊している部屋の前には3人、お客様用のエレベーターの前にも3人、廊下にも3人の警官が配備され、人の出入りを常に監視していました。他にも警備員が数多く配備され、文字通りアリのはい出るスキもありませんでした。

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当時のテレビニュースの実況中継です。「ホテルは警官に囲まれて近づけず、遥か10階の窓を眺めるだけです。ホテルの外には一目彼らの姿を見ようとファンが殺到しています。」ホテルの周囲にはファンが殺到し、警察や機動隊が約100人が出動する事態となっていました。 

ホテルの内堀も外堀も埋め尽くされていたのです。

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(2)ジョンの嘆き

ジョンは、こう嘆きました。「入内島さん、僕らはどの国に行ってもいつもホテルに缶詰状態で、自由に買い物さえできやしない。これじゃあ、何のために音楽をやっているのか分からない。」 

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ジョンの悲痛な想いは入内島さんの心に強く伝わりました。そして、外出を手助けして欲しいという彼の願いも理解できました。

しかし、もし、彼を勝手に連れ出したのがバレて騒動にでもなったら、入内島さんが責任を取らなければならなくなるだけでなく、会社にまで迷惑をかけてしまう恐れがあります。 

それに、万が一、ジョンに怪我をさせてしまうようなことでもあれば、国際問題に発展するかもしれません。ジョンからの依頼はあまりにも無謀なものでしたが、入内島さんは決断を迫られました。ジョンの依頼を受け入れ彼を脱出させる手伝いをするのか、それともそのリスクを恐れて断るのか。 

2 決死の大脱走

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(1)入内島さんの決断

「ごめんなさい、こんな愚痴を言っても仕方ありませんね。」そう言って立ち去ろうとしたジョンを入内島さんは引き留め「一か八かやってみよう。当たってくだけろだ。」と答えたのです。 

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何と入内島さんは、自分の責任を問われるリスクを犯してまでジョンの願いを叶えようと決断を下したのです! 

(2)ジョン・レノン脱走作戦

入内島さんは、ジョンをカメラマンに変装させ、信頼のおけるイギリス人スタッフと2人で日本人スタッフの部屋まで来てもらいました。 

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彼らは、スタッフしか使わないことから、警官がおらず比較的警備の手薄な業務用エレベーターを使って、地下の駐車場に降りることにしました。

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入内島さんは、警備員に「ご苦労様です。ちょっとスタッフの人たちと外出してきます。」とウソを付きました。警備員は、訝(いぶか)しげに彼らを見つめましたが、外出を許可してくれました。 

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余談ですが、当時を再現したVTRに登場するジョン役の役者より、スタッフ役の役者(上の写真の人)の方がグラサンを付けたジョンそっくりなんですよね(笑)

当時は、レンタカーがまだ一般的ではなかった時代で、入内島さんが使える車はピンクのキャデラックしかなかったのです。これじゃあ、すぐに見つけられてしまいますよね(^_^;) 

そこで、入内島さんは、ジョンとイギリス人のスタッフをシートの下に潜ませ、ファンやマスコミに気づかれることなく、無事ホテルを脱出しました。

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(3)お目当ての骨董品店へ

そして、彼らは、青山、表参道、原宿など都内にある骨董品店を次々と訪ねました。万が一、気づかれてもすぐ逃げられるよう店の前に車を駐車していました。 

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しかし、送迎用に使ったピンクのキャデラックというド派手な車を大通りに停めたために、めざといファンにすぐに見つけられてしまい、ビートルズが店に来ているものと感づかれてしまいました。まあ、当然ですよね(^_^;) 羽田空港から彼らを乗せたシーンは、テレビニュースで放映されていましたから。

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入内島さんは、「いや、ここにはスタッフが来ているだけでビートルズは来ていません。」と必死にファンを押し留めようとしたのですが、それを無視して店内にファンが殺到しました。彼は、すぐに車を店の裏に回して二人を乗せ店を出ました。

(4)大騒動に発展

念願が叶い小包を抱えて、満面の笑みを浮かべているジョンの写真が残されています。

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これを撮影したカメラマンの佐々木恵子さんはこう語っています。「あの時、ジョン・レノンがいなくなったんじゃないかとスタッフの間で大騒ぎになったんです。ホテルの駐車場の入口でずっと待っていたら、ジョンが大きな荷物を一杯抱えて戻ってきたんです。」 

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大騒動に発展したため、ジョンの行動はマスコミにもばれてしまい、大々的に報道されてしまいました。 

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(5)騒動の後日談

当然、入内島さんは、警察やライブ関係者から厳しく叱責されることになりました。ジョンに怪我はなかったので、それ以上の責任は問われませんでした。 

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しかし、それ以降ビートルズのメンバーと接触することを禁止され、スタッフの送迎のみを担当することとなってしまいました。 

脱走騒動の後、入内島さんがホテルの地下駐車場で車を止めてスタッフを待っていると、さりげなくその車に乗り込んできた1人の男がいました。それが何とジョンだったのです! 

驚く入内島さんに対し彼は、「じゃあ、入内島さん、今日も送迎をお願いしますね。」と笑顔で語りかけてきたのです。彼は、自分のせいで入内島さんに大変な迷惑をかけてしまった罪滅ぼしの想いから、スタッフの目を盗んで彼の車を利用し続けていたのです。 

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しかし、ジョンも大胆不敵というか、懲りずによく脱出できましたね(^_^;)警備関係者にも入内島さんが送迎の担当を外れたことが分かっていたので、却って脱出しやすかったのでしょうか?それにしても、骨董品店以外にどこへ行ったんでしょうね? 

(6)ジョンとの再会

数年後、ジョンが再来日した際、入内島さんの勤務先を探し出し、自分が宿泊しているホテルに招待してくれたのです。どうしてもあの時のお礼が言いたかったということでした。外出してお目当ての骨董品を買えたことが、よほど嬉しかったんでしょうね。ジョンも結構義理堅いですね。

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入内島さんは、こう語っています。「自分の決断は、本来褒められた行動ではないと思いますが、ジョンにとっては良い息抜きになったのは間違いありません。」

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あの決断をしなければジョンとの絆は生まれなかったと思います。(彼は)私にとっても今でも大親友だと思っています。」

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入内島さんの勇気ある行動が、ジョンにとって生涯忘れられない想い出になったのです。何だかほっこりするお話ですね。

(参照文献)奇跡体験!アンビリーバボー

(続く)