★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(208)他のミュージシャンに提供した楽曲でも、ビートルズは時代の最先端を走っていた

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1 「Nobody I Know」~ピーター&ゴードン

(1)ピーター&ゴードンへまたプレゼント

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「A World Without Love」を大ヒットさせたピーター&ゴードンでしたが、ポールは、彼らが一発屋で終わってしまわないようにまた楽曲を提供しました。何せピーターは、恋人のジェーンのお兄さんですから、そこは力が入りますよね(^_^;)

ちょっと気取った子どもっぽいとも思える楽曲ではあるものの、ブリッジでヴォーカルが素早く高音に移動したり、12弦ギターを使用した点に斬新さがあります。これは「ルーフ・トップシンガーズ」が1962年に大ヒットさせた「Walk Right In」からの影響を感じさせます。

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(2)フォークロックの先駆け

ところで、この「Nobody I Know」ですが、どこかで聴いたことのあるような気がしませんか?そうです、ビートの効いたロックンロールではなく、フォークとロックが融合したいわゆる「フォークロック」です。例えば、バーズの「Turn! Turn! Turn!」などが代表作として良く知られています。

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1960年代にボブ・ディランアコースティックギターによるフォークブームを巻き起こし、少し遅れてビートルズによるロックブームが全世界を席巻しました。これらは、お互いに相容れないように思われましたが、やがて、ディランもステージでエレキギターを弾くようになり、逆にビートルズも彼の影響を受けて社会性のある歌詞の楽曲を制作するようになりました。このようにフォークとロックが融合したのは、60年代中頃のことです。

この作品は、その先駆けだったともいえるでしょう。ビートルズがいつも時代の最先端を走っていたことを示す好例ともいえます。彼らは、他のミュージシャンから様々な影響を受けつつも、それらを全て吸収して全く新しいものを創造していたのです。

この作品は、1964年5月29日にリリースされ、イギリスではチャート10位、アメリカでは12位にランクインと健闘しました。ビートルズならシングルA面は難しかったかもしれませんが、アルバムに収録できるだけのクオリティーは十分あると思います。

 

2 「Like Dreamers Do」〜アップルジャックス

(1)レノン=マッカートニーというクレジットが世に出た

1957年にポールが15歳の時に制作したものですが、レノン=マッカートニーというクレジットがつけられた最も初期の楽曲の一つです。バーミンガム出身のアップルジャックスが、イギリスのテレビの音楽番組「Thank Your Lucky Stars」のリハーサルをビートルズと共にしていたときに、ポールがこの作品を提供しました。

アップルジャックスには当時としては珍しく、女性ベーシストのミーガン・デイヴィスがメンバーに加わっていました。当時はそこそこ売れたのですが、今ではすっかり忘れ去られています。

彼らは、ビートルズがデッカレコードのオーディションで演奏したこの作品のデモから流れてくる、ポールのラテン音楽から受けた影響をあまり重視しませんでした。ですから曲調は、ビートルズ・ヴァージョンよりポップなイメージとなっています。

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(2)バブルガム・ミュージックの先駆け

ポールが、ラテン音楽から影響を受けているのは、メキシコで古くから親しまれ、世界的にも有名な「Cielito Lindo(シェリト・リンド)」の中に出てくる「♫アイ、アイ、アイ、アイ~」という有名な掛け声と同じものが存在することに現れています。

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この作品は、1960年代後半から70年代初めに、子ども向けの単純明快なロック音楽である「バブルガム・ミュージック」として流行したものの走りといえます。今ではすっかりすたれて、この言葉すらもう忘れ去られてしまいましたが、これまたビートルズが、流行の最先端を走っていたことを示しています。

1964年6月5日にリリースされ、イギリスでチャート20位にランクインしました。そこそこヒットしたというところでしょう。そして、この曲は後に、トム・ハンクスが主演した60年代のオマージュ映画である1996年公開のアメリカ映画「The Thing You Do!(すべてをあなたに)」の制作にヒントを与えました。

俳優のトム・ハンクスが自ら構想していた企画を映画化した青春音楽映画で、1960年代に「The Wonders」と名乗り、ビートルズのようなスターになることを夢見る若者たちの青春群像を描いています。この映画でハンクス自身は、彼らのマネージャー役で出演もしています。つまり、ブライアン・エプスタインの立場になっているんですね。

自分がビートルズのマネージャーになって彼らをトップアイドルに導くって、私のお気に入りの妄想なんですが、もう映画化されていたとは残念(^_^;)っていうか、ハンクスが私と同じ妄想をしていたのが嬉しいです\(^o^)/私は、まだ観たことがないんですが、一度観てみたいですね。ご覧になった方はいますか?

 

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3 「From a Window」~ビリー・J・クレイマー&ダコタス

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(1)クレイマー最後のヒット曲

ポールは、クレイマーに「From a Window」を制作し、提供しました。ジョンは、「ポールとジェーン・アッシャーの芸術時代の曲だ。」と語りました。彼は、よく比喩的な表現をするのでなかなか分かりづらいのですが、ポールが、上流階級出身の彼女の影響を受けて芸術性を高めたというところでしょうか。

この作品でクレイマーは、それまでより気取った感じのヴォーカルをしていますが、これはおそらく、ピーター&ゴードンの影響を受けたものでしょう。前回解説したように、クレイマーがビートルズの提供を断った結果、ピーター&ゴードンに提供された「A World Without Love(愛なき世界)」が大ヒットしましたからね。クレイマーも(しまった!素直にもらっておけば良かった( ノД`))と後悔したのかもしれません(笑)

1964年7月17日にリリースされ、イギリスではチャート10位、アメリカでは23位にランクインしました。彼らは、1965年にリリースした「Trains And Boats And Plains」の12位を最後に、二度とチャートインできませんでした。正に「後悔先に立たず」というやつですね。

(2)「No Reply」と好対照な作品

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ジョンは、同じ年に「No Reply」を制作しました。これは、歌の主人公が、窓の外から家の中にいる冷淡になった恋人を哀しい想いで眺めているという、それまでのビートルズの歌詞にはなかった悲観的なストーリーを描いたものです。ボブ・ディランの影響を受けた、ビートルズとして大きなターニングポイントになった作品ですね。

これに対し、「From a Window」は、同じように恋人の自宅の窓から彼女を眺めているのですが、前期のそれまでの曲と同じように恋人に対する想いを歌ったラヴソングになっています。制作された時期が重なるだけに、この二つの曲がお互いに影響し合っていたとも考えられますし、状況が似通ったのは全くの偶然の産物だったのかもしれません。

(3)作風の違いの兆しが早くも現れた

ジョンとポールの作風の違いがはっきりと現れたのは、「Strawberry Fields Forever」「Penny lane」と一般的にはされています。しかし、既にこの辺りで早くもその兆しが見え始めていたのが面白いところです。

ジョンが、幼少期に両親から育児放棄されるという暗い過去を持っていたのに対し、ポールは、青年期に母親を亡くすという不幸に見舞われたものの、両親の愛に育まれて育ったという境遇の違いが彼らの作風に現れたのでしょうか?もちろん、「この程度では作風が違うとまでは言い切れない」という考えも成り立つので、そこは皆さんのご判断にお任せします。ただ、同じ状況を描いても主人公の心境が180度変わっている点は注目すべきでしょう。

すいません、今回でこのシリーズは終わりにするつもりでしたが、まだ積み残した作品が残っているので、もう1回だけ次回も続けます。

 

(参照文献)SLATE

(続く)

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