★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

自分だけがビートルズを知っている世界にワープしたらどうする?~この夏に公開される映画(219)

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1 「ビートルズが存在しない世界」

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もし、ビートルズがこの世に存在しなかったとしたら、世界はどうなっていたでしょうか?言い換えれば、「She Loves You」も「Yesterday」も存在しない世界です。

イギリスの映画監督ダニー・ボイルは、「もしも、この世にビートルズが存在しなかったら?」という架空の設定の下に新しい映画を制作しました。「Yesterday」は、2019年5月4日に、ニューヨークのトライベッカ映画祭でワールドプレミア上映される予定です。

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主演はリリー・ジェイムズですが、エド・シーランとジェームズ・コーデンが特別出演するようです。ジェームズ・コーデンは、イギリスの俳優、歌手、司会者として有名ですが、映画の公式予告編で音楽番組の司会者役として登場しています。

ボイルは、2008年公開の「スラムドッグ$ミリオネア」でアカデミー監督賞を始めとする多数の映画賞を受賞しました。2010年には、「127時間」で、アカデミー作品賞とアカデミー脚色賞にノミネートされ、映画監督としての手腕を高く評価されました。さらに、2012年のロンドンオリンピック開会式では、芸術監督に選ばれ、式典の演出を担当しました。

 

2 ストーリー

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ジャック・マリック(ヒメシュ・パテル)は、小さなイギリスの海辺の街でシンガーソングライターをやっていましたが、幼いころからの親友であるエリー(リリー・ジェイムズ)が熱心に応援してくれているにもかかわらず、一向に売れる見込みがありませんでした。

ある日突然、世界中が一斉に停電して真っ暗になってしまったため、ジャックは車にはねられて気を失ってしまいます。彼が目覚めると、そこはビートルズが存在しない世界でした。

彼がビートルズの曲を演奏すると、みんなが素晴らしいと絶賛します。「これ、ビートルズの曲だよ。」「ビートルズって誰?」(マジかよ?誰もビートルズを知らないなんて!)

彼は、周囲の人が誰もビートルズを知らないことに驚き、ネットで検索してみますがヒットするのはカブトムシばかり。そうです、彼の世界には「ビートルズは存在しない」ことになっていたのです! 

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やがて彼は、自分だけがビートルズの曲を知っているという、とてつもないアドバンテージを持っていることに気がつきます。彼は、ビートルズの作品をすべて彼自身のオリジナルとして発表することができるのです。それをフルに生かして、彼は、次々と素晴らしい「オリジナル作品」を発表します。

史上最高のバンドの曲をまだ誰も聴いたことのない世界に向けて演奏し、彼を熱心にサポートしてくれるアメリカ人のエージェント、デブラ(ケイト・マッキノン)の助けを借りて、ジャックの名声は一気に爆発します。しかし、彼がスーパースターの階段をかけ上がっていくにつれて、彼は、大切なエリーを失ってしまいそうになります。

ジャックは、昔の生活と新しい欺瞞(ぎまん)に満ちた生活のはざまで苦悩することになります。そして、彼は、「get back to where he once belonged」かつて彼が生活していた場所に戻り、「all you need is love」彼が必要とするのは愛だけだということに気付くのです。

 

3 同じ設定は過去にも使われていた

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実は、この設定自体は目新しいものではなく、90年代にニコラス・リンドハーストが主演したBBCのテレビコメディ「グッドナイト・スウィートハート」が、既に同様の設定でストーリーを展開していました。主人公が第2次世界大戦の頃のイギリスにタイムスリップして、ビートルズが誕生する前に彼らの作品を自分の作品だとして発表するのです。BBCテレビでは全6シリーズが放映され、来年初めにはミュージカルとして上演されることが予定されています。

「もちろん、私は、(我々の作品との)類似性に気付いていた。」と、イギリスの脚本家のモーリス・グランは語っています。彼は、ローレンス・マークスとの共作による数多くのヒット作を生み出していますが、グッドナイト・スウィートハートの脚本もそのうちの一つです。

面白いことに「レノン=マッカートニー」と同じように、彼らも「マークスアンドグラン」というクレジットで数々の作品を制作しています。グランは著作権の問題などについて寛大な態度をとっているようですが、ローレンスはすでに弁護士などと相談しているようです。  

4 著作権の問題

(1)設定の独占はできない

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ボイルの映画は、原作をジャック・バース、脚本をリチャード・カーティスが担当しました。カーティスは、コメディが得意で「Mr.ビーン」は彼の脚本です。

69歳のグランは、似通ったストーリーを独占することなど誰にもできないと語っています。「我々が描くのは魅力的なキャンバスだ。もちろん、リチャード・カーティスのことは非常によく知っているが、まだ彼と電話で話したこともない。彼は、コメディの達人だし、うまくやってくれると思うよ。」

「もしも〇〇だったら」という設定はあり得ますよね。そういえば、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でも、主人公が自分の生まれる前の時代にタイムスリップして、当時まだ誰も知らなかった「ジョニー・B・グッド」を演奏するシーンがありました。それをヒントに、チャック・ベリーが自分の曲として作曲したという設定になっていました。

(2)音楽を扱うことの難しさ

ミュージカル版のグッドナイト・スウィートハートの音楽シーンでは、少なくとも1曲のビートルズ・ナンバーが含まれることになっています。グランは、1940年代に合うようなメロディーの曲を見つけるのは難しかっただろうと認めています。それはそうでしょうね、ジャズ全盛の時代でギャップがありすぎますから(^_^;)

「私は、曲の権利がBBCによってどのように扱われたのか正確には分からない。彼らは特別な取り決めをしていたが、とにかく簡素なものだった。出演者全員が「I Am the Walrus」を歌った場面は、防空壕のシーンだったことをよく覚えている。しかし、著作権の点に関しては、劇中で曲を演奏することはレコードの曲をそのまま使用することとは異なるんだ。」

私も著作権についてはあまり詳しくないのですが、どうやら曲をそのまま使用するということと、作品の中で使用するということでは扱いが違うようですね。

 

5 グランの見解

(1)いい作品はいくつあってもいい

「ローレンスと私自身のためにも、今やグッドナイト・スウィートハートはイギリス文化の一部であると認めるべきだろう。」とグランは語っています。「しかし、もし人々が「素晴らしいアイデアだ。カーティスは、マークスアンドグランにシャンパンの箱を送ったのだろうか?」と考えているのなら、それは一向に差し支えない。」

つまり、グランが言いたいのは、「確かに、グッドナイト・スウィートハートは素晴らしい作品であり、多くの人々もそれを認めてくれている。しかし、「もしも、ビートルズがこの世に存在しなかったら?」という設定自体は誰にも独占できるものではない。誰であれ、自由に使って面白い作品を制作してもらいたい。その時に、マークスアンドグランに少しばかり敬意を表してくれればいい。」ということでしょう。

(2)創始者に敬意を表すればいい

ディズニーのアニメーション映画「ライオン・キング」が1994年に全米で公開された時、手塚治虫のテレビアニメ「ジャングル大帝」のパクリではないかと日本やアメリカのファンやマスコミが騒ぎ出しました。しかし、手塚プロダクションが、「もし、手塚本人が生きていたら、「自分の作品がディズニーに影響を与えたというのなら光栄だ」と語っただろう。」というコメントを発表したことにより収まりました。手塚先生がご存命であれば、おそらく同じことをおっしゃったでしょう。

具体的なことは、両者を比較してみないと分かりません。音楽の世界でもそうですが、著作権の問題は常に制作者を悩ませます。

ただ、私は、両者がリメイクと言えるほど類似しているのであれば問題になると思いますが、「もしも、ビートルズがこの世に存在しなかったら?」という設定自体は誰が使っても良いのではないかと考えています。そうでなければ、あまりにも芸術の表現の幅が狭くなってしまいますから。同じ設定でも良い作品がどんどん出てきてくれた方が、むしろ面白いでしょう。

6 ライヴエイドビートルズが一日限りで復活したら?

この映画とは関係がありませんが、漫画家の浦沢直樹が「もしもビートルズが2016年に再来日して、武道館公演を行ったら ... ! ?」というテーマで漫画を書き下ろしました。このテーマ自体は、別に誰が使ってもいいですよね?

私は、「1985年に開催されたライヴエイドビートルズが一日限りで復活したら?」とよく妄想します(^_^;)ライヴエイドは、アフリカ難民の救済を目的として、1985年7月13日に行われたチャリティーコンサートで、世界の名だたるアーティストが参加しました。伝説のバンド、クイーンを主人公にした映画「ボヘミアンラプソディ」のラストシーンでも使われて、彼らを知らない若い世代にも浸透しましたね。

その時すでに、ジョンは天国にいましたが、誰よりも全世界に愛と平和が実現することを望んでいた彼のことですから、生きていれば進んで参加したと思います。もちろん、彼が一人で参加したことも十分考えられますが、彼が他の三人に一緒にやろうぜと呼びかければ、彼らも喜んで参加したと思います。

実際、ポールは、ウェンブリー・スタジアムに参加しましたからね。ただ、彼の直前に出演したフレディ・マーキュリー&ブライアン・メイのスタッフが、撤収するときにポールのマイクのケーブルをうっかり抜いちゃいました。

それで、曲の前半では彼のヴォーカルがまったく聴こえなかったという残念な結果になりました。まあ、あれだけスーパースターが次々と登場したら、現場で混乱が起きてもしかたないですよ。

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ライヴエイドの大トリにビートルズが登場する」そう想像しただけでもワクワクするじゃないですか。ビートルズがステージに登場すると、会場は興奮のるつぼと化します。

ジョンがおもむろにマイクに歩み寄り「20年前、オレたちは、ビートルズってバンドを組んでたんだ。これでもあの頃は、結構人気があったんだぜ。みんな知ってるかい?」と彼らに語りかけると、会場全体に割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こります。

そして、あの聴きなれたイントロが始まり、ポールが「It was twenty years ago today…」と歌い出します。そう、歌詞の通りに20年後にサージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドが復活して演奏するのです。

そして、ビートルズ時代の曲とメンバーがソロになってからの曲を演奏し、シメはやはり「Imagine」でしょうね。ライヴエイドの趣旨にピッタリの曲ですから。

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妄想でしかそのシーンを再現できないのが悲しいです( ノД`)

 

(参照文献)The Guradian

(続く)

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