★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

アビイ・ロード珠玉のメドレー(227)

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1 何と石丸さち子先生からメッセージが!

テーマとは離れますが、私は、過去3回に分けてアーリー・ビートルズを描いた日本初演の舞台「BACKBEAT」についてこのブログに記事を書きました。すると、この舞台の脚本家である石丸さちこ先生が、ブログについて次のようなツイートをしていただいたんです。

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何と嬉しいではありませんか!石丸先生が私のブログを読んで下さっているとは!しかも、この文面からすると、先生は、私が今回の舞台について書く以前からこのブログを読んでいただいているとのことです。

私は、このブログでアーリー・ビートルズについてもかなり詳しく書いてきました。中でもハンブルク時代の彼ら、特に、スチュアート・サトクリフについてはかなりページを割いています。ひょっとすると、僅かながらでも先生の脚本の参考になったかもしれません。そうだとすると、なおさら嬉しいですね。

「ひょっとすると、石丸先生をはじめとする関係者の誰かが見てくれて、何かコメントをもらえるかもしれない…って、まあそれはないか(笑)」と淡い期待というか妄想を抱いていたのは事実ですが、まさかそれが現実になるなどとは思ってもいませんでした(≧▽≦)感謝感激です💖ブログを書いていて本当に良かったです🌟

  

2 珠玉のメドレー

さて、本題に戻ります。ジョンは、アルバムについてこう語っています。「アビイ・ロードは、未完成でどうしようもない曲の寄せ集めだ。誰もがアルバムを賞賛してくれるけど、どれもお互いに何の関係も脈絡もない。それらを一つにまとめただけさ。」

ジョン一流のシニカルな自己評価ですね。彼の言う「未完成の曲の寄せ集め」が事実だとしても、それを最高傑作にしたのは、正に天才グループのなせる技でしょう。

アビイ・ロードは、レコードのB面に収録された「ロング・ワン」と称される8曲のメドレーが高く評価されています。

You Never Give Me Your Money
Sun King
Mean Mr. Mustard
Polythene Pam
She Came Through The Bathroom Window
Golden Slumbers
Carry That Weight
The End

(Her Majesty)(リリース当初はクレジットされていなかった隠しトラック)

youtu.be

You Never Give Me Your Moneyから始まり、最後にビートルズからファンに対するお別れのメッセージともいえる「The End」で終わります。上に引用した動画は、8曲のメドレーになっているので、1曲が終わってもそのままにしておくと、次の曲がスタートします(うまく再生できなかったら、動画サイトで検索して下さい)。

リンゴは、こう語っています。「Let It Beの悪夢のようなセッションが終わった後で作成したアビイ・ロードは素晴らしかったよ。特に、B面は素晴らしいできだ。すべてぐちゃぐちゃだった灰の中から拾い上げた最後のセクションはね。私がメンバーと一緒に仕事をした中でも最高級の作品の一つだ。」

「ジョンとポールは、さまざまな未完成な作品を持っていたので、我々は、それらをレコーディングし、一つにまとめた。それがこの最後の部分に表れている。それらの曲は、どれも完成できなかったんだ。彼らは、もう一緒に制作はしなかった。彼ら自身でさえ、もうあまり曲を作っていなかった。これは本当のことだよ。」

曲のいくつかは独立したものとしてレコーディングされ、他のものは後日まとめられ、一緒に編集されました。一緒にレコーディングされたものは「Golden Slumbers/Carry That Weight, Sun King/Mean Mr Mustard, Polythene Pam/She Came In Through The Bathroom Window」です。

 

3 メドレーはポールの発想

Abbey Road

ジョージ・マーティンはこう語っています。「私は、ポールと一緒に本当に価値のあるものを作成するために、昔のサージェント・ペパーの方法を使おうと考えていた。それで、二人でメドレーの部分を作ったんだ。ジョンは、そのやり方にすごく反対してたんだけどね。ほぼ完全にポールと私が協力して制作し、他のメンバーにも少し手伝ってもらった。」

「ジョンは、子どもの頃からずっとテディボーイ(不良少年)だったよ。彼は、ロックンローラーで、独立した曲を作りたがっていた。だから、我々は、お互いに妥協した。だけど、彼は、我々のやり方に反対しながらも協力してくれたんだ。彼は、スタジオにやって来て、彼の小さな作品を入れ、それをタペストリーにはめ込むアイデアを提供してくれた。誰もがとてもよく仕事をしたので、私は、今でも大好きなアルバムだ。」

ジョンは、あくまでロックンローラーとしてシンプルにアルバムを制作したかったんです。それに対し、ポールとマーティンは、サージェント・ペパーのコンセプトアルバムの手法を使って、小品をつなぎ合わせたメドレー形式のレコーディングをしようと考えました。

 

 ジョンは反対しつつも協力した

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(1)メドレーには反対だったが

ここが泣かせるところなんですが、ジョンは、メドレー形式にすることに反対しながらも、「Sun King」「Mean Mr. Mustard」「Polythene Pam」を提供する形でちゃんと協力してくれたんです。自分は気に入らないけど、メンバーのすごいところは認めるという一流のアーティストならではの行動ですね。どれだけ人間関係が悪くなっていても、仕事モードに入った時には全員が完璧な作品を制作しようと協力したんです。

youtu.be

ジョンは、アルバムがリリースされた後、B面のメドレーは全く評価せず、むしろポールの完成した作品を入れて欲しかったと発言しました。彼は、こう語っています。「私は、A面が好きだった。B面のポップ・オペラはあまり好きではなかった。くだらないと思う。中途半端な曲の寄せ集めさ。もう記憶にも残っていない。」

「Come Togetherは良かった。他のいくつかの曲もね。ある意味ではRubber Soulのような優れたアルバムだったといえるが、魂がこもったものじゃなかったよ。」

相変わらずな辛辣な評価ですが、世間の評価が高いほどそれに反発する彼らしい言動ともいえます。

(2)ポールとマーティンのアイデア

メドレーというコンセプトは、1969年5月6日に行われることになっていたポールの「You Never Give Me Your Money」のレコーディングからスタートしました。最初のテイクのエンディングはエッジの効いたギターのアルペジオになっていましたが、それが終わる直前に「1 2 3 4 5 6 7/All good children go to heaven」というフレーズが付け加えられました。このエンディングを見れば、ビートルズがこの作品だけではなく、アルバム全体の一部としてこの曲をここに入れることを考えていたことが分かります。

ポールは、こう語っています。「私が、すべての未完成な作品をメドレーで一つにまとめようと考えたのは事実だけど、あまりそういうことを主張しないようにしているんだ。みんなが同じ考えでまとまったことがうれしいよ。とにかく、最終的にB面をすべてメドレーにして、オペラのような構造にしようとした。それはとても良かった。10曲か12曲の未完成の曲を上手く使えたよ。」

改めて全体を通して聴いてみると、このアルバムの構成は、すべて計算されていたのではないかとも思います。 A面はどれ一つをとっても素晴らしい名曲がズラッと並んでいます。そしてラストの「I Want You (She's So Heavy)」は、延々と続くエンディングがフェイドアウトせずに突如としてブツッと切られてしまいます。ここでリスナーは「一体何が起こったのだろう?」という不安を覚えるわけです。

(3)レコードならではのスリルを味わえた

このアルバムがリリースされた当時は、レコードでCDではありませんから、B面を聴こうと思えば、レコードをひっくり返してプレイヤーにかけ直さなければなりません(って、若い人にはこれでもわからないか( ノД`)シクシク…)。まあ、こんな感じです。

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でも、今、アナログレコードが見直されつつあるんですよね。硬い感じのするCDのデジタルサウンドに比べて、柔らかくて奥行きも厚みもある感じがするようです。デジタルでは余分なサウンドが全て削ぎ落とされますが、むしろ、人間の耳にはそういうサウンドが残っている方が自然に聴こえるんでしょうね。

リスナーは、不安を抱えながらレコードをひっくり返すことになります。レコードに針を落としてしばらくすると、あのアコギのキラキラしたイントロが流れてきます。「Here Comes The Sun」ですね。これでホッとします。

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そして「Because」の美しいハーモニーが流れて終わり、そこからいよいよ怒涛のメドレーに突入するわけです。この一連の流れが絶妙なんですね。うっとりさせ、不安に陥らせてドキドキさせながら、またホッとさせうっとりさせつつ、メドレーに引き込んで恍惚の状態で締めくくる。すべては計算されているとしか考えられません。

サージェントのようなコンセプトアルバムではなく、一曲一曲が光輝きながらアルバム全体が幻想的で神秘的なオーラに包まれています。リスナーは、陶酔させられてしまいますね。

例えば、「I Want You (She’s So Heavy)」の狂ったような演奏、特にラストの2分間ですね。あるいは、特に「Sun King」において明瞭に感じ取られるアルバム全体を貫くベースライン。ポールとジョージのコーラスも素晴らしい。

このアルバムのB面の評価が特に高いのも、この一連の構成が見事だということが一つの要因ではないでしょうか? 

 

5 The End

ビートルズは、アルバムを完成させるために、更にいくつかのセッションを行いましたが、それらが終わった時点で彼らの夢は終わりました。彼らは、過去6年に亘って、全世界にグループとしての自分たちを与えてきましたが、ここからは、ソロとしての自分自身を見つけるための時間を持つことになったのです。

彼らは、ビートルズとして出せるものを出し尽くしました。ビートルズとして彼らにできることはもう何も残っていなかったのです。それでもなおポールだけは、グループの存続にこだわっていましたが、それは、もはや望むべくもありませんでした。

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(参照文献)THE BEATLES BIBLE

(続く)

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