★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

思わず出てしまったイギリス式発音とリヴァプール訛り(231)

Performing hree part harmony on "This Boy" on "The Ed Sullivan Show" from Miami, February 1964.

1 Can't Buy Me Loveの歌詞について

(1)なぜ「me」なのか? 

前回の記事で「Can't Buy Me Love」のCan'tをポールは、イギリス式ではなくアメリカ式で発音していたと書きました。実は、この曲の歌詞をどう解釈するのかについては、色々な説が取り沙汰されてきたのです。

その発端となったのは、このタイトルの中にある「Me」という単語です。なぜ、ポールがこの単語を使ったのでしょうか?

Can't Buy 「My」 Loveだったら、解釈の余地はありません。「僕の愛をお金で買うことはできない。」と素直に解釈できるからです。ところが、そこを「Me」としたために話がややこしくなりました(^_^;) 

僕には愛を買えないってどういうことだ?愛はお金なんかで買えないということか? 愛はお金に変えられないということか?愛の表現としてお金以外のものをくれということか?と何通りにも解釈ができるからです。

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(2)リヴァプール訛り説まで登場した

「ダイヤモンドの指輪なんかいらないと言ってくれ」と歌っていることからすると、恋人に対して愛情を物で求めないでくれと訴えている気持ちだと考えられます。

それでも何かスッキリしないんですよね💦恋人に対して無償の愛を求めているのか、自分が無償の愛を提供しようとしているのかはっきりしないんです。

挙句の果てには「この曲は本当は「Can't Buy My Love」となるはずだったのだが、リヴァプール訛りでは、「My」を「Me」と発音するので、こういう表記になったのだ」という説まで出てきました。

私は、さすがにこれはないと思います。標準語で歌おうとして思わず訛りが出てしまったというのならともかく、歌詞にはっきりと書いてますからね。いくらなんでも、歌詞に訛りなんか使いませんよ。

  

(3)何通りの解釈もできる

ジョンは、「これは、リスナーがその意味をどう解釈するかを試すのにうってつけの歌詞だ。」と語っています。「ファンは、パフォーマーが何を訴えようとしているのかを感じようとするもんさ。」

ジョンは、この表現を気に入ったようですね。わざと曖昧な表現にすることによって、リスナーにいろんな解釈をさせることが面白いと思ったようです。もう少し後になると、彼は、難解な歌詞を世に送り出して、リスナーや専門家を混乱に陥れることになります。

ポール自身は、この単語を使ったことについて詳しく説明したわけではありません。ただ、彼は、「どう解釈してもらっても構わないけど、娼婦のことを歌った曲だというのはいくらなんでも行き過ぎだよ。」と語っています。

私がこうやってあれこれと講釈を垂れていることも、ポールにとっては「してやったり」というところなのかもしれませんね(笑)ジョンと違ってポールは分かりやすい歌詞を作ることが得意でしたが、これは、そんな彼のちょっとしたいたずらだったのかなという気もします。

ローリングストーンズは、1965年に(I Can’t Get No)Satisfactionで全英・全米チャート1位を獲得する大成功を収めました。彼らも「Can’t」をはっきり「キャント」とアメリカ式で発音しています。「ロックンロールを歌うならアメリカ式の発音で」というのが、彼らのお約束だったのでしょう。

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2 ジョンやジョージも

前回の記事で「ビートルズは、can’tのをアメリカ式で「キャント」と発音していたと書きました。ポールだけでなくジョンやジョージそしてリンゴも、歌うときはポールと同じようにアメリカ式に発音していたのです。この曲は、ジョンがリードヴォーカルですが、やはり「キャント」と発音しています。

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3 例外があった!

ただ、実は、これにも例外があってイギリス式に「カーント」と発音している曲があるんです!さて、ファンの皆さん、それは、どの曲のどの部分でしょう❓

正解を見る前にちょっと考えてみて下さい。これを正解できたら、ビートルズファンでも上級者と認定して良いと思います。さあ、シンキングタ〜イム♩〜

さて、正解は…。タタタタ〜(スネアドラムの音)、ドン(バスドラムの音)(笑)

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正解は、「Tell me what you see」の中の「Can't you try to see that I'm trying to get to you」の「Can't」でした。良く耳を澄まして聴いてみて下さい。

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ね❓「カーント」って、発音してるでしょ❓私が知ってるのは、この箇所だけですが、探せば他にもあるかもしれません。

不思議なのは、ジョンがなぜここだけこう発音したかなんですよ。他ではちゃんと「キャント」と発音しているのに。

あくまで想像ですが、ヴォーカルの時はアメリカ式の発音で歌っているのに、つい、ウッカリここだけイギリス式で発音しちゃったんじゃないかということです(笑)俳優がセリフを言う時にも、思わず方言のイントネーションが出てしまうことがありますが、それに近いですかね。

それにしても、ジョン本人はまだしも、メンバーもレコーディング・スタッフも、誰一人として気がつかなかったんですね(笑)っていうか、ポールやリンゴは、未だに気がついてないかもしれません。

  

4 この知識は自慢できるかも

これは、相当なマニアでも気が付いていないと思います。

もし、あなたの前でビートルズファンを自認して、上から目線で知識をひけらかして来る人がウザいと感じたら、この質問をぶつけてみましょう。かなりの確率でギャフンと言わせられますよ(笑)

私は、ガチのファンですが、ビートルズをあまり知らない人に対して、絶対に知識をひけらかすようなことはしないと決めています。もちろん、質問されれば答えますけどね。

私がウザがられるのは一向に構わないのですが、そのせいでビートルズまでもウザがられてしまっては、神を冒涜(ぼうとく)するに等しいことだと思うからです。「私のことは嫌いでも、ビートルズは嫌いにならないでくだちゃい!( ノД`)」というところですね(笑)

5 一番訛りが強かったのは誰だ?

4人の中でもポールは母親の教育で訛りが少なかったのですが、他の3人は完璧に訛ってました(笑)誰の訛りが一番強かったかという議論もよくファンの間では交わされているのですが、リンゴが一番強かったのではないかという気がします。

全員リヴァプール出身ですが、リンゴが住んでいた地域が一番治安が悪かったんです。訛りの強さとは関係ないかもしれませんけどね(^_^;)その次が、ジョージですかね。これは、映画「ア・ハード・デイズ・ナイト」のワンシーンですが、かなり訛ってますね。

映画の制作スタッフが、彼らの訛りが強くて観客に理解されないことを心配して、セリフだけ声優に吹き替えさせようかと真剣に検討した位ですから。

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もっとも、リンゴがリードヴォーカルを取る曲は少なかったので、ヴォーカルであまり訛りが出る機会はありませんでした。しかし、ジョージは、リードヴォーカルを取る機会が度々あったので、前期の頃の彼のヴォーカルには結構訛りが入っていることに気が付きます。

本人にしてみれば、一生懸命アメリカのロックンローラーのように歌っていたつもりだったんでしょうが、必ずしもそうはなっていませんでした。私は、初めて彼のリードヴォーカルを聞いた時に「ジョージって鼻が詰まってるのかな?」と思ったぐらいです。

例えば「Do You Want To Know A Secret?」という曲がありますが、これなんかは、かなり訛りが出ちゃってますね。

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本当は、発音記号で表した方が正確に表せるのですが、私も実際のところ正確には聴き取れてないので、カタカナで表記すると「Listen. Do You Want To Know A Secret?」というところは、「レスン。ダーユーウォナノウアセクレ?」と歌っているように聞こえます。

でも、こうやって方言が出ちゃってるところが逆に初々しいというか、可愛らしさを感じさせますね💖特に、彼がメンバーの中で一番歳下だったということもあり、地方出身の青年が大都会のロンドンに出てきて一生懸命頑張っている。そんな感じに聴こえます。

 

(参照文献)You Say Potato: A Book About Accents

(続く)