★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ジョン、マジで分ってねえぞ💦(どうすんだよお~💢)(260)

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歌詞カードを見るジョン

1 ジョンの様子がおかしい!

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トロント・ポップ・フェスティヴァルをエンジョイする観客

当時をクラプトンがこう回想しています。「ジョンは、薄汚い楽屋にただつっ立っていたが、様子がかなりおかしかった。『オレは、ここで何をしているんだ?ブライトンに来ているはずなのに!』

いや、そのブライトンにもう到着してるんですけどね(^_^;)これが普通のコンサートホールだったら、そんなことはなかったのかもしれませんが、競技場のあまりにボロい楽屋だったため、ジョンは、全く違う場所に連れてこられたと勘違いしてしまったのです。薬物中毒のせいで正常な判断ができなくなっていたんですね。

「結局、たった1回のコンサートに行くのに随分と長い道のりを辿った。」ポールが歌った「The Long And Winding Road」そのものです。

カナダのラジオ曲のキャスターだったアラン・クロスは、「レノンがベリー、ルイス、ヴィンセントらと薄汚い楽屋で出会ったとき、『私は価値がない』と言ってその場でひざまずいたと記憶している。それでもまあ、どうにかなるだろうと思っていた。」

いくらジョンが憧れていたレジェンドたちだとはいえ、彼のこの行為は、もはや常軌を逸しています。さすがの彼らも「おいおい、この若いの、薬のせいで頭がブッ飛んじまってるぜ💦大丈夫か?」と心配になったんじゃないでしょうか?クロスはどうにかなると楽観したようですが、こんな状態でよく演奏できたもんです。

 

2 トリは誰がやるんだ?

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ザ・ドアーズ

ザ・ドアーズとそのマネージャーであるビル・シドンズは、ブラウアと何度も仕事をしたという経験を踏まえ、彼らは、このコンサートが少々厄介だということをよく認識していました。つまり、ロックンロールのレジェンドから今人気絶頂のロックバンドまで、あまりにも多くのミュージシャンが出演していたため、誰がトリを取るかが大きな問題となったのです。今でこそロックフェスティヴァルは定着していますが、まだこの頃は草創期で、ミュージシャンが演奏する順番をどうするかなどといった基本的なことも、はっきりと決まっていなかったんです。

そのため、ドアーズがトリを努めることを内容とする契約書をブラウアに作成させました。この頃、彼らは人気絶頂でしたから、まあ順当なところでしょう。しかし、ジョン・レノンが出演することとなったため事態が一変しました。彼らは、ジョン、ヨーコ、エリック・クラプトンがドアーズより先にステージに上がると、彼らがステージに上がる前に観客がいなくなってしまうことを恐れたのです。

ブラウアは、こう語っています。「ビル・シドンズが私のところにやって来て、『ブラウア、ちょっといいかい?君とジョン・レノン、私とジム(・ファウリー。フェスティヴァルの司会者)とで話がしたいんだ。』と話しかけてきた。私が『分かった。』と応えると、ジョンが楽屋から出てきて私の隣に並んだ。そこで、ビルは『ジョンさん、我々は、あなたの演奏が終わると観客がみんながいなくなってしまうのではないかと不安なんです。だから、あなたが演奏する前に演奏したいんですよ。』と言った。」

彼らは、トリを務めることで事前に契約していたものの、まさか、ジョン・レノンが突然ステージに登場することになるとは夢にも思っていませんでした。「彼が先に演奏を終えて帰ってしまうと、それにつれて観客も一斉に帰ってしまう💦」と心配したのも無理はないでしょう。

3 ジョンは状況を理解していない!

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ジョニー・ブラウア

ジョンは、彼らに向き直って「でも、君たち(ドアーズ)がトリなんだろ?誰も帰ったりなんかしないさ!」と何ともノーテンキに応えたのです。シドンズと(ジム・)モリソン(ドアーズのヴォーカル)はお互いに顔を見合わせ、ジョンが現在、自分が置かれている状況をよく理解していないことにすぐに気づきました。彼らは、こんな状態のジョンをよくもまあステージで演奏させようなどと考えたもんだなという目でブラウアを見つめました。さぞかし、ブラウアも身の縮む思いだったでしょう(^_^;)

しかし、ブラウアも責められません。まさか、あのジョン・レノンがこんな酷い状態に陥っているなんて夢にも思いませんでしたから。ジョンが正確にその場の状況を理解していなかったことは事実であり、それは薬物中毒に起因すると思われます。

小さなライヴハウスでのギグじゃないんですよ?2万人もの観客がいる中で、ジョン・レノンが3年ぶりにステージに上がったとなったら、観客が熱狂するに決まっています。

そして、彼がステージを降りた途端、観客も一斉に帰ってしまうであろうことも大いに予想できました。だって、チケットが全く売れなかったのに、ジョンが出演するとニュースで流れた途端、あっという間に完売したんですから。つまり、殆どが彼を目当てに来た観客だということになります。

いかにドアーズが人気絶頂だったとはいえ、この状況でジョンが先に演奏して帰ったら、それにつれて観客がゴッソリ帰ってしまうのは目に見えています💦しかも、彼は、決して過去の人ではなく、まだ現役のビートルズのメンバーですからね。アルバム「アビイ・ロード」がリリースされる直前ではありましたが、彼が演奏した後でステージに上がる勇気のあるアーティストなんかいませんよ。

 

4 ドアーズを説得した


The Doors - Light My Fire

シドンズたちが必死でジョンに状況を理解してもらおうと説得していた時、たまたまリトル・リチャードが通りかかって彼らのやり取りを小耳にはさみました。彼は、話に割って入りました。「オレがトリをやるよ、それが一番良い。オレはキングだ。レノン、プロモーター、ドアーズ、オレはキングなんだよ、トリに相応しいのはオレさ。」ブラウアたち4人全員が唖然として、そこに立っていました。特にジョンとモリソンは、完全にラリっていてまともに話ができる状態ではありませんでした。

いやはや、ただでさえ薬物中毒者を相手に苦労して話をまとめようとしているのに、余計に話がややこしくなってしまいました。大御所ってこういう時に空気が読めなかったりするんですよね(^_^;)確かに、彼はスーパースターですが、一世代前の人ですから。

ブラウアは「リチャード、後にしてくれ。」と告げました。相手は大御所とはいえ、流石の彼も我慢できなかったんでしょう。リチャードは、その場を去りましたが、それでも約8m離れたところから、信じられないほど美しいソプラノで「オレはキングだ。お前たちはそれを知っている!」と歌っていました。ホントに迷惑な人ですね。

ブラウアは、ジョンに向かって、「楽屋に戻って下さい。ここは私が何とかしますから。」と告げ、彼がその場を去ってから、シドンズとモリソンに向かって話しました。「このショーは普通とは違うんだよ。ジョン・レノンがトリを務めることはない。彼は、プレイしたいときにプレイする。ドアーズがプレイしたくないなら、ホテルに戻ってくれて構わない。私は、ジョン・レノンの世話をしなければならないんだ。分かるだろ?ジョン・レノンだぜ。」シドンズは、モリソンを見てうなずき「分かった。うちがトリをやるよ。」とようやく応じてくれました。

ドアーズがブラウアの説得に応じてトリを取ってくれたので、なんとかその場は治りました。ブラウアの奮闘ぶりには敬意を表します。

 

5 ジョン、プレッシャーを覚える

「john lennon 1969」の画像検索結果

ジョンは、2万人の観客でびっしりと埋められたスタジアムを見て怖じ気づいてしまいました。前にも書きましたが、彼は、4人の中でも一番繊細な人で、コンサートの前にプレッシャーで吐いたりしていたんです。この時も、彼は、飛行機の中で何度も吐いていました。ロクに歌うことすらできなかったのです。

ビートルズとしてステージに立つことがなくなって早や3年が経っていました。その間、彼は、次々と傑作を生み出し、レコードの売り上げも絶好調だったのですが、ライヴについては長いブランクがあったのです。しかも、他のメンバーは一人もいません。せめてジョージがいてくれれば心強かったのですが、彼にも断られてしまいました。

おまけにバンドメンバーは、急きょ呼び集めたにわか仕立てで、飛行機の中で形だけリハーサルしただけです。いかに彼らが一流のミュージシャンたちであるとしても、さすがにこの状態で2万人の観客の前で演奏するのは心もとないですよね。また、ヨーコの前衛的なパフォーマンスが観客に拒絶されるかもしれないという不安もありました。

実は、飛行機の中で薬物が切れ、正気に戻ると一気にこういった不安が押し寄せていたんです。不安でパニックを起こしたジョンをクラプトンが付きっ切りで落ち着かせました。

本番を迎えるまでの間にも、いわゆる「Cold turkey(禁断症状)」を起こしましたが、ブラウアが急いで手に入れてくれたコカインをキメて何とか落ち着くことができました。それがなかったら、ステージに立てたかどうかも分からなかったところです。 

 

(参照文献)ZOOMER, Gloval NEWS, VICE

(続く)

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