★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ジョンとジョージはLSDを飲まされた(318)

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1 「二度とやるな」の意味するところは?

前回の記事でポールが「The long And Winding Road」にオーケストラを無断でフィーチャーしたフィル・スペクターに激怒し、彼に宛てた抗議文の最後に「二度とやるな」と書いたとお伝えしました。しかし、その前に彼は、もうビートルズとしては活動しないという「脱退宣言」を公表していました。そう宣言したにもかかわらず「二度とやるな」とは、言動が首尾一貫していないのではないかと疑問を投げかけました。
その後、ファンの方とこのことについて議論した結果、スペクターがアルバム「Let It Be」をプロデュースしている途中だったので、これ以上余計なことをさせないためにそう書いたのではないかという考えが浮かび上がりました。ポールがそういうつもりで書いたのかどうかまでは分りませんが、そう考えると確かに辻褄は合うんですよ。
もし、彼がこの一言を書かなかったら、ひょっとすると「Let It Be」にも壮大なオーケストラがフィーチャーされていたかもしれません。これは、実際にオーバーダブした音源がないので推測するしかないのですが、仮にそうなっていたとしたら、あの名曲が台無しになってしまったのではないかと思います。
The long And Winding Road」のオーケストラにしても、今ではそのヴァージョンを評価する人の方が多いようですが、私は、少し仰々しすぎてウザいと感じています。 ポールがリクエストしたように、オーケストラを入れるにしても、もう少し音量を絞るべきだったのではないかと思います。

 

2 ジョンが活力を失った

Life of John Lennon - Mirror Online

ジョンは、バンドを結成した時からしっかりビートルズをまとめ、リーダーとしての役割を十分に果たしてきました。そんな彼に少しずつ変化が現れたのです。ブライアンが亡くなる前に、既にその兆候は表れていました。このことについては、以前にもこのブログで触れたところです。
ビートルズは、1966年8月にツアーを中止し、メンバーそれぞれが単独で行動するようになり、ファンやマスコミにずっと追い回されていた彼らの生活が一変したのです。メンバーの中でその変化に一番戸惑っていたのはジョンでした。
妻のシンシアとまだ幼いジュリアンと郊外の自宅で長い時間を過ごすようになり、暇を持て余していた彼は、毎日のようにLSDを使用し始めました。それから、彼は、ビートルズを率いることに興味を失い、強力なリーダーシップを発揮しようとはしませんでした。現代でいうところの「燃え尽き症候群」だったのかもしれません。
これが解散の要因の一つとなったのですが、ブライアン・エプスタインの死、そして、LSDの常用がそれに拍車をかけました。

 

3 LSDを使用するきっかけ

(1)知らぬうちに飲まされた

The Cosmic Empire — George, Pattie, John, Cynthia and Julian...

1965年春のことでした。ジョンと妻のシンシア、ジョージと妻のパティーは、ロンドンでジョンとジョージの2人のかかりつけ歯科医であるジョン・ライリーと彼の恋人のシンディ・ベリーの自宅でのディナーに招待されました。ライリーは、ジョンとジョージの歯のホームドクターだったのです。
ライリーは、4人が食事を終えた後にコーヒーを勧めました。その直後、彼は、LSD入りの角砂糖をコーヒーに入れたことをジョンに打ち明けました。それを聞いたジョンは「よくもこんなことをしてくれたな💢 」と激怒しました。そりゃ、当然ですよね。
その当時、ジョンは、LSDを使用したことはありませんでしたが、知識はありました。LSDは強力な幻覚剤であり、使用した人間の思考や感情、視覚などを激変させることで、その恐ろしい状況を観察した人々から怖れられていました。アメリカの心理学者であるティモシー・リアリーは、1963年にこの物質を使って実験的な治療を行ったため、ハーバード大学を解雇されたことで知られています。

(2)飲んでも構わないと言っていた?

シンシアは、その時の体験を「まるでホラー映画の中に突然入り込んだかのようだった。」と語っています。「部屋がどんどん大きくなっていくみたいに感じたわ。」ビートルとその妻たちは、ジョージのミニクーパーに飛び乗ってライリーの家から脱出しました。
ベリーが語ったところによると、ジョンとジョージは、「LSDを自分が知らないうちにこっそり飲まされるなら構わない。」と以前から言っていたらしいのです。つまり、彼らは、LSDに興味はあったものの、かなりヤバい薬だということはよく知っていたので、自ら服用するの怖くてできなかった。でも、誰かが知らない間に飲ませてくれるなら、それでもいいと考えていたということになります。ライリーは、彼女からその話を聞いていたので、コーヒーに入れたのかもしれません。
彼女の話がどこまで信用できるか怪しいのですが、その時にはすでにビートルたちは、マリファナで薬物デビューは済ませており、その他の薬物にも興味を抱いていたことには違いないので、まんざらウソとも言い切れない気がします。だからといって、無断で飲ませるのは犯罪行為ですけどね。

 

4 薬物の恐ろしさ

(1)強烈な幻覚症状


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ジョンがその時の様子を語った動画です。念のために申し上げておきますが、私は、ビートルズが薬物を体験した事実をお伝えしているだけであって、決して読者の皆さんに薬物の使用を勧めているわけではありません。そのことは、皆さんが十分理解されているとは思いますが、薬物の使用は絶対にダメですからね。ただ、ビートルズを語るにあたって、この問題は避けて通れないために触れているのです。
ジョン夫妻とジョージ夫妻は、レスター・スクエアにあるクラブ「アド・リブ」に行きました。彼らは、幻覚症状でパニックに陥りました。
ジョンは、1971年のローリングストーン誌のインタヴューに対し、こう語っています。「そこで起きたのはとんでもないことだった。我々は、クラブに到着した時、そこが火事になっていて、我々は、道の上でキャッキャッと騒いでいるように感じたんだ。そして、人々が窓をブチ破ろうぜと言っていた。そうさ、我々は、常軌を逸していたんだ。」

「やっとエレベーターまで辿り着いたら、そこが火事になっていると思った。小さな赤いランプが点いただけなのに、みんな怖くて叫んだんだ。エレベーターが到着してドアが開くと、みんな『わあ~』って飛び出した。そしたら、そこがクラブだって気がついたんだ。中に入ってテーブルにつくと、ただの4人掛けのテーブルに過ぎないのに、とてつもなく長いように思えた。」

「誰か歌手がやってきて、『隣に座ってもよろしいですか?』と聞いてきた。私は『しゃべらないならな!』と応えた。何も考えられなかったからね。ジョージが彼のミニクーパーでどうにかこうにか家まで送ってくれた。16キロ行くのに1時間もかかったよ。」

「変なジョークが次から次へと頭に浮かんでしゃべりまくっていたら、ジョージが『あまり笑わせないでくれよ。』って笑ってたよ。」
ジョージは、同誌にこう語っています。「神がいて、草の葉の一枚一枚に神を見ることができるような、圧倒的な幸福感に包まれた。12時間で何百年もの経験を積んだような感じだった。」

(2)アルバム「Revolver」をもたらした

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彼らは、ロンドン郊外のイーシャーにあるジョージ夫妻の家にたどり着きました。ジョンは、こう語っています。「ああ、とにかく怖かったけど、最高だったよ。ジョージの家は、まるで大きな潜水艦のようだった...18フィートの壁の上に浮かんでいるようで、僕がそれを運転していたんだ。その時に描いた絵は、4つの顔が『私たちは皆、あなたに同意します。」と言っているものだった。1、2か月は、かなりハイになっていたよ。」
彼らは、LSDを初めて服用したので、薬に耐性がなくそれだけ作用も強力だったのでしょう。図らずもLSDを使用したことで、翌年、彼らは、大胆で革新的なアルバムである「Revolver」を制作しました。「Tomorrow Never Knows」などは、正に薬物の影響を抜きには描けなかった世界でしょう。

5 ヒタ隠しにしていた

しかし、ビートルズは、薬物を使用している事実を隠し続けていました。1964年2月にニューヨークの「エドサリヴァン・ショー」に出演して以来、ビートルズは、世界で最も有名なアーティストとなり、若者に音楽だけでなくロングヘアなど文化や思想にまで大きな影響を与えましたが、薬物に関する話題だけは避けてきました。
1964年8月にボブ・ディランがホテルの部屋でマリファナを紹介して以来、ビートルズは、定期的にマリファナを使用していました。1965年の「ラバー・ソウル」は、マリファナの影響でそれまでのアイドル路線とは一線を画す、より内向的で魅惑的なものになりました。
それ以来、薬物は、ビートルズサウンド、自己認識や視点など様々な面で、ビートルズを大きく変えることになりました。ファンとしては、複雑な心境です💦

(参照文献)ローリングストーン

(続く)

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