★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ビートルズとモータウンはウィンウィンの関係だった(479)

モータウン・レーベルを立ち上げたゴーディ

1 ビートルズのおかげ

(1)有利な契約を結べた

ビートルズがイギリスにモータウンサウンドを広めてくれたおかげで、ゴーディは、レコード会社とより良い条件で配給契約を交渉することができました。フィリップスのフォンタナと短期間の契約を結んだ後、ゴーディは、1962年9月にオリオール・レコードと長期契約を結び、コントゥアーズの「Do You Love Me」、スティーヴィー・ワンダーの「Fingertips」、マーヴィン・ゲイの「Stubborn Kind of Fellow」など、1年間で19枚のシングルをリリースしました。まさに「ビートルズ様々」と言ったところです。ゴーディは、モータウンといくつかの傘下レーベルを設立した後、より有利な契約となることを期待して、イギリスでの販売権をEMIにライセンスしたのです。

(2)ジェフ・エメリックモータウンサウンドに初めて触れた

ジェフ・エメリックリンゴ・スター

興味深いことに、ビートルズモータウンと間接的に接触したのは、彼らのレコーディング・エンジニアを務めていたジェフ・エメリックを通じてでした。彼は、自伝「Here, There, and Everywhere」でこのことについて詳しく述べています。彼の初期の仕事の一つは、イギリスで配給するためにEMIに送られてきたアメリカのレコードをリマスタリングすることでした。

「『タムラ・モータウン』の素材が届いたとき、私の仕事は特に大変だった。私は、常に彼らのふくよかで低音が豊かなサウンドに適応するように努めていたが、うまくできないことがわかりとてもイライラした」「その理由がEMIの機材に関係していることに気づくまでかなり時間がかかった。それは、アメリカの機材の水準に達していなかったのだ。」当時、エメリックを苛立たせるほど、アメリカのレコーディングの機材が優れていて、イギリスはそれに追いついていなかったのです。あのエメリックですら、当初はそのことに気づきませんでした。

 

 

2 ビートルズからカヴァーのオファーがあった

(1)印税の値引きを要求した

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アメリカに戻ったゴーディは、1964年初頭にヒッツヴィルに特別な訪問者を迎えました。ビートルズのマネージャーであるブライアン・エプスタインです。「To Be Loved」で書かれているように、ブライアンは、ゴーディに自分とビートルズモータウンサウンドをどれほど愛しているかを伝え、「それが彼らに与えた大きな影響について語りたい」と考えていました。「モータウンサウンドビートルズを作った」と言っても過言ではありませんから、ブライアンがビートルズの源流を辿りたいと思ったのは自然な流れです。

数か月後、ゴーディは、ブライアンの代理人から電話を受けました。ビートルズは、セカンドアルバム用にモータウンの曲を3曲、「Money」「You Really Got a Hold on Me」「Please Mr. Postman」をレコーディングしたいと望んでいました。ゴーディはこれを聞いて喜びましたが、出版印税の割引という提案には乗り気ではありませんでした。

(2)ブライアンとのチキンレース

ブライアンの事務所は、モータウンに1曲あたり2セントという標準的な金額ではなく、1.5セントを提示したのです。25%も値引きしてくれとはかなり吹っ掛けましたね。最初、ゴーディはその提案をきっぱりと断りましたが、翌日同じ人物から電話があり、正午までに出版印税の割引額を決める必要があると告げられました。時間がないと相手を心理的に追い込むとはなかなかしたたかです。

ゴーディは、ロビンソン、全国販売促進部長のバーニー・エールズ、ロバートとルーシー・ゴーディの兄弟を事務所に呼びました。激しい議論の末、ゴーディは、潜在的な売り上げに見合う価値があると判断し、しぶしぶ割引額に同意しました。どちらが先に折れるかのチキンレースでしたが、ブライアンの勝利に終わりました。

 

 

3 イギリスにもモータウンサウンドが広がった

(1)「負けるが勝ち」

1965年3月にロンドンのマーブル・アーチでツアーが始まる数日前のシュープリームス

「私が降参したことを、私も含めて皆が喜んでいた。その日の午後2時頃、ニュースが届くまでは」とゴーディは書き残しています。「キャピトル・レコードは販売店にアルバムの在庫を持っていて、ちょうどその瞬間にラジオ局や店に発送していた。私たちの3曲が入ったビートルズのニューアルバムは、すでにレコーディング、ミックス、マスタリング、プレス、出荷が終わっていた」つまり、レコードはすでに出荷されていたので、ゴーディは、急いで譲歩する必要はなかったのです。その時、「ブライアンにしてやられた」とゴーディは思ったことでしょう。

ゴーディは、当初、印税の率に満足していなかったかもしれませんが、その決定が賢明なものであったことが後に証明されました。ビートルズがカヴァーしてくれたおかげで、アルバムの売り上げとともに印税が滝のように流れ込んできたのです。まさに「商売は損して得とれ」という諺通りですね。

(2)モータウンのミュージシャンがリヴァプールサウンドをカヴァーした

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さらなるヒットを出すことはできませんでしたが、モータウンは、ついにメアリー・ウェルズの「My Guy」でイギリスでのヒットを達成し、このシングルは、1964年6月に最高5位に達しました。ビートルズは、ウェルズのファンであると公言し、彼女を「恋人」と呼び、10月9日から11月10日までの短いイギリスツアーのオープニングアクトに彼女を招きました。

イギリスでのモータウンの成功の鍵となったのはビートルズであり、アルバム「With The Beatles」で彼らがモータウンの曲をカヴァーしたことで、イギリスのリスナーにレーベルの存在をより一層認知させることになりました。この成功に乗じて、ゴーディは、レーベル最大のスターたちであるウェルズ、シュープリームス、マーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラス、ミラクルズ、テンプテーションズをその年の10月にイギリスのプロモーション・ツアーに送り込みました。11月にシュープリームスが「トップ・オブ・ザ・ポップス」に出演したことで「Baby Love」がチャート1位を獲得し、ついにモータウンにイギリスで初の大ヒットをもたらしたのです。

イギリスのリスナーは、モータウンのグループを熱狂的に受け入れ、その見返りとしてシュープリームスは、アルバム「A Bit of Liverpool」をリリースし、ビートルズのアルバム「Please Please Me」のカヴァーを真似たプロモーション写真を撮ることで、お互いへの尊敬の念を示しました。正にウィンウィンの関係(双方に利益があること)だったのです。

 

 

4 タムラ・モータウン・レーベルの立ち上げ

(1)新しいレーベルを立ち上げた

テンプテーションズ

イギリスにおけるモータウンの普及が遅いことにまだ不満を抱いていたゴーディは、デトロイトでタムラ・モータウン愛好協会の創設者でジャーナリストのデイヴ・ゴーディンと会い、イギリスでよりうまく進出する方法について話し合いたいと要請しました。デイヴは、モータウンと区別するために別のブランドを作ることを提案し、こうしてゴーディは1965年にEMI傘下でタムラ・モータウン・レーベルを立ち上げました。

この新レーベルの立ち上げと、新しいシングルであるシュープリームスの「Stop! In the Name of Love」のリリースに合わせて、モータウン・レヴューは21日間のパッケージ・ツアーに乗り出しました。ダスティ・スプリングフィールドが司会を務める「レディ・ステディ・ゴー!」という番組のスペシャル企画である「ザ・サウンズ・オブ・モータウン」には、シュープリームス、ロビンソン&ザ・ミラクルズ、スティーヴィー・ワンダーテンプテーションズ、マーサ・リーヴス&ザ・ヴァンデラス、ゲイといった豪華なアーティストたちが出演しました。

(2)ビートルズと初めて面会した

1968年1月、シュープリームスのロンドン・デビューショー

モータウン・レヴューのパッケージツアーで、ゴーディは、ついにビートルズと直接会いました。ゴーディが「To Be Loved」で述べているように、彼は、父親と子供たちを連れてグループに会いに行きました。「一緒に写真を撮りながら、2枚目のアルバムの3曲を彼らが演奏してくれたことにとても感激したと伝えた。彼らは、モータウンの音楽が自分たちにとってどんな意味があったか、スモーキーの曲、ジェイムス・ジェマーソンのベース演奏、ベニー・ベンジャミンの力強いドラムの音がどれほど好きだったか話してくれた」と彼は語りました。

ゴーディは、ジョンがリヴァプール訛りでマーヴィン・ゲイの名前を「ガイ」と発音したことに注目し、彼らがモータウンのアーティスト全員について知っていることに感銘を受けたようでした。まだまだ人種差別が酷い時代でしたから、自分たちの音楽が白人に受け入れられて市民権を獲得したことは言葉に言い表せないほどの喜びだったでしょう。それにしても、リヴァプール訛りで「ゲイ」を「ガイ」と発音するとは知りませんでした。

(参照文献)サムシング・ニュー

(続く)

 

 

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