- 1 「Birthday」はインスピレーションを受けて制作された
- 2 公式213曲のうち25曲がカヴァー
- 3 最も多くカヴァーしたアーティストは?
- 4 インスピレーションを受けて制作された「Birthday」
- 5 どのようにして制作したのか?
1 「Birthday」はインスピレーションを受けて制作された
www.youtube.comビートルズ ファンの皆さんなら、ホワイトアルバムの中に「Birthday」という曲があるのをご存知だと思います。ビートルズの作品の中では必ずしも高い評価を受けているわけではありませんが、アップテンポでノリのいいロックで演奏すると盛り上がるので、作曲したポールも自身のソロライヴで度々演奏しています。
実はこれは、他のアーティストの楽曲からヒントを得て制作されたものです。そこで今回は、そのことについてお話しするとともに、その前にビートルズが他のアーティストの楽曲をカヴァーするところからスタートして、徐々に自分たちのオリジナルを制作していった過程を振り返ってみたいと思います。
ビートルズは、メジャーデビューからアルバムやコンサートで演奏する全ての作品を自分たちのオリジナル曲で満たしていたわけではありません。彼らは、自分たちのお気に入りのアーティストや楽曲をカヴァーしてアルバムに収録し、コンサートで演奏していました。そういう意味でカヴァー曲は、ビートルズのキャリア全体を通してレパートリーに欠かせないものでした。
2 公式213曲のうち25曲がカヴァー
ビートルズの主要レコーディング曲について言えば、彼らは現役時代に213曲をレコーディングしました。そのうちカヴァー曲はわずか25曲ですが、それでもバンドが収録した総曲数の10%を超えています。バンドが独自のスタイルを確立するにつれて、カヴァー曲の頻度は大幅に減りました。それでも、「Rubber Soul」や「Revolver」などのアルバムでバンドがロック音楽の音楽的可能性を広げたにもかかわらず、ライヴでは昔ながらのカヴァー曲を演奏し続けました。
ライヴでもっとも多く演奏されたカヴァー曲について言えば、セットリストによると、バンドが最も多く演奏した5曲のうち3曲がカヴァー曲でした。初期のライヴでジョージは、リードヴォーカルを1回しか担当しないことが多く、彼のお気に入りの曲はチャック・ベリーの「Roll Over Beethoven」であり、3年間で203回も演奏されています。バンドのセットリストの最後を飾るお気に入りはリトル・リチャードの「Long Tall Sally」で、ポールはこの曲を250回歌い上げ、1964年だけで173 回演奏しました。
しかし、他のどのカヴァーよりも頻繁に演奏されたのは、ビートルズの代名詞となった曲、トップス・ノーツの「Twist and Shout」です。この曲がバンドの伝説として長く残っていることを考えると、ファン以外の人は、この曲が彼らのオリジナル曲であると勘違いしているかもしれません。
1962年に発表されて以来、この曲がコンサートのセットリストから外されることはほとんどなく、ビートルズはこの曲を374回もカヴァーしました。もっと多く演奏できたかもしれませんが、バンドは1966年の最後のツアーでこの曲を演奏しなくなりました。
3 最も多くカヴァーしたアーティストは?
(1)当然ロックンローラーがメイン
では、ビートルズが最も多くカヴァーしたアーティストは誰でしょうか?当然ながら、このグループは、ロックンロールの先駆者である伝説のアーティストに最も惹かれました。
確認済みのレコーディングとしては、リトル・リチャードの「Long Tall Sally」「Lucille」「Ooh! My Soul」、ラリー・ウィリアムズの「Slow Down」「Dizzy Miss Lizzy」「Bad Boy」、そしてアーサー・アレキサンダーの「Anna (Go To Him)」「A Shot of Rhythm and Blues」「Soldier of Love (Lay Your Arms Down)」の3曲が収録されています。
ジョージの歴代お気に入りのギタリストの一人であるカール・パーキンスは、6曲の公式カヴァー「Matchbox」「Everybody's Trying to Be My Baby」「Honey Don't」「Sure to Fall (In Love With You)」「Glad All Over」「Lend Me Your Comb」で2位にランクインしました。
(2)もっとも多くカヴァーしたアーティスト
しかし、量という点では、チャック・ベリーのビートルズに対する支配力に勝るものはありませんでした。前述の「Roll Over Beethoven」のほか、バンドは「Rock and Roll Music」「Too Much Monkey Business」「Carol」「Johnny B. Goode」「Memphis, Tennessee」「Sweet Little Sixteen」「I Got to Find My Baby」「I’m Talking to You」と合計9曲のカヴァーを制作しました。
「ロックンロールに別の名前をつけるとしたら、チャック・ベリーかな」とジョンはかつて言いましたが、確かに彼の言葉は適切な表現といえるでしょう。実際、ビートルズの初期の作曲家としてのキャリアの大半で、彼とポールは歌詞と曲を交換していました。そして、2人ともチャック・ベリーという一人の人物から影響を受けていたことは間違いありません。「僕らにとって、彼は、エキゾチックでありながら同時に普通の音楽を作る魔術師だった」と、ポールはベリーの死後、自身のウェブサイトに書きました。「僕らは彼から多くのことを学び、それらは、僕らをロックンロールの夢の世界へと導いてくれた」
彼らは、ロックンロールのヒーローに、自分たちが知る最高の方法で敬意を表しました。それは、一連の完璧なカヴァー曲でした。ビートルズはチャック・ベリーを愛しており、それは常に進化するセットリストに表れていました。
4 インスピレーションを受けて制作された「Birthday」
(1)意外なところにヒントが
ビートルズは、ボブ・ディランの作曲の才能やロイ・オービソンの比類ないロックンロールなど様々なアーティストに触発され、同世代や先駆者たちからインスピレーションを得ることが多かったのです。後者の影響は、特に1曲で顕著に現れました。
ホワイトアルバムとしても知られるビートルズのセルフタイトルアルバムには、「Birthday」というロックンロールの曲が収録されています。これはかなりシンプルな曲で、元気なギターと、お祝いの遊び心のある率直な歌詞が組み合わされている。「今日は君の誕生日なんだってね。僕の誕生日でもあるんだよ」と曲は始まります。モジョ誌のインタヴューで、ポールは、オービソンとリトル・リチャードの両方がこの曲にインスピレーションを与えたと語りました。
(2)異例なセッションで制作
ポールは、この曲はバンドにとって特に異例なセッションで書かれたと語っています。彼らは、単独で曲を書いていたわけではなく、誕生日を祝うためにパティ・ボイドやテリー・ドランを含む友人のグループが参加していました。「普段はセッションに友人が来ることはなかったので、とても異例なことだった」とポールは回想しています。「どんな曲を作ればいいか分からなかったので、自分たちで一つの曲を作ることにしたんだ」
誰の誕生日だったのかはわかりませんが、誕生祝いに曲を作る流れになりました。そのため、ビートルズの多くの友人たちもセッションに参加したのです。ビートルズのレコーディングは、メンバーと関係者以外はスタジオに入室できないという不文律からすると確かにこれは異例です。
5 どのようにして制作したのか?
(1)二つの曲からヒントを得た
ポールは、次のように続けます。「ロイ・オービソンが『Pretty Woman』でやったこと、そしてリトル・リチャードが『Lucille』で始めたことを僕らはやったんだ」と彼は回想しました。「ドゥードゥ、ドゥードゥ、ドゥードゥ、ドゥードゥ、ロイ・オービソンはこんな風に歌った、ドゥードゥ、ドゥードゥ、ドゥードゥ、ドゥードゥ、彼は最後を少しだけ変えただけさ」これはキャッチーなイントロの部分ですね。
ビートルズは、このアイデアをもう一度進めて独自のアレンジを加えました。「基本的に『Lucille』と『Pretty Woman』のリフを『Birthday』に変えたんだ。ドゥードゥ、ドゥードゥ、ドゥードゥ…『今日は君の誕生日なんだってね』って」と彼は説明しました。
(2)他の楽曲を取り入れる巧みさ
その結果生まれたのが「Birthday」です。ロイ・オービソンとリトル・リチャードの影響とビートルズの比類ないスタイルと作曲がミックスされた曲です。この曲には、彼らのロックンロールの先駆者たちの影響が見て取れます。「Oh, Pretty Woman」「Lucille」にもぴったりの刺激的なリフですが、ビートルズはそれを自分たちのものにし、あらゆるパーティーのプレイリストにぴったりの遊び心のある曲に仕上げました。
作曲したポール自身が語っているのですから間違いありません。これらの曲の類似性は、以前からリスナーによっても指摘されていました。それぞれの曲のギターを取り出してリフを比較してみると類似していることがよくわかります。ロックンロールという比較的狭いジャンルとなると、どうしてもリフなどは似通ってきます。
(参照文献)ファーアウト
(続く)
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