★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ジョージの最初のエレキギターがオークションで落札された(552)

ハンブルクでフーチュラマを手にポーズを取るジョージ

1 輸入規制により入手困難だったアメリカ製のエレキギター

落札されたジョージのフーチュラマ

ジョージ・ハリスンが初めて購入したエレキギターが2024年11月、オークションにかけられ、127万ドルという破格の値段で落札されたというニュースがありました。前回へシーズ楽器店の話をしたので、そのギターに関する話をします。

1950年代後半、リヴァプールは音楽家志望の若者たちの溜まり場であり、若きジョージも例外ではありませんでした。彼は、同世代の多くのギタリストと同様に、アメリカから発信される革新的なロックンロールのサウンドに魅了されていました。現代性と反骨精神の象徴であるフェンダーストラトキャスターを操るバディ・ホリーの姿は、ジョージの同じタイプの楽器への憧れを掻き立てました。しかし、戦後のイギリスは状況がアメリカとは全く異なっていました。

当時のイギリスは深刻な外貨不足に見舞われており、貴重なドルの流出を防ぐためにアメリカ製品の輸入を規制していました。そのためアメリカ製のギターは、ほとんどのイギリス人ミュージシャンにとって手の届かないものになっていました。

 

 

2 レゾネット・フーチュラマを手に入れた

(1)ストラトキャスターのクローン

ストラトキャスターに寄せて作ったフューチュラマ

そこで登場したのが、レゾネット・フーチュラマです。チェコスロバキアで製造されたフーチュラマは、実質的にはストラトキャスターのクローンで、ストラトキャスターと似た外観と機能性を備えながらはるかに低価格でした。ジョージにとって、これはまさに夢のギターに最も近いものでした。彼は1959年、リヴァプールのフランク・ヘシーの楽器店で購入し、すぐに彼のお気に入りの楽器となりました。

ジョージがこの伝説的なギターを購入したことは、彼の初期の音楽的発展とビートルズの初期のサウンドを形作る極めて重要な瞬間となりました。特徴的なサンバースト仕上げと3ピックアップ構成は、ビートルズの初期のパフォーマンスを捉えた数多くの写真やビデオで見ることができます。

(2)いつもジョージの傍らにあった

フューチュラマを手にするジョージ

フューチュラマは、ビートルズ結成期を通してジョージに常に寄り添う存在でした。バンドの精力的なリハーサル、キャヴァーン・クラブでの熱狂的なパフォーマンス、そしてドイツのハンブルクのクラブでの過酷なパフォーマンスを体現してきたのです。

こうした初期の経験は、しばしば狭苦しく煙の充満した会場で行われ、ビートルズの音楽スキルを磨き上げ、彼ら独特の化学反応を生み出しました。そして、その間ずっとフューチュラマはそこに存在し、その明るくジャングリーなトーンが混沌を切り裂くように響いていました。

 

 

3 本当はストラトキャスターが欲しかった

(1)アメリカ製品の輸入は厳しく規制されていた

1950年代後半にごく短期間製造されたレゾネット・グラツィオーソ・ギターは、チェコスロバキアのドレヴォコフ社によって製造されました。フェンダーストラトキャスターに強い影響を受けており、複雑なトレモロユニットや個別のピックアップセレクタースイッチといった先進的な設計が採用されていました。

ロンドンのセルマー社は、ストラトキャスターの代替品としてグラツィオーソを輸入することを決定し、フューチュラマと改名しました。当時イギリスで入手可能な最高かつ最も未来的なエレキギターであったことは間違いありません。アルバート・リー、ジミー・ペイジ、そしてもちろんジョージをはじめとする多くの若いイギリス人ロックンローラーにとって、初めてのソリッドボディギターとなりました。

(2)ストラトが欲しかった

アルバムカヴァーでストラトキャスターを持つバディ・ホリー

「もし私の思い通りにできたら、ストラトが最初のギターになっていただろう。バディ・ホリーストラトを…『チャーピング・クリケッツ』のアルバムカヴァーで見て、探してみようと思ったんだ。でも、当時リヴァプールストラトに似たものといえばフューチュラマくらいしかなかったんだよ。これを弾くのはとても難しくて、弦が指板から半インチくらい離れちゃうんだ…でも、それでもちょっと未来的な見た目だったんだ」*1

ジョージは、ストラトキャスターの代わりにフューチュラマを手に入れましたが、弦高が高い、つまり、指板と弦の間隔が離れていて強く押さえないと音が出ないため、初心者には演奏が難しかったのでしょう。それでも彼にとっては夢のギターでした。

 

 

4 壁にかけてあったギターが全部落ちた

ジョージは1959年11月にリヴァプールのヘシーズ楽器店でこのギターを購入しましたが、ビートルズの「アンソロジー」シリーズの本の中でそのときのことを次のように回想しています。

「フューチュラマを買った時、ポールも一緒に来てくれたんだ。他のギターと一緒に壁に掛けてあって、ポールはアンプに繋いだんだけど、音が出なくて音量をグイッと上げたんだ。ギターにはロッカースイッチが3つ付いていて、そのうちの1つを押した途端、アンプからものすごい音が鳴り響いて、他のギターは全部壁から落ちちゃったよ」

当時ジョージはまだ16歳だったため、母親が購入契約書に署名する必要がありました。ジョージはラリー・パーンズのオーディションや、ジョニー・ジェントルとのスコットランドツアーでこのギターを演奏しました。1960年8月、ジョージはフューチュラマを持ってドイツのハンブルクに行き、そこでビートルズはインドラ・クラブで初めて演奏し、その後カイザーケラーで演奏したほか、トップ・テン・クラブでトニー・シェリダンと数回ジャムセッションを行いました。

 

 

5 ピート・ベストの弟からギターを借りた

(1)酷使してネック部分が損傷した

フューチュラを演奏するジョージ

しかし、ビートルズハンブルクから戻ったとき、ジョージのフューチュラマのネック部分が損傷してしまいました。彼はそれを修理に出している間に、ピート・ベストの弟のロリーにギターを貸してくれと頼んだのです。

兄弟の母親であるモナ・ベストはロリーにジョージのものと全く同じフューチュラマを買っていましたが、ロリーはまだギターを使いこなせていなかったため、新品同様の状態でした。そこで、ジョージは自分のギターをロリーのギターと交換し、ロリーにギターのレッスンをすることを約束しましたが、結局レッスンはやらないままでした。

(2)借りたギターがボロボロになった

ロリー・ベストの回想です。「ジョージのギターのネックが壊れてしまったんだ。フューチュラマはユーゴスラビア製だったので、修理のためにそちらに送らなければならなかった。彼は、私のギターを借りたいと言ってきたから『ギターを教えてくれたらね』と答えた」

「それで、彼は1年ほど借りていたと思う。結局、ギターは教えてくれなかったよ。そして、完全に新品だったギターが、かなり傷んだ状態で戻ってきたんだ」

ロリーは、後にビートルズのドラマーになるピートの弟です。彼がたまたまジョージと同じギターを持っていたので、ジョージはギターを修理に出している1年間ほどギターを借りたのです。しかし、酷使したためギターはボロボロになってしまいました。

(3)2度目のハンブルクで使ったのはロリーのギター

フーチュラマで「Cry For A Shadow」をレコーディング中のジョージ

ビートルズハンブルクに2度目の巡業をしたときの写真には、ジョージがロリーのレゾネット・フューチュラマを手にしている姿が写っています。ジョージはリヴァプールハンブルクでロリーのギターを使用していました。おそらくほとんどの人がジョージが買ったギターだと思っていると思うんですが、実はロリーから借りたものだったんです。

そして、1961年6月のポリドールのレコーディングである「Cry For A Shadow」などで聴けるのも実はロリーのギターなのです。ジョージは、1961年後半に中古の1957年製グレッチ6128デュオジェットを購入した後、レゾネット・フューチュラマをロリーに返却し、ロリーはそれを弟のローグに譲りました。

このギターは、リヴァプールビートルズ・ストーリー博物館に展示されました。ローグが2018年、リヴァプールにマジカル・ヒストリー・ミュージアム(現在はリヴァプールビートルズ博物館と改名)を開設した際にこのギターも展示されています。このギター交換の話はオークションの主催者であるボナムズは知らなかったようで、プレスリリースにも記載されていません。

6 ジョージ自身が賞品としてギターを出品した

ビートルズ博物館

オークションに出品されたのは、ジョージが所有していたギターです。1964年、ジョージはこのギターをビート・インストゥルメンタル・マガジンのコンテストの賞品として寄贈しました。

しかし、コンテストの優勝者、サセックス州ソルトディーンのA・J・トンプソンは、ギターではなく賞金を受け取ることを選んだため、ギターは雑誌の発行者であるショーン・オマホニーのコレクションに残りました。オマホニーは公式のビートルズ・マンスリー・ファン雑誌も発行していました。

オマホニーはこう回想しています。「当選者にギターを弾くか尋ねたら、弾かないと答えた。だから『金の方が欲しいのかい?』と聞いたら、彼は『はい』と答えた。彼はギターが欲しかったのではなく、金が欲しかったんだ。とても嬉しかったよ。ギターは今でも持っているよ。ケースにはハンブルクのステッカーが貼ってある」*2

(参照文献)ジュリアンズオークション、ザ・デイリー・ビートル

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*1:ジョージ、ビートルズギア

*2:ビートルズ・ギア