読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その81)「THE BEATLES」のロゴは誰が考えた?(その6) 第6号そして最後のドロップ-T、第7号「レット・イット・ビー・ヘッド」登場

1  ドロップーT第6号のその後
この写真は、1966年6月16日、ビートルズにとってサイトのTV出演となった、イギリスのTV番組「トップ・オヴ・ザ・ポップス」のワンシーンです。

f:id:abbeyroad0310:20160827100733j:image
(beatlesuits.com)
このスキンは、1967年6月25日に全世界で衛星放送され、ビートルズが「All You Need Is Love」を演奏した「アウア・ワールド」の生放送の際に、バスドラムから一時的に取り外されました。このロゴ・ヘッドは、アウア・ワールドのリハーサルの時には装着されていたという記録が残っています。

 

しかし、放送直前に取り外され、9月11日から撮影を開始した映画マジカル・ミステリー・ツアーに登場する、オレンジというか赤色のLoveというヘッドに交換されました。それがこれです。

f:id:abbeyroad0310:20160827101053j:image

(beatlesuits.com) 
このスキンは、1967年11月10日、サヴィル・シアターでのコンサートを最後に姿を消したのですが、再びハロー・グッドバイのPVの撮影の時に使用されました。ところが、1968年前半にアビイ・ロード第3スタジオの倉庫に保管されたのを最後に行方不明になったのです。
 
この件について、スタジオエンジニアのブライアン・ギヴソンはこう語っています。「リンゴのドラムスキンはそこに置かれたままだった。それがコレクターにとってどれ程魅力的なものか良く分かるよ。念のために言っとくけど私が盗んだんじゃないよ。不思議なことにある日我々はスタジオに入って、誰かがスキンをフレームから外して丁寧に手入れしたんだ。」「でも、どこかの誰かがリンゴのキットからスキンを持って行ったんだよ。その後、リンゴは、それまで使っていたビートルズのスキンが見つかりそうになかったから、それに換えて赤色のスキンに黄色で『LOVE』と書いたものを使ったんだ。」
 
え?ちょっと待ってくださいよ。誰かがスキンを盗んだんですか?それも世界初の同時衛星放送という一大イベントの本番直前に?信じられませんね( ̄◇ ̄;)その頃のセキュリティがいかにいい加減だったかが良く分かるエピソードではありますが。ってことは、誰かがどこかで持ってるんですね。そのうちオークションに出品されるかもしれません。

 

それはともかく、結果的にビートルズのキャリア全体を通じて、この第6号が7種類あるロゴの中で最も長く使用されることとなりました。

 

2 ドロップーT第7号「レット・イット・ビー・ヘッド」登場〜いよいよ最後のドロップーTへ
ついに、最後のドロップーTとなった第7号が登場します。映画「レット・イット・ビー」で使用されました。このスキンは、映画の冒頭に10秒間だけ登場しました。マル・エヴァンスが運び込みました。

f:id:abbeyroad0310:20160826001228j:plain

(beatlesuits.com) 

このモデルもラドウィッグ・ウェザー・マスターの22インチですが、メープル仕上げのハリウッド・キットでした。このドラムは、映画の冒頭の10秒に登場します。ただ、ビートルズにはこの頃、レコーディングに柔軟性を持たせ、サウンドを減衰させるという効果を狙い、ドラムヘッドを使用しないという不文律が出来上がっており、撮影の時もそのスタンスで臨みました。リンゴもあえて装着しませんでした。

 

ですから、アップル社の屋上でのいわゆる「ルーフトップ・コンサート」の写真を見れば分かりますが、お馴染みのあのロゴがない空洞のバスドラムになっています。たまたまレコーディングの延長だったのですが、もう解散直前の時期だったことと重ね合わせると、ビートルズのロゴが無いことが、何かその当時のメンバーの亀裂の深さを感じさせ、寂しさが漂って来ます。

f:id:abbeyroad0310:20160824174532j:plain

(beatlesuits.com) 

このドラムキットが映画の撮影用ということで、特別に用意されたのかどうか、その辺りの経緯は良く分かりません。ですから、このキットはいささか異色で、ビートルズのキャリアの中に含めるべきかどうかについて議論があります。もっとも、ビートルズの歴史の中で最後に登場したことは間違いありません。

 

このドラムキットは、1988年9月にサザビーズ・オークションに出品されました。それは、1969年にアップルに勤務していたジョージ・ペッキャムが出品したものです。彼は、これをジョンから譲り受けたと主張していました。サザビーズは、これをおよそ5万ポンドと見込んでオークションに掛けたのですが、入札価格がそれに及ばず、不調に終わりました。サザビーズは、1992年8月に再びオークションに掛け、この時は、ある匿名の人物が落札しました。恐らくその人がまだ所有していると思われます。 

 

3  T-ドロップロゴの変遷を振り返って

ここでT-ドロップロゴの変遷をもう一度おさらいしてみましょう。当初、ドラムヘッドのロゴのデザインには、彼らの写真を出版したり、広告に使用するために、写真を修整した2つのヴァージョンがあったのです。

1963年になるとビートルズの人気が高まり、ラドウィッグは、宣伝用にリンゴの写真を使用するようになりました。リンゴは、ドロップーT第1号のドラムキットに座って写真を撮影しました。ラドウィッグは、会社の名前が売れるように写真からロゴをもっと大きめにして、エアブラシで吹き付けました。この写真は、ラドウィッグの広告用に使用されたものです。

 

ラドウィッグは、ビートルズがアメリカ・ツアーを行う度に、新しいドラムキットを提供することが半ば慣習のようになっていましたが、それは、どうやらその当時の経営陣の2人の考えによるもののようでした。彼らは、ツアーの開催地の地元の取扱業者を通じて、新しいキットをビートルズに提供しました。見かけは同じなんですが、全部で4つのオイスター・ブラック・パールのキットが用意されていたのです。

 

表面的に見ればツアーの移動にキットを運送する手間が省け、経済的にも安上がりになりますが、実は、ビートルズの人気に便乗してちゃっかり自社の宣伝をするのが真の目的でした。ところが、これが観客に宣伝だと気づかせない辺りが戦略の巧みさですね。アメリカ・ツアーの間、リンゴが同じキットを使用していた写真が残っています。いやがうえにもラドウィッグのロゴが目につきます。

 

アラバマ州のハンツヴィル博物館が、ビートルズのサンフランシスコのキャンドルスティックパークでのラストコンサートで使用されたリンゴのキットを展示していました。しかし、このキットは明らかにジム・マーシャルの写真に登場する1966年8月のそれとは異なるのです。その第6号のドラムヘッドのロゴは、明らかに他の種類のロゴとは異なるイタリック体だったのです。このドラムを博物館に貸し出したのは、何とラドウィッグの2人の経営陣の1人でした。ということは本物だということなんでしょうね。

 

リンゴに最初にラドウィッグのドラムキットを販売したドラムシティ店は、経営を引き継いだケン・ウィリアムズが店を畳むまでの30年間に亘り、ビートルズが、1964年8月11日にサンフランシスコのカウパレスでコンサートを終えた後、そのヘッドを外して店に持ち帰り、それ以来ずっと誇らしげに壁に飾っていたというのです。

 

ということはですね、少なくともアメリカ・ツアーの時に使用されたヘッドは複数存在したということです。ウィリアムズが嘘を付いていない限り、これは本物だということになります。しかし、コンサートの写真ではもっとロゴがイタリックになっているので、違っているようにも見えます。この辺り、やはり謎ですね。それに店に飾っていたスキンはどうしたんでしょう?ウィリアムズが自宅へ持って帰ったのでしょうか?

 

あ、紹介が遅くなりました。あのロゴを考案したアイヴァー・アービターの写真ですf:id:abbeyroad0310:20160827103706j:image

(feelnumb)

実際にロゴを描いたエディー・ストークスの写真を探したんですが、残念ながら見当たりませんでした。ところで、彼は、ランチを食べている間にあのロゴを描き上げたんだそうです。ってことは、ランチの片手間に鼻歌でも口ずさみながら描いたんでしょうね(^_^;)いわばやっつけ仕事でたまたま描いたロゴが世界的に有名になったのですから、偶然とは恐ろしいものです。彼の職人としてのキャリアの中でも最高傑作でしょう。

 

さて、ドロップ-Tの話題はこれで終わりです。一つ疑問なのは、ず~っと使用され続けている「THE BEATLES」のロゴは一体、どの時期のものを使用しているのでしょう?それともどれとも違うんでしょうか?実際、ここのところがイマイチ良く分かりません。1990年以降はアップルが商標登録したので、それ以降は統一されていますが。

(参照文献)beatlesuits.com, THE BEATLES BIBLE

(続く)

(おまけ)「スタジオラグへおこしやす-バンド・音楽・楽器のお役立ちWebマガジン」に記事を寄稿しました。こちらもよろしくお願いします。

www.studiorag.com