★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その140)ジョン・レノンのヴォーカルの魅力について(その2)

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1 明るく元気かつパワフル

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特に前期の楽曲で目立ちますが、明るくて元気な歌い方です。ホントに歌うことが楽しくて仕方がないという感じが、リスナーに生き生きと伝わってきます。

また、これは全期間を通してですが、ジョンは、パワフルな歌声も聴かせます。ポールが天井をブチ破るかのようなハイトーンヴォイスを炸裂させたのとは対称的に、ドスンと腹に響くような重厚な歌声です。

シャウトする場合でも、やたらうるさくがなり立てるのではなく、しっかりと歌詞に魂を込めてリスナーに届けています。

2 ノンヴィブラート

ビートルズは、全員がヴィブラートをかけないノンヴィブラートでした。これは女性がスッピンで勝負するようなもので、プロとしてはなかなか勇気がいることです。

ポール・マッカートニーは、元々ヴィブラートが嫌いでしたし、ジョージ・ハリスンは、ヴィブラートをかけるのが苦手でした。ただ、ジョンがなぜヴィブラートをあまり使わなかったのかは分かりません。一つにはビートルズがコーラスをすることが多かったからかもしれません。

三声以上の厚みのあるハーモニーの場合だと、ヴィブラートなど色々な要素をメンバーがしっかり合わせないといけません。その上、楽器を演奏しないといけないのですから大変な負担です。ですから、ビートルズは、自然とヴィブラートをかけなくなったのかもしれません。

ただし、楽曲によってはヴィブラートを部分的にですがかけたこともあります。これについては、各楽曲の解説でお話します。

3 ギターを弾きながら歌った

エルヴィス・プレスリーミック・ジャガー、フレディー・マーキュリー、マイケル・ジャクソン…彼らも類い稀なるヴォーカリストではありますが、ヴォーカルに専念できました。
しかし、ビートルズは、ライヴではもちろん、レコーディングでも後にマルチトラックができるようになるまでは、ヴォーカルと楽器の演奏を同時に行っていました。
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ジョンの場合、ライヴでは、メインヴォーカルの時でも、あまり弦を押さえる左手の手元を見ずに、しっかり正面を見ながらマイクで歌っていました。これでツイン・ヴォーカル、さらにはハモりまでこなしたのですから、スゴいとしか言いようがありません。

我々は、その姿を見慣れてしまって当たり前のように思ってしまっているのですが、ヴォーカルと楽器の演奏の両者のクオリティーを同時に保つことは、容易なことではありません  しかも、彼らは、カヴァー曲でも独自のアレンジを加え、オリジナルでは次々と新たなチャレンジをしたのです。そうして、どんどんハードルを上げていきながら、長足の進歩を遂げていきました。

4 オリジナルを凌駕した

ビートルズは、前期の頃は、まだオリジナルの楽曲のストックが少なく、他のアーティストのそれをカヴァーしてアルバムを制作しました。ところが、カヴァーにもかかわらず、ビートルズは、オリジナルに大胆なアレンジを加えて、易々とそれを超えるクオリティーの楽曲を次々と世に送り出したのです。

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チャック・ベリーのオリジナルも素晴らしいですが、ジョンのヴォーカルは、楽曲をさらに明るく楽しく聴かせますね。

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ビートルズのオリジナルだと勘違いしている人もたくさんいるかもしれません。そして、それらの中の多くは、ジョンがリードヴォーカルを担当したものでした。恐らく、彼は、リーダーとしてビートルズを引っ張って行く立場だったので、「オレがやらなきゃ誰がやるんだ!」という意気込みが強かったのかもしれません。
ですから、ビートルズを結成してから中期頃までは、彼がリードヴォーカルを取る曲がシングルA面の多くを飾り、キラキラと輝いていました。中期辺りからポールがどんどん頭角を現してきましたが、それまでは、間違いなくジョンがビートルズをリードしていたといえるでしょう。

5 コーラスも抜群!

これは、ポール、ジョージとのコラボレーションですが、ビートルズのコーラスの上手さはズバ抜けていました。ジョンは低音、ポールは高音、ジョージは中音のパートをそれぞれ担当しました。

ただ、これがまた彼らのスゴいところですが、曲の途中でも担当する音域をサラッと入れ替えたりしたんですよ!良くそんな曲芸みたいなことができたもんです。
ビートルズのコーラスについては、また別の機会に譲りますが、ジョンとポールとのツインヴォーカルは、どちらがメインといえないほど見事なコンビネーションを見せつけ、これもまたビートルズのウリの一つだったのです。
「メインヴォーカルは一人」というのがそれまでの常識でしたし、現代のアーティストでもツインヴォーカルはなかなかいません。クオリティーの高いメインヴォーカルを一人メンバーに加えるだけでも大変なのに、それが二人もいて、しかもそれぞれが強烈な個性を持っていたのは、ビートルズの強力な武器でした。

6 ジョンは自分の声を嫌っていた?

「ジョンは、自分の声を嫌っていた。」という説があります。というか、殆どそれが通説的な見解になっているような気がします。
ADT(オートマティック・ダブルトラッキング)という機械は、ビートルズのレコーディング・エンジニアを担当したケン・タウンゼントが開発したものです。そもそも彼がこれを開発したきっかけは、ジョンが自分の声を嫌ってその欠点を補うために、ダブルトラッキングを盛んに使ったことによると言われています。
当時、ダブルトラッキングをするためには、2回レコーディングをしなければなりませんでした。それで、ジョンがそれを1回でできないかと要望し、タウンゼントがそれに応えて開発したのです。これは、ポピュラー音楽会の技術的進歩として特筆されるべきものです。
 

不思議なのは、あれほど良い声をしているのに、なぜジョンが自分の声を嫌っていたのかということです。
ジョンは、プロデューサーのジョージ・マーティンに対し、盛んに自分の声を歪めるなど、色んな編集をするよう依頼しました。マーティンは、それに応じたものの、「どうして彼は、自分の声を嫌うのだろう?あんなに良い声をしているのに。」と不思議がっていました。

7 本当に自分の声を嫌っていたのか?

上記のように、ジョンが自分の声を嫌っていたとするのが通説的な見解になっていると思いますが、本当にそうなんでしょうか?
私がなぜ疑問に思うかというと、ジョン自身がダイレクトに自分自身の声が嫌いだと語った資料が見当たらないからです。私が探せていないだけかもしれませんが(^_^;)
確かに、彼はダブルトラッキングやレズリースピーカーなどを使って、自分の声を盛んに編集したのは事実です。しかし、果たしてそれが彼が自分の声を嫌っていたということの裏付けになるのでしょうか?
レコーディングの効果として面白いと思ったから、そういった手法を採用したのであって、自分の声を嫌っていたわけではないとも考えられます。そもそも自分の声に自信がなければ、人前で歌うことなんかできないはずですし。
ジョンがポールの制作した「オー!ダーリン」を大変気に入り、自分に歌わせてくれと頼んだのは有名な話です。もし、声に自信がないなら、そんなことはしなかったのではないでしょうか?
もちろん、ポールは断りましたが、ジョンは悔し紛れに「ポールに才能があればオレに歌わせたはずさ。」とうそぶいていました。つまり、自分ならポールより上手く歌えるという自信があったからに他なりません。とすると、ジョンが自分の声を嫌っていたというのは、事実ではないのではないかという気がします。
彼は、エルヴィス・プレスリーのハートブレイク・ホテルを聴いて、そのエコーが効いたヴォーカルにとても感動しました。また、同じく大好きだったバディ・ホリーもダブルトラッキングを使用しました。
これらのことからすると、ジョンは、生の声を聞かせるのが嫌だったというわけではなく、編集した方がより聴き心地が良くなると考えていたのかもしれません。ただし、これはあくまでも私の勝手な推測なので、本当のところは分かりません。
ジョンとポールの共通の友人だったスチュアート・ケンドールさんにお聞きしたのですが、ジョンは、後期に入ると自分の声が嫌いになったとのことでした。
つまり、テクノロジーが進歩するにつれ、自分の声がクリアに聴こえるようになり、それで嫌になったのだと。なるほど、彼は、ダブルトラッキングは早くから採用していましたが、盛んにヴォーカルを編集しだしたのは、ライヴを止めた中期以降ですからね。
さて、総論はこの位にして、次回からは、具体的な作品でジョンのヴォーカルの素晴らしさをご紹介します。
  (参照文献)RollingStone, LISTVERSE
(続く)

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