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ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(その159)ビートルズのファン・クラブ会員向けの希少なレコード(その1)

Beatles' Rare Fan-Club Christmas Records: A Complete Guide

1 ビートルズは、ファン・クラブ会員向けのレコードをリリースしていた!

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アルバム「ビートルズ・フォー・セール」の記事の中でも少し触れましたが、実は、ビートルズは、公式ファンクラブの会員のために毎年クリスマス・レコードとして、スペシャル・ヴァージョンのレコードをリリースしていました。今回は、このことについてお話しします。

2 欧米のアーティストがクリスマスソングをリリースするのは常識

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ビートルズは、今や、あらゆるポピュラー音楽の代名詞ともいえる存在となっていますが、公式にリリースしたレコードでクリスマスソングは演奏しませんでした。日本人にとっては分かりづらいのですが、これは、どうやら欧米人のアーティストにとっては、例外的なことのようです。

 

というのも、ビーチ・ボーイズシュープリームスジェイムズ・ブラウンエルヴィス・プレスリースティーヴィー・ワンダーなど数々の偉大なアーティストたちは、クリスマスの時期になるとクリスマスソングを歌うというのが常識だったからです。

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欧米のアーティストにとって、クリスマスにクリスマスソングを歌うのは、極めて常識的なことなんですね。確かに、欧米のヒットチャートでは、クリスマスソングは別扱いとされています。

つまり、クリスマスの時期にクリスマスソングを歌えば、ヒットするのはある意味当たり前のことなので、普通の楽曲と比較するのは公平さを欠くということなのでしょう。

3 有料会員向けの限定版

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1963年から1969年までの間に、ビートルズは、限定版のクリスマスシングルをファンクラブの有料会員に送りました。言葉遊びで盛り上がった肉声のメッセージ、シュールな寸劇、オリジナルの歌などから構成された、この非常に希少なプラスチック製の「しなやかな」レコードは、公式版と海賊版との間の微妙な位置に存在していました。

現在では、それらは、限定版ボックスセットの一環としてビニール盤で再リリースされ、ようやく一般のファンが購入できるようになりました。

公式にリリースされたレコードとは異なり、羽目を外したビートルズがファンに対し感謝の言葉を述べたり、メンバー同士の楽しそうな会話がレコーディングされています。このレコードの中の彼らは、成功を収めて初めてのクリスマスを迎え、とてもはしゃいでいます。

 

そこからは、メンバー同士の暖かい友情やウィットに富んでいる彼らの姿が伝わってきます。何だかこちらまでウキウキした気分になりますね。スタイリッシュなスーツに身を包んだビートルズではなく、お茶目な彼らの姿がそこにはあります。

4 肩の力を抜いたビートルズの一面が

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ビートルズの名声が高まるにつれプレッシャーもさらに高まったため、彼らは、日頃溜まったストレスを発散する機会があると喜んでそれを受け入れました。そして、そこでも彼らは創造性を込め、いつもの彼らの作品とは違うポップな作品を作り上げたのです。

これらの数少ないセッションは、彼らに音楽で実験するという勇気を与えただけではなく、時には後に彼らの有名な作品に現れるようなアイデアを提供したのです。彼らは、公式のレコーディングの時とは異なり、リラックスした状態でしたが、それでも決して手を抜くようなことはせず、精魂込めて作品を制作しました。

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この数々のレコードの中で展開される、彼らが子どもの頃から大好きだったBBCラジオのコメディ「ザ・グーン・ショー」の影響を強く受けたユーモアは、半世紀前と同じように全く色あせていません。

さて、それでは、ビートルズの偉大な才能を垣間見させる7つのクリスマス・レコードを概観していきましょう。

5 The Beatles Christmas Record(1963)

(1)ファンへの感謝を込めた企画

ビートルズの最初のクリスマス・ソングは、1963年10月17日、アビイロードの第2スタジオからスタートしました。

ビートルズは、次のシングルに予定されていた「抱きしめたい」の制作を始める前に、彼らの広報担当者であるトニー・バーロウの依頼により、クリスマスソングの制作に取り掛かりました。彼は、急速に増大していくビートルズのファンクラブの会員へ何か特別なプレゼントをすべきだと考えていたのです。

これは、ファンクラブの様子です。

ビートルズは、彼のアイデアが十分満足のいくものだったので受け入れました。しかし、ただ単にファンへの感謝の気持ちを表すだけでは満足せず、詳細を設計してクリスマスという特別のイヴェントを盛り上げるようなテイストを加えたのです。

 

1963年は、彼らにとってデビューアルバムをリリースし、メジャーデビュー後初となる国内ツアーを開始し、比べようもない程のナンバーワン・ヒットを世の中に送り出した特別な年だったのです。

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5日前には、イギリスの国内テレビの人気番組である「ヴァル・パーネルズ・サンデイ・ナイト・アット・ザ・ロンドン・パラディウム」で演奏したことで、何千人ものファンがロンドンのウエストエンド地区のコンサート会場に駆けつけることになりました。

The Beatles in Birmingham for a performance at The Hippodrome in 1963.

そのヒステリックさはその後厄介なものとなりましたが、当時はまだ新鮮で「ビートルズ・クリスマス・レコード」と後に呼ばれることとなったこのアルバムは、当時の素朴で純粋な彼らの姿を表現しています。

(2)クリスマス・キャロルから始まる

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ビートルズは、マイクの周りに集まりました。イントロが始まるとチャイムが鳴り、彼らは、アカペラで「ウェンセスラスはよい王様」という有名なクリスマス・キャロルを歌いました。

クリスマス・キャロルというと、日本ではクリスマス・ソングと混同されがちですが、厳密にはこの二つは別のものとされています。クリスマス・キャロルが、敬虔なクリスチャンがキリストの誕生を祝う際に教会で合唱するという、宗教的な色彩が強いのに比べ、クリスマス・ソングは、一般大衆がみんなで集まってクリスマスをお祝いする曲という感じでしょうか?これは「もろびとこぞりて」です。

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日本でも有名な「聖よしこの夜」「もろびとこぞりて」などはクリスマス・キャロルに分類されますが、「ジングル・ベル」「赤い鼻のトナカイ」「ホワイト・クリスマス」などはクリスマス・ソングに分類されます。ビートルズが歌った「ウェンセスラスはよい王様」はクリスマス・キャロルに当たります。

(3)はしゃいだビートルズ

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彼らは、陽気にわざとキーを外し、歌詞も変えています。

バーロウが真剣に脚本を書いたのですが、ジョンはそれを無視して「こんにちは、今しゃべってるのはジョンだよ!」とテンション高く語り始めます。そして、ビートルズにとって、その年が大ブレイクした記念すべき年となったのは、ファンのおかげだと感謝の意を表わしました。

彼は、23歳の誕生日の前の週に、ファンから洪水のような大量のお祝いのカードをもらったことを感謝し、「一人一人に返事を書きたいんだけど、ペンが足りないんだ。」とユーモアを交えながら語っています。

彼は、犬が吠える声をマネした後、ポールと交代しました。彼もジョンと同様にファンに感謝の気持ちを表しましたが、ライヴの最中にジェリー・ビーンズを投げないよう「もう十分だから投げないで」と訴えました。

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ジョージがインタヴューでジェリー・ベイビーズ(アメリカではジェリー・ビーンズ)を好きだと応えてからというもの、ファンはライヴ中にジェリー・ビーンズをビートルズに雨のように客席から投げつけていたのです。ジョージは、適当に答えただけで本当に好きだったわけではなかったのですが、ファンはまともにそれを受け取ったのです(笑)

Beatles drummer Ringo Starr mobbed by female fans as the band film their final appearance on Thank Your Lucky Stars at Alpha Television Studios in Aston, Birmingham, on March 28, 1965

そして、ジョンともう一度デタラメなドイツ語でコーラスした後、リンゴと交代しました。

リンゴもクリスマスを祝う言葉を述べ、やはり同じ曲を歌いました。ジョージは、いつもの物静かさとは異なり、かなりテンションが高いですね。「静かなビートル」と呼ばれていた彼ですが、プライヴェートでは結構陽気でジョークも良く飛ばしていたそうです。

 

(参照文献)RollingStone

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(続く)