１ 前回のクイズの回答
（1）ここに若きビートルたちが写っていた！
前回のクイズは、写真に写っている観衆の中のどこにジョン、ポール、ジョージ、そしてポールの弟のマイクがいるかということでしたね。
正解は、こちらの画像を見てください。赤い丸で囲まれた所に彼らがいます。
え❓「んなもん、分かるか～い💢」って❓はい、すいませんm(__)m分かるわけないですよね（笑）
しかし、動画からはとても判別できないのに、どうして彼らがここにいることがわかったんでしょうか❓
（2）気づいたのはファンの一人
実は、この動画に若きビートルたちが写っていると気がついたのは、イギリス北西部の街カービィに住んでいるピーター・ホジソンという一人のビートルズファンでした。彼は、この発見をきっかけとして1995年にポールとの２ショット写真を撮影しています。
彼はこう語っています。「私が『Service』とタイトルが付けられたこの動画をYouTubeで見つけた時は、1950年に撮影されたと記録されていた。しかし、私がもう少し詳しく調べた結果、1958年に撮影されたものであることが分かった。」
「その頃、ポールのフォースリン・ロード20番地の自宅は、警察のトレーニングセンターの裏にあった。これは、センターでその年の夏に市民を招待して開催されたショーを撮影したものだ。ポールとマイクが住んでいた自宅の裏庭のコンクリートの屋根に上っている４〜５人の人物がいることが分かる。」
（3）ポールとマイクの証言
ポールは、彼の伝記を書いたバリー・マイルズに対し、「毎年、私たちは、コンクリートの屋根の上に登って、警察のショーをただで観ていた」と語っています。
ホジソンがこの動画をポールの弟のマイクに見せると、彼はとても驚き、興奮しました。
「わあ～！これは間違いなく私たちだよ。リヴァプールで毎年夏に開催された本当に大きなイヴェントだったんだ。私たちは、デッキチェアを持ち出して、コンクリートの倉庫に登ってタダでショーを観ていた。」
「ジョンもこの年にいたはずだ。彼の友人のピート・ショットンは警察の研修生だった。ジョージもいたんじゃないかな。いや、すごいな、信じられない！」
ポールとマイクの証言と映像が一致しますから間違いないでしょう。花火大会をタダで観る会場近くの住民みたいなもんですね（笑）しかし、ホジソンも良く見つけましたね。
（4）歴史的価値がある
彼は、リヴァプールの昔の映像を観るのが好きで、この動画を観た時にバックに写っているのが、フォースリン・ロードのポールの自宅ではないかと気づいたのです。
彼は、自分の発見を確かめるためにポールの自宅を見に行った時に「ビンゴだ！」と確信したそうです。その後、何人かの専門家の協力を得て、この事実の裏をとりました。
彼は、ビートルズの伝記作家であるマーク・ルイソンをとても尊敬していますが、ルイソンも「何という発見だ」と称賛しました。
1958年夏といえば、その7月12日にジョン、ポールとジョージが、クオリーメンとしてフィリップス・サウンド・レコーディング・サービスで最初のレコーディング・セッションとして「In Spite Of All The Danger」「That'll Be The Day」の２曲を録音した頃です。
ビートルズの一つの節目となったとても重要な時期と重なるだけに、なおさらこの発見は歴史的価値があります。
２ ビル・ハリーの貴重な証言
（1）The Beatlesの名の由来について
前回に続いてマージー・ビートの創刊者、ビル・ハリーの回想に戻ります。
「スチュが参加したジョンのグループの名前を思いついたのもここで、私は、その時同席していた。彼は、バディ・ホリーが率いていたバンド「クリケッツ」と同じような名前をつけたらどうかと提案した。それは昆虫（カブトムシ）の名前だった。それで、彼らは、Beetlesというバンド名を思いついたが、それがthe Beatlesに進化したのはその年の８月だった。」
「数十年後、私は、彼らがこのバンド名を映画「The Wild One」からヒントを得てを思いついたという説を聞いて驚いた。この映画は、イギリスでは14年間公開が禁止されていたから、彼らはこの映画を観ていないのだ。」
（2）ジャガランダの壁画について
「私は、1960年代にジャカランダでガールフレンドとなるヴァージニアと出会った。ここは、ジョン、スチュ、ロッドと頻繁に訪れたコーヒーバーだった。」
「オーナーのアラン・ウィリアムズは、スチュとロッドに室内の壁に画を描くよう依頼した。彼らは、学生仲間のロッド・ジョーンズの助けを借りた。ジョンと私は参加しなかった。これも数十年後、人々は、ジョンがスチュと壁画を描いたと主張した。ナンセンス極まりない！」
ジャカランダは、現在もパブとして経営を続けています。
店内にはビートルズがここでプロとしてデビューしたこと、初代のマネージャー、アラン・ウィリアムズがそれをサポートしたことを記した銘板が飾ってあります。
「バージニアが最終のバスに乗り遅れて帰宅できなくなってしまったので、私は、彼女と共にジョンとガンビアテラスで長い間話していた。」
３ ハリーが俗説を覆した！
（1）バンド名と映画は関係がなかった
上に記載したハリーの証言は、ビートルズにまつわるいくつかの俗説を覆す貴重な内容になっています。
その一つは、ビートルズというバンド名の誕生にまつわる逸話です。ジョンとスチュアートがバディ・ホリーの「クリケッツ」というバンド名から昆虫の名前を思いついたことはよく知られています。
ところが、これまでは、「スチュアートが映画「The Wild One」を観て、その映画の中に出てくるビートルズというセリフにヒントを得た。」という話が伝わっていました。しかし、ハリーは、これを完全に否定したのです！
どういう理由でか分かりませんが、その映画は、イギリスでは14年間公開が禁止されていたということが事実であるとすれば、スチュアートが公開されていなかった映画を観たなどということはあり得ません。
そうすると「映画のセリフからヒントを得た」というこれまでの話は、俗説ということになってしまいます。
私は、このブログの（その６９）でこの説を採用したのですが、どうやらそれを訂正しないといけないようです。情報源には自信があったんですが、こうなってくると何を信用したらいいのか分からなくなってしまいますね💦
（2）ジョンはジャガランダの壁画を描いていなかった
もう一つハリーが覆した俗説は、「ビートルズが初めてプロのバンドとして出演したジャカランダというカフェで、店内の壁画をジョンとスチュアートが描いた」というものでした。彼は、それを描いたのはスチュアートとロッド・ジョーンズであり、ジョンは描いていなかったというのです。
当時の事情をよく知っている人が証言しているのですから間違いないでしょう。ありがちなことですが、ある人がとても有名になると、何でもかんでもその人がやったことになってしまうんですね(^_^;)これはいつの時代も変わりません。
４ ハリーとビートルズとの交流
「私は、リヴァプール・カレッジ・オヴ・アートの隣のリヴァプール・インスティテュート高校に在学していたポールとジョージと知りあった。彼らは、私たちの食堂にしょっちゅうやってきて、大学生活のリハーサルをやっていた。スチュと私は、学生組合に加入していた。」
日本の大学の生協みたいなものでしょうね。これがカレッジ・オヴ・アートです。
ジョンとハリーは大学生でしたが、ポールとジョージはまだ高校生でした。ですから、本来なら大学の学生食堂には入れなかったはずですが、彼らは、そんなことはお構いなしに大学生の中に紛れ込んで食事していたんです。これがインスティテュート高校です。
（参照文献）ECOH, The Internet Beatles Album
（続く）
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