★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ジョン、暴走族に先導されて会場へ(259)

「john lennon 1969 toronto airport」の画像検索結果

1 クラプトンたちを置いてけぼりにした!

(1)リムジンに飛び乗った

 「eric clapton blind faith」の画像検索結果

ジョンとヨーコは、飛行機に搭乗する前にコカインもヘロインも摂取しておらず、その状態で10時間のフライトの末にトロント空港に到着しましたが、禁断症状と疲労で二人ともグッタリとしていました。

クラプトンは、イギリス国内で壁に「クラプトンは神だ」と落書きされるほど、既にギタリストとして高い評価を得ていました。ところが、ジョンとヨーコは、身勝手な振る舞いでそんな彼をも使いっぱしりみたいに扱ったのです。

クラプトンは、こう回想しています。「その時は雨が降っていた。我々は、荷物の周りに立って待っていた。大きなリムジンが到着すると、ジョンとヨーコは、雨の中で立って待っていた我々をどうするかなんてことをそっちのけで、リムジンに飛び乗り、走り去っていってしまった。『まあ、いいさ。』と私は思った。」

いくらなんでも酷い話ですよねえ(^_^;)クラプトンたちを電話一本で呼びつけ、遠いトロントまで同行させておきながらドタキャンしようとするわ、それでもやっと空港までやって来たと思った途端、彼らをほったらかしにしてどこかへ行っちゃったんですから。おそらく薬が切れて禁断症状に耐えられなくなり、一刻も早くどこかで摂取したかったのでしょう。

幸いなことにクラプトンたちは、ジョンの身勝手な行動にブチ切れることなくそのままコンサートに参加しました。彼らもジョンがひどい薬物中毒に陥っていたことは知っていましたし、憧れのジョンとライヴができるという喜びが、彼らの身勝手な行動をも容認したのでしょう。

(2)好意の裏返し?

クラプトンたちに対するこうした酷い扱いは、ジョン特有の性格にも大きく起因したとも考えられます。彼は、気を許した人には返って辛く当たるところがあったということです。アーリー・ビートルズ時代にも、親友のベーシストであるスチュアート・サトクリフを虐めたのは、愛情の裏返しだったんですね。この頃は、ポールとも犬猿の仲でしたが、それもそうだったのかもしれません。

ということは、ジョンは、クラプトンやホワイトには気を許していたとも言えます。フォアマンは、アーリー・ビートルズ時代から親しかったですからね。クラプトンは、ローリング・ストーンズの映画「ロックンロール・サーカス」でもジョンと演奏しましたし。

 

2 暴走族が先導してくれた

(1)暴走族に車を取り囲まれた

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アメリカのヘルズ・エンジェルズ

「ヴァガボンズ・モーターサイクル・クラブ」の代表だったエドジョという男が、リムジンが到着するのをサービスロードで80台のバイクで辛抱強く待って出迎えてくれていました。モーターサイクル・クラブというと聞こえはいいですが、要は暴走族です💦アメリカのヘルズ・エンジェルズが有名ですが、こんな集団に囲まれたら「殺されるんじゃないか」ってゾっとしますよね(^_^;)

ブラウアは、こう語っています。「エドジョが私に敵意を抱いていないことは分かっていた。彼は、私を数年前から知っていて、私ならうまく難題を切り抜けてくるだろうと予想して待っていたんだ。」

ブラウアは、コンサートの開催に必要な資金の一部をこの男にも借りていました。ですから、彼としてもコンサートが成功しないと、貸した金を返してもらえなくなってしまうんです。ですから、ブラウアに危害を加えるどころか、むしろ、頼みもしないのに自ら進んで護衛を引き受けてくれたのです。ブラウアも彼らが待ち受けているであろうことは予想していたでしょう。

「我々が高速道路を降りると、レノンは我々の周囲を囲んでいるバイクを見て、手でドアロックを押し下げた。私は、彼に『ジョンさん、聞いてください。我々がここに来るまであなたには何も言いたくはなかったんですが、この連中は、トロントまであなたを護衛してくれるんです。』と言った。バイクの隊列は50ヤード(約45.8m)ぐらいに延びていたが、バイクを運転していた男は、振り向いてヨーコを見つけると『おいおい、オレたちはビートルズのためにオートバイで護衛しに来たけど、こいつは気に入らないぜ。』と言った。」

(2)丁重に引き取ってもらった

「我々は、エドジョが我々のために空けてくれた隊列の中央を走っていた車のウィンドウの近くまで呼び寄せ、車中の人物が、暴走族の歓迎を受けたいと思ってやってきたハリウッドスターのカップルじゃないと言わなければならなかった。私が車のウィンドウを下ろすと、エドジョが車の中を覗き込み、本物のジョンとヨーコを見た。彼は、それから私を見て、『ジョン、ヨーコ、トロントへようこそ』と言った。彼が腕を振ると、すべてのバイクが走り去り、我々は街へ向かった。我々は、まるで地雷の隣に立っていて、それが去るのか去らないのか迷っているかのような感じだった。」

もちろん、エドジョとしては、知り合いで金も貸しているブラウアを助けてやろうと思って、ジョンの車の周りを護衛していたくれたわけですが、ブラウアたちにとっては恐怖以外の何物でもなかったわけです(^_^;)それに、彼らがジョンは歓迎していても、ヨーコに対しては必ずしもそうではないことも明らかでした。ブラウアも顔見知りとはいえ気性の荒い連中ですから、ヘタな対応をすれば何をされるかわかりません。「地雷」とは正にその通りですね。

彼にしてみれば、「早くどこでもいいから消えてくれ~💦」と祈るような気持ちだったでしょう。素直に撤収してくれたので、彼もホッと胸をなでおろしましたが、まあ、それにしても色んなことが起きたもんですね。

 

3 やっとスタジアムに到着

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フェスティヴァルのTシャツを着たプラスティック・オノ・バンド

(1)コーラをくれ!

リムジンがヴァーシティ・スタジアムに到着したとき、ブラウアは、自分がとうとうやったんだということが信じられませんでした。ただし、楽屋は、木製のベンチと空のロッカーしかない臭くて酷いものでした。彼は、まるで冴えないポン引きのような気持になりました。「ちくしょう、オレは何をやってるんだ!こんなクソみたいな楽屋しかないなんて。」

彼は、こう語っています。「当時、私のナンバーワンの右腕だったデニス・ヒルが楽屋のドアの近くに立っていた。私は、ジョンに『何か食べ物とか飲み物はいりませんか?他に何か必要なものはありますか?」と尋ねた。ジョンは、真っ直ぐに私を見て、『コーラをくれないか。』と言った。それで、私は『デニス、すぐにここに6本のコーラを持って来てくれ。』と命じた。

「私は、二人を振り返って、『大丈夫ですよ。』と言うと、彼らは、恐ろしい表情で私を見つめていた。彼らは、『オレたちはどこにいるんだ?』といった表情でお互いに目を見合わせた。そして、ヨーコは『いや、それじゃなくて鼻に入れるコーラが欲しいの。』と言った。」

当時の状況を理解している皆さんは、このやり取りを読んでニヤニヤしていると思います(笑)しかし、そうでない方が読んだら「鼻に入れるコーラ?何だ、それ?」って思うでしょう。

ジョンが頼んだコーラとはコカインの隠語です。ところが、ブラウアは、飲料のコーラだと勘違いして、ジョンとヨーコにものすごい目で睨まれたんですね💦彼らもブラウアのあまりのとんちんかん振りに呆れたんです。この業界で長らく商売していて、コーラがコカインのことだと知らないなんて。

因みにコカ・コーラは、原材料にコカインを含んだコカの葉を使用しているのでこの名前が付いています。製造初期のコカ・コーラは微量のコカイン成分を含んでおり、その当時は合法でしたが、その後違法薬物に指定されたためその成分は除去されました。

 

(2)誰かコーラを持ってないか?

「cocacola  1960 bottle」の画像検索結果

ブラウアは、こう語っています。「私は、コカインをやったことがなかった。私は、80年代になってからやろうと決心したが、当時、私は、どこで手に入れられるか知らなかったんだ。デヴィッド・スナイダーマンという男がそれを持っていて、たまたまその日そこにいると聞いた。」

それで、ステージの間、ブラウアはマイクで「ドクター・スナイダーマン、いたら舞台裏に来てくれ。」そう呼ばれて観客の中に座っていて、彼のことをよく知っていたスナイダーマンは、ステージに駆けつけました。彼がやって来てたので「コカインを持ってるか?ジョン・レノンはコカインを欲しがってるんだ。」と頼んだ。彼は、たまたま持っていましたが見つかるとヤバいと思い、草むらの中に投げ入れてそのまま走り去ってしまいました。これではどこにあるのか分かりません。

ブラウアは、「戻ってきてくれ、お願いだから!」と叫びました。コカインがないとジョンは演奏できませんから彼も必死です。呼ばれた彼は、薬物を持って戻ってきたのですが、それが2グラム半のコカインと1ポンドの大麻だったことをブラウアは後で知りました。

彼は、こう語っています。「私は、それをジョンに渡すために舞台裏に行き、『あなたはイエスであり、これは聖水です。』とまるで神に対するように捧げた。その時点で、ジョンは、まだかなり重症の麻薬常習者だったので、長時間のフライトに耐えなければならない飛行機に乗りたくなかったのだ。」やはり、ジョンがトロント行きをドタキャンしようとしたのは、これが主な原因だったんですね。

彼にコカインを渡すと「ありがとう。エリックに来てもらってくれないか?」と頼みました。クラプトンも麻薬常習者で舞台裏に入って、数時間そこに留まっていました。おそらく、ステージに上がる前にキメていたんでしょう。

この頃のロックミュージシャンたちの多くが薬物を常習しており、それが原因で早世した人も数多くいました。クラプトンも完全な中毒者でしたが、彼が飛行機の中で禁断症状を起こしたという情報はありません。あるいは、ジョンほど酷くはなかったのかもしれません。

さて、この後、演奏する順番をめぐってまたひと悶着あるのですが、長くなるので次回に回します。

 

(参照文献)VICE

(続く)

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