★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ポールは「The Long And Winding Road」にストリングスを入れることに賛成していた(373)

無邪気なヘザー・マッカートニー

※この記事は、映画「Get Back」の「ネタバレ」を含んでいるので注意してご覧ください。

1 名曲「Let It Be」のレコーディング

ヘザーを膝に座らせて「Let It Be」を演奏するポール

ジョンとジョージに何か1曲演奏するよう促され、ここでポールがピアノの前に座って名曲「Let It Be」を歌い始めました。この曲は、1969年1月8日、トゥイッケナムスタジオで初めてポールがメンバーに初めて披露しました。

ポールがいきなりヴァースに入ったので、ジョージが「いきなり歌か?イントロが欲しい。」と注文をつけました。そこでポールがイントロを付けたのですが、実際のレコードの音源とは異なっています。

ここから試行錯誤して、最終的にあの形になったと思われます。まだこの段階ではラフな仕上がりですが、歌詞やメロディー、コードなどはほぼ完成形に近かったようです。しかし、相変わらずだらけた感じのセッションが続きます。これほどの名曲なんですが、これでは到底仕上がりそうにありまえん。

しかし、そこは流石にビートルズで、シングルもアルバムも見事な仕上がりになりました。ピアノのイントロは正にこれという感じです。ジョージのギターソロもシングル、アルバムでアレンジが違いますが、それぞれに良い味を出しています。なんだかんだ言っても、彼らは、決めるところはバシッと決めるんですよ。ルーフトップも同じです。

この日のレコーディングはこれで終わりました。そして、ここで「4人は屋上のライブを水曜日に設定する。つまり4日後である。」という字幕が入ります。完全に仕上がったといえるのは「Get Back」だけで、後の曲は、その時の成り行き次第という感じでしょうか?これで映画のPart2が終わりました。

 

 

2 リンゴが「Octopus's Garden」を披露

(1)リンゴがピアノを弾いた!

Part3の冒頭で「アルバムと実現微妙なショーを目指して16日、1月末までに終了させる必要がある。最終案は自社ビルの屋上でのライブ。日程は3日後である。」と字幕が入ります。撮影17日目の26日は日曜日でしたが、ビートルズは、休日を返上してライヴに備えました。

レコーディングを始める前に、スタジオでリンゴが自分で作曲した「Octopus's Garden」をピアノで弾きながら歌っています。彼も簡単な伴奏ぐらいならピアノが弾けるんですね。これは意外でした。彼らしいほのぼのとした良い曲ですね。

(2)ジョージがサポートした

リンゴにアドヴァイスするジョージ

そこにいたジョージがそれを聴いて、アコースティックギターを弾きながらリンゴにアドヴァイスしました。「2回繰り返した後で。そこでGに入った後だ。もう一度最初からやろう。そのままF。そしてこう。」ここからこの曲のサビに入ります。

ジョージがギターを弾きながら、どんなコードが当てはまるか探っています。どうやらこの感じからすると、この時点でサビは完成していなかったみたいですね。作曲に慣れていないリンゴをジョージがサポートし、ピアノでサビの所を作ってくれていい感じに出来上がってきました。

歌詞は、まだこの時点では完成していなかったようで、リンゴは「歌詞を足さなきゃ。」と話していました。」2人の良好な関係性が見えて、とても穏やかな気持ちになりました。後にこの曲は、アルバム「Abbey Road」に収録されることになります。

(3)ジョンがドラムキットに座った

2人がそんなやりとりをしているところへ、ジョンとヨーコがやってきました。ここでジョンがリンゴに「僕は何をしたらいい。」と尋ねると、リンゴは、「ドラムを叩いてくれ。」と頼みました。ジョンは、分かったというとドラムキットに座ってドラムを演奏しました。おそらくですが、ビートルズは、自分がメインで担当している楽器でなくても、一通りは演奏できたんでしょうね。残念ながら演奏したシーンはありませんでした。カットしたのか、そもそも演奏しなかったのかは分かりません。

 

 

3 「Let It Be」のレコーディングを開始

(1)ヘザー・マッカートニーがスタジオに来た

「最後はゴスペル風に」と提案するジョン

そこへ、ポールとリンダが娘のヘザーを連れてきました。当時7歳のヘザーは、本当に可愛いですね。彼女は、人見知りしないのか、無邪気に大人たちばかりのスタジオの中をうろついて、楽しそうにずっとお喋りしていました。

曲のアレンジについて、ジョンはポールに「最後はゴスペル風に。」と意見を述べました。ポールは「日曜の教会だね。」と応えました。ジョンは、この曲を嫌っていたと言われますが、それでもちゃんと完成に向けて協力はしていたんですね。そして、実際の曲のアレンジもゴスペル風になりました。

(2)いつの間にか「Dig It」に

リンゴの隣に座ったヘザーが、スティックを取り上げてドラムをポンと叩くと、リンゴがびっくりしたフリをし、それを見たヘザーがケラケラ笑いました。何とも微笑ましいシーンです。

演奏が終わると、ポールは、リンゴに対し「そこはもっと軽く。オフビートで。」と注文を付けました。リンゴは(またか…)というような顔をしています。

しばらくダラダラとジャムセッションが続きましたが、いつのまにか「Dig it」の演奏になりました。そして、この時にレコーディングされた音源の一部がアルバム「Let It Be」に収録されたのです。

 

 

4 「The Long And Winding Road」のレコーディング

(1)相変わらずポールの注文が多い

続いてビートルズは、「The Long And Winding Road」のレコーディングを始めました。曲の冒頭でポールがリンゴに「そこはシンコペーションして。違う、もっと溜めて。シンコペートするなら倍でだ。」と注文を付けました。また、ジョンに対しても「君のベースは音数が多すぎる。」と注文を付けました。相変わらず注文が多いですが、ポールは「Something」の時にジョージから同じ苦情を受けましたけどね。

(2)ジョンがベースを担当

ベースを演奏するジョン

そういえば、この曲ではポールがピアノを担当したので、ジョンが代わりにベースを担当しています。オーバーダブはしないという方針でしたから、いつもと担当する楽器を代えています。

ここでレコーディングされたテイクは、アルバムに収録されました。ただし、ポールに無断でオーケストラを入れたため、彼が激怒したといういわく付きです。

(3)ストリングスをフィーチャーするのか?

ブラスを入れることを提案するジョージ

コントロール・ルームでビートルズは、マーティンやジョンズらとともにテープをチェックしました。ジョンズは「このままミックスしてもいいのでは。」と提案しました。それに対してマーティンは「ただ、もう少し整理できる気がする。リミックスする前にね。」と応えました。さらに彼は「ストリングスが要るんじゃないか。」とも意見を述べました。ジョージがポールに「ストリングスがいる?」と尋ねると、ポールは、それを否定せず「どうかな?」と曖昧に返事しました。

マーティン「ジョージがピアノとエレピが同じことをしていると言ってる。」ジョージ「全体的にピアノもエレピもちゃんと聴こえる箇所が少ない。ほとんどが一緒だ。」マーティン「レスリー・ギターもね。エレピはビブラートをかけてるだけ。」ポールは、「確かに必要だな。掃除が。」「僕のイメージはレイ・チャールズ・バンド風だ。」

ポールは、当初はストリングスを入れず、レイ・チャールズのバラードのようなシックなアレンジを考えていたようです。

(4)ポールもストリングスを入れることに賛成だった

ストリングスやブラスを入れることに賛成したポール

ジョージ「プラスでコードを長く入れてもいいかも。音程を変え、ずっと。」以前からも指摘していますが、ジョージは、要所要所で重要な提案をするんですよね。彼は、ギタリストであり コンポーザー ですが、プロデューサーとしての才能もあったと思います。そこで、ポールが「何曲かは、ストリングスやブラスを入れる気だった。」「悪くないな。良いね。」と話しました。

ここで重要なのは、この曲がもうミックスできる段階に到達していたことと、ポールがストリングスやブラスを入れることを検討していたということです。後に壮大なオーケストラが入れられた際にポールが激怒したのは、それが彼に無断でプロデューサーのフィル・スペクターが入れたことと、あまりにも仰々しかったことが理由です。

5 いよいよルーフトップへ

これで26日のレコーディングが終わりました。いよいよルーフトップまで後3日です。今にして思えば、観客が見えないルーフトップでのコンサートは、素晴らしいアイデアだったと思います。ビートルズは、有観客のライヴを長いことやっていませんでしたし、自信をもって演奏できる楽曲も少ないという状況でした。

しかし、ビルの屋上なら観客を気にしなくてもいいし、ライヴといってもリハーサルの感覚でできましたから、プレッシャーはずっと少なかったのです。そして、その時の音源のいくつかがレコードに収録され、コンサート自体もその後、半世紀以上に亘り語り継がれ、新作映画として編集されて2021年に公開されました。ビートルズの実力を改めて見せつけられた気がします。

(続く)

 

 

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