★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ジョージが「Old Brown Shoe」を作曲した(375)

「Old Brown Shoe」をピアノで作曲するジョージ

※この記事は、映画「Get Back」の「ネタバレ」を含んでいるので注意してご覧ください。

1 「Old Brown Shoe」を作曲

(1)ピアノと格闘するジョージ

ジョージが「Old Brown Shoe」をピアノで演奏しています。歌詞とメロディーは、ある程度固まっているようですが、どんなコードがぴったり合うかピアノと格闘しながら色々と探しています。
彼は、ジョンやポールと違ってピアノは苦手でした。ピアノもギターもコードを出せるので作曲に使えますが、どちらかといえばピアノの方がやりやすいとは言われています。ピアノは、左手でコードを弾きながら、右手でメロディーを弾けるのと、出せる音が多いんですね。おそらく、ジョージは、これまでギターで作曲してきたと思いますが、この曲では、珍しくピアノを使いました。

(2)ユニークな作品

作曲の様子を見る限り、ちょっと苦戦しているようですが、慣れないピアノを使ったおかげで、普通なら思いつかないコードを見つけたようにみえます。弾き慣れていないため、普通なら使わないようなコードを探り当てたようです。
これがピアノを弾き慣れたジョンやポールだったら、却って気づかなかったかもしれません。クリエイティヴな作業をする時は、あえていつもとは違うやり方を試してみるのも、一つの方法なのでしょう。
実際、この曲は、ブルースっぽいんですが、他のジャンルも含まれていてユニークな仕上がりになっています。ジョージには失礼かもしれませんが、彼がラフに鍵盤を叩いたためにユニークなコード進行の作品が誕生したのかもしれません。

 

 

 

2 ピアノは難しい

(1)本格的に演奏を始めた

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ポール、リンゴとプレストンは、ピアノを囲んでジョージの演奏をしばらく興味深そうに聴いていましたが、やがてポールが何かひらめいたのか、ドラムキットに座ってドラムを叩き始めました。その後、本格的にポールがギター、リンゴがドラムで伴奏を始めました。この曲は、ものになりそうだと考えたのでしょう。プレストンもギターを弾いています。彼の専門はピアノですが、一流のミュージシャンは何でもこなせるんですね。

(2)みんなが協力していた

ジョージの演奏に合わせてドラムを叩くリンゴ

みんな楽しそうにノリノリで演奏していました。すると、ジョージが「ごめん、ここが…」と言って演奏を止めました。どうやら、コードを思いつかなかったようですね。ポールが「その前の部分じゃないかな?」と声を掛けました。ジョージは「でも、それだと他が長くなりすぎる。自然でないと。」と応えました。そして「ピアノは難しいな。」と苦笑いしました。
こんなやり取りを見ていると、ポールは、ジョージの作品をバカにするどころか、何とか完成できるよう一生懸命サポートしています。最終的にジョージは、この作品を完成させ、シングル「The Ballad Of John And Yoko」のB面に採用されました。

 

 

 

3 「Let It  Be」「The Long And Winding Road」のレコーディングを再開

(1)どれもこれも気に入らない

ビートルズは、「Let It  Be」のレコーディングを再開しました。このシーンでは、それまでとは違って全員が真剣に取り組んでいました。
ポール「少し重いな。その後が少し重くなる感じ。」ジョン「悲しむ感じでゆっくり。」ポール「スローな曲だ。慌てないでいい。」結局、アレンジが決まらなかったのでこの曲の完成は諦め、再び「The Long And Winding Road」に取り掛かることにしました。
ポールは、この曲もやはりアレンジが少し重い感じがすると気に入らない様子です。プレストンが一生懸命ポールの様子を見ながらエレぴを合わせています。しかし、なかなかものになりません。ポールは、とうとう天を仰いで分からないと投げ出してしまいました。ジョンは「ブリッジの部分?」「よかったぜ」と擁護しましたが、完全主義者のボールには満足いかなかったようです。

(2)マーティンが口を挟む

なかなか進まないレコーディングに業を煮やしたマーティンが、ついにここで口を挟みました。「今は全楽器がPAにつながってる。昨日に戻そう。PAがあるとマイクとスピーカーが反応する。マイクの向きがバラバラでスピーカーが近いから、音を拾ってハウる。デイヴ、昨日の状態に戻せ。」「まずピアノの蓋を開けよう。違うはずだ。」
どうもマイクがハウリングを起こしてしまっているのと、メンバーが自分が出しているサウンドしか聴こえず、全体のサウンドがどう出ているのか把握できていなかったようですね。そうだとしたら、機材のセッティングに問題があったことになります。

 

 

 

4 ヨーコの離婚が成立

「Don’t Let Me Down」の歌詞の一部を書き直すジョン

ここでジョンが「ヨーコの離婚が成立したよ。僕は今朝ついに自由になった。」とメンバーに嬉しそうに話しました。ジョンは、すでにシンシアと離婚していましたが、ヨーコの離婚が成立したことで、ようやくジョンとヨーコは結婚できることになりました。
ビートルズは、「Don’t Let Me Down」のレコーディングを再開しました。ジョンが歌詞の一部を書き直し、これで実際にレコーディングされた歌詞になりました。その時のひらめきによって曲がどんどん変わっていく様子を見るのはとても興味深いです。
ビートルズは、昼食休憩に入りましたが、その間、スタッフが勝手に彼らの楽器を使って演奏していました。メンバーだけでなく、スタッフにも緊張感が欠けていたことが窺えます。女性スタッフが伝えたのでしょう、エンジニアのキース・スローターが顔をしかめてスタジオに入ってきました。やばいと思ったのか、スタッフが楽器を置いてこそこそ逃げ出しました。
ここで、クオリーメン時代からのジョンの友人であるアイヴァン・ボーンが登場しました。どうやら、ジョンとヨーコの出版物に関する新聞記事をみんなと読んでいるようです。「本のレイアウトは彼が考えた。これはほんの一部。」ボーンは、出版にかかわっていたようですね。
ポールは、記事を読み上げました。「日本人女優ヨーコをジョンは抱きしめ、彼女を愛してると語った。彼は、ヨーコを女王よりも愛してると。」彼は、顔では笑ってはいましたが、心なしか寂しそうでした。最愛の夫を愛人に略奪される妻のような気持ちだったのでしょうか。

 

 

 

5 「Get Back」のアルバム・ヴァージョン

(1)最後の提案

空撮を提案するホッグ

ホッグは、「ライヴの件だけど空撮するのはどう?屋上に4人の画。その背景にロンドンの街並み。」とまた新たに提案しました。ヘリを飛ばして空から撮影するという最後の提案ですね。費用を尋ねられると「1000から1200(ポンド)」と応えました。それを聞いたジョンは「ヘリ代にプラス撮影費用だろ?高すぎるね。」と却下しました。ポールも賛成しませんでした。でも、これが実現していたら、さらに面白い映像が撮影できていたでしょう。
ビートルズは、再び「Get Back」のレコーディングに取り組みました。前のレコーディングでもう完成したと思っていましたが、ポールは納得いっていなかったんですね。そういえば、シングルにしたらどうかというジョージの提案に対しても、「まだリハーサルだから」と首を縦に振りませんでした。

(2)「Get Back」のテイクを重ねる

「Get Back」のテイクを重ねるビートルズ

ポール「いい感じで静かに入るんだ。始まると落ち着くがもっと早く。」と指示しました。「相変わらず細かく指示するなあ。」と思いましたが、レコードでCDの音源を聴いてみると彼が指示したとおりになっています。そういう意味ではポールの指示は的確だったと言えますが、ジョンやジョージは、それほど細かい指示をメンバーには出しませんでした。
この辺りになると、その指示が的確だったのか、そこまでやらなくてもよかったのか、本人しか分かりませんね。この日は20回ぐらいテイクを重ねましたが、その甲斐があってこの日のテイクの中からアルバムのヴァージョンが収録されたのです。ただ、私には何を基準にしてベスト・テイクと判断したのかは分かりません。
ジョンがふざけて「ロレッタ・ファート。掃除機だと思ったらフライパン」とマイクに吹き込みました。ポールは何も言いませんでしたが、自分の曲を侮辱されたと内心は怒っていたでしょう。そして、フィル・スペクターは、なぜかこの部分をアルバム「Let It Be」に編集で挿入しました。
ポールは、明日は1時半からジョンと外出するからその間を頼めるかとジョージに尋ねました。するとジョージは、「分かった。リンゴの曲でもやってる。」と応えるとリンゴも笑っていました。この辺りはなごやかな雰囲気でしたね。ポールは、帰り際にマーティンに「テイク9がベストかい?」と尋ねました。すると、マーティンは「だが、まだ完成じゃない。取っておくよ。」と応えました。
これで27日の収録は終わりました。ビートルズは、29日にコンサートを行う予定でしたが、悪天候が予想されたため1日延期して30日になりました。

(続く)

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