★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(199)ホワイト・アルバム~メンバーの衝突とチームワークの複合体

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1 パンドラの箱を開けた

パンドラの箱」とは、全知全能の神ゼウスが、未だ災いというものがなかった人間の世界に、パンドラという女性にあらゆる災いの詰まった箱を持たせて送り込みました。彼女が地上に着いたとき好奇心から箱を開けたところ、すべての災いが地上に飛び出してしまい、慌ててふたをしたら希望だけが残ったというギリシャ神話です。そこから転じて、あるキッカケで、世の中の流れが一気に変わることの例えとして用いられます。

ビートルズは、1967年にリリースしたアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」の大成功により、ロックの可能性を限りなく広げたのですが、それはある意味でパンドラの箱を開けてしまったことになりました。つまり、否応なく世界中のアーティストとの激しい競争にさらされたのです。

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ピンク・フロイド

ジミ・ヘンドリックスフランク・ザッパピンク・フロイド、ドアーズ、ローリング・ストーンズビーチ・ボーイズボブ・ディランのようなアーティストたちも、ビートルズの影響を受けて前衛的な作品を制作しようとしました。しかし、ビートルズは、前年のサイケデリックな傾向を追求し続けるのではなく、逆の方向に進みました。

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ドアーズ

普通、どんなに多彩なアーティストでも、短期間に急激に方向性を変えるのは非常に困難です。例えば、ピカソも若い頃から歳を重ねるにつれ、どんどん作風が変わっていきましたが、それには一定の期間がありました。ところが、ビートルズは、1年ごとに全く違う方向性を示す作品を制作したのです。

ビートルズは、よりすっきりとしたロックンロール・サウンドに回帰し、同時にアコースティックギターサウンドを多く取り入れるようになりました。

 

2 崩壊はすでに始まっていた

(1)バラバラの4人

ã1,967 paul mccartney sgtãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

「Sgt. Pepper's~」でポールは主導的な役割を果たしていましたが、ブライアンの死後、一層リーダーシップを発揮しようとして、グループの民主的な権力構造に歪みを生じさせたのです。リーダーはジョンでしたが、4人は重要なことは話し合いで決め、1人でもノーといえばやりませんでした。その関係性がここでおかしくなり始めたのです。

他方で、ジョンは、ヨーコにのめり込んでいき、ビートルズへの関心を失い始めていました。ジョージは、レノン=マッカートニーの飽くなき創造性に疲れてしまい、原点に帰ろうとしていました。リンゴは、スタジオにただ座って、他のメンバーが曲を書き終えるのを待つことにウンザリしていました。

ジョージは、この頃のことについて「崩壊はすでに始まっていた」と語っています。

(2)ジョンとポールの主導権争い

ã1968 john lennonãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

ジョンは、ホワイト・アルバムで主導権を握ろうとしていました。彼の制作した「Revolution 1」は、ビートルズが5月30日に開始したレコーディングで最初に取り組んだ曲でした。

彼は、この曲を次のシングルにリリースすると主張しましたが、新設したアップル・レーベルで初めてリリースされたのはポールの曲でした。ポールは、この曲ではテンポが遅すぎてチャートナンバー1を獲得することはできないと確信していたのです。

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確かに、Revolution 1 は、なかなか味わいのある曲ですが、スローテンポでノリのいい曲ではありませんから、これでチャート1位を取るのは難しかったでしょう。

それに対して、Revolutionは、アップテンポでディストーションの効いたギターフレーズ、ジョンのパワフルなヴォーカルが炸裂し、強烈なインパクトのあるシングルにはピッタリの曲に仕上がりました。

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ジョンは、7月10日に「Revolution」というタイトルのよりアップテンポにしたヴァージョンでレコーディングし、これが最終的にシングル「Hey Jude」のB面に選ばれました。

つくづく惜しいと思うんですが、何故この名曲をB面にしたんでしょうね?時期をずらして、A面としてリリースできなかったのでしょうか?以前のジョンだったら、B面で妥協するということはしなかったと思うんです。

 

3 ジョージが自己主張し始めた

(1)物を言うビートルに成長した

George Harrison Beatles White Album Poster

これもビートルズにとって大きな変化ですが、それまで「クワイエット・ビートル(静かな ビートル)」と呼ばれていたジョージが、初めてアルバムの制作に関して自分の主張を通したのです。

同時に複数のトラックのレコーディング作業が行われていたので、プロデューサーのジョージ・マーティンは、すべてのセッションを監督することができませんでした。彼がいない間に、メンバーそれぞれかあるいはマーティンの助手のクリス・トーマスが作業を継続しました。

ジョージは、それまでのどのアルバムを制作する時よりも力強くなっているように見えました。彼は、他のメンバーとは別のスタジオで自分の曲を頻繁に制作していただけでなく、友人であるエリック・クラプトンをスタジオに連れて来て「While My Guitar Gently Weeps」でリードギターを演奏させました。彼は、他のメンバーに相談することなく決定したのです。それまでの彼なら考えられない行動でした。

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スタジオに部外者を入れる、それもセッションに参加させるなど、それまではメンバー全員の同意がなければ絶対にできませんでした。しかし、ジョージは、その不文律を無視してクラプトンを連れてきたのです。

青年期の上下関係は大人になってからも続くものですが、ジョージは、ジョンやポールの顔色を窺うことなく、自己主張するようになったのです。

(2)エリック・クラプトンの参加

Clapton, Oakland, 1968

クラプトンは、すでに若手ギタリストのホープとして名を馳せていたものの、ジョージからの誘いに「ビートルズのセッションに参加するなんてとんでもない。」と流石に尻込みしました。ビートルズは、絶対に部外者を参加させないということも知っていましたから。しかし、ジョージは、「オレがいいと言ってるんだから構わないだろう。」と強引に連れてきたのです。

今までのジョンやポールだったら「勝手なことをするな」と怒ったかもしれません。しかし、彼らがギスギスした雰囲気になっていた所へ部外者が来てくれたのは、却ってプラスになったのです。二人とも喜んでクラプトンを迎え入れました。

ジョージは、当時のことを振り返ってこう語っています。「(ギスギスした雰囲気を和らげようと)ちょっと頑張ってみたんだ。彼らは、すべて最高のプレイをやったよ。」正にジョージのファインプレイでしたね。

また、彼は、マーティンのアドヴァイスにも耳を貸さなくなっていました。彼が自分の曲である「Savoy Truffle」のミックスを手がけていると、マーティンは、そのサウンドがあまりにも甲高いのではないかと指摘しました。しかし、ジョージは、「オレは、このサウンドが好きなんだ。」と言って、マーティンに背を向けて作業を続けました。

今までのジョージなら考えられない行動です。マーティンもさぞ驚いたことでしょう。

(3)リンゴが一時的に脱退

夏から秋へとレコーディングが続きましたが、メンバー間のゴタゴタはさらに悪化しました。リンゴは、メンバーから自分の存在を評価されていないと感じると、8月22日の「Back in the U.S.S.R.」のレコーディングの途中で脱退しました。

彼がいない間、他の3人は、8月28日に「Dear Prudence」をレコーディングしました。ホワイト・アルバムの最初の2曲のレコーディングにリンゴは参加せず、9月5日の「Glass Onion」のレコーディングでようやく復帰しました。

一時的とはいえ彼が脱退したことは、ビートルズの関係がどれだけ緊張してたかを示しています。

 

4 新たな発見

Abbey Road Studio 3

しかし、いくらメンバー同士がギスギスした関係であっても、ビートルズは、いつものようにスタジオで新たな発見をしました。彼らは、アビイロードの3つのスタジオでそれぞれレコーディングしていましたが、8月13日の「Yer Blues」の収録の時に、まだ使用していなかった場所を見つけたのです。

スタジオ2の「アネックス」と呼ばれていた、小さな何にでも使える部屋でした。彼らは、狭い場所では、マイクの音漏れや壁からの音の反射によって、レコーディングでライヴに近い臨場感のあるサウンドが得られることを発見したのです。

 

 

(参照文献)GUITAR WORLD

(続く)

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