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ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

警官によるコンサートの中止は「ヤラセ」だったという疑惑について(217)

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1 警察はコンサートをすぐには中止させなかった!

(1)警官はすぐに出動しなかった

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ビートルズは、映画「LET IT BE」で、ロンドン警視庁を1960年代の最大の音楽シーンの一つを強制的に中止させた国家権力の象徴として描いています。確かにそれは事実ではありますが、官たちは、ビートルズのゲリラ・ライヴをあえて大目に見てくれたのです。もちろん、黙って見逃すことはさすがにしませんでしたが。

ロンドン警視庁は、27サヴィル・ロウにありました。アップル本社からほんの数メートルの距離です。警官たちは、オフィス街の真昼間に大音量のロックが突然聴こえてきてさぞ驚いたことでしょう。

大音量で窓がガタガタと鳴り、床が揺れ、交差点では運転者が一斉に屋上を見上げたために大渋滞が発生していました。もし、警察がその気になれば、最初の曲の途中で演奏を止めさせることもできたのです。

しかし、彼らは、辛抱強く待ってコンサートを42分間続けさせました。彼らが重い腰を上げて現場に赴いたのは、騒さくて仕事ができないと付近の企業からクレームが殺到し始めてからでした。

(2)警官の証言

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ロンドン警視庁は、コンサートを中止させるよう近所の住民から要求されました。警官のケン・ウォーフが苦情の電話を受けた時、彼は、ピカデリーサーカスで勤務中でした。

彼は、当時のことを次のように回想しています。「私が電話に出ると「あんたにもとんでもない騒音が聞こえているだろう?」と電話の主は言った。私は、「ええ、ビートルズのようですね。」と応えた。私は、彼らが屋根の上にいたことをその時点ではまだ知らなかったが、誰もがビートルズがサヴィル・ロウに彼らのスタジオを持っていることを知っていた。彼は、私に「すぐに仲間を連れて行って、音量を下げさせてくれ。」と要求してきた。

ウォーフは、彼らが歴史的なバンドの演奏を止めることなどできなかったと認めました。それどころか、むしろ続けさせてやりたいとさえ思っていたというのです。分かりますよお~、その気持ち!(誰も止めさせろなんてヤボな電話をしてこないでくれ)と祈るような気持だったのでしょう。

「私は、最終的にビートルズが逮捕され、サヴィル・ロウを連行されていく偉大な瞬間が撮影されるだろうと思った。意を決した警察署長が部下を引き連れてドアに向かって行ったのを覚えている。」

署長も同じ思いでじっと耐えていたのでしょうね。しかし、これ以上放置すれば彼らの責任が問われます。ビートルズが長い間コンサートをやっていなかったことも、そして、彼らが解散の危機に瀕していたことも、みんな知っていたと思います。

だからこそ、続けさせてやりたい、しかし、警官としての職務を全うしなければならない。彼としても苦渋の決断だったのでしょう。

 

(3)それでも事前に警告を与えた

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それでも、彼らは、現場にあるかもしれないある種の違法な薬物を処分する時間稼ぎができるよう、アップルの社員にあらかじめ警告を与えました。「警官が現場に来る前に、誰かがサヴィル・ロウ警察署から「10分だけ時間を与える。」と電話がかかってきたと告げた。」とアップルの社員が回想しています。

「警察が出動することを知り、スタッフがそれに対しそれぞれで備えた。警察が到着したときには、ブツは、トイレに全部流されていた。」ヒュ~♫、すんでのところで違法薬物所持の容疑による逮捕は免れました。

っていうか、現場にそんな危ないものを持ち込んでたんですね(^_^;)ノーテンキというか、何というか…。だって、ちょっと前に同じことをやったジェファーソン・エアプレインは、1曲を演奏しただけで警察に中止させられたことを彼らは知っていたはずなんですよ?

それにしても、ロンドン警視庁は、信じられないほどの神対応でした。コンサートを中止させなかったばかりか、ヤバいブツがあることを薄々知りながら、事前にそれを処分する時間を与えてくれたんですから。

(4)「隠れたファインプレイ」

やはり、ビートルズは、イギリスの英雄ですし、警察の中にもファンは大勢いたでしょう。コンサートを中止させる、ましてや違法薬物を所持していたかどで摘発するなんてヤボなことは、彼らの頭の中には毛頭なかったと思います。

いや、むしろ「モットキキタイ」とさえ思っていたのです。クレームの電話に「チッ、余計なことしやがって💢」と内心で舌打ちしたのでしょう(笑)

目立ちませんが、結果的にはこれも警察の「隠れたファインプレイ」だったと思います。ルーフトップ・コンサートがたった1曲で終わっていたら、到底、伝説にはなりえませんでしたからね。ファンとしてはロンドン警視庁に感謝状を贈りたいです。

(5)全員が逮捕される?

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EMIのサウンドエンジニアであったデイヴィッド・ハリーズも、コンサートに参加して、機材をセッティングしたことについて語っています。

「我々は、ビートルズサウンドが路上で聴こえて、車の交通を止め、すべての歩行者の足を止めさせようと、目一杯の大音量を出すつもりだった。それで、1月の午前中の凍てつく午前4時に、EMIから運んできた大きなスピーカーをセッティングしなければならなかった」

「スタジオは実際には地下にあったので、我々は、機材を屋根の上に置き、それに階下にある機器を接続し、マイク用のすべてのリード線を階段の下へ走らせて接続した。」

「警官がドアをノックして「我々を中に入れなければ、建物の中にいる全員を逮捕するぞ」と。」

「その時点で、プロデューサーのジョージ・マーティンは真っ青になった。とても面白かったよ。私は、はしゃいでいた。「オレたちは、ビートルズと一緒に逮捕されてテレビに映るぞ。」と思った。」 

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2 「ヤラセ疑惑」

(1)公開直後からささやかれてきた疑惑

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映画では、警官がビルを訪れたシーンを室内と室外から撮影していたため、「あらかじめ、ロンドン警視庁と打ち合わせた「ヤラセ」だったのではないか?」との疑惑が公開直後から根強くささやかれてきました。

断定はできませんが、私は、それはないだろうと考えています。いくら国民的英雄といえども、ゲリラ・ライヴという、いわば国家権力に歯向かうような行為を正面から持ちかけられたら、さすがに警察としてもそれを受けるわけにはいきません。ケン・ウォーフの回想もそれを裏付けています。

それにリンゴは、「警官の姿を見て興奮した」と証言しています。オレたちは逮捕されて酷い目にあわされるかもしれないけれど、その代わりにコンサートは、素晴らしいエンディングになるだろうと考えたというのです。これは、彼の素直な気持ちを表現したものであり、信ぴょう性がありますからヤラセとは考えにくいです。

それに本当にヤラセだったとしたら、そもそも警察が10分前に警告の電話を入れる必要はなかったはずですしね。打ち合わせ通りに出動すれば良かっただけです。

 

(2)ホッグも否定

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また、ホッグ監督自身もインタビューでヤラセ疑惑を明確に否定しています。

「あれは100%真実だ。我々は、ああいった妨害行為など、思わぬハプニングがあった方がむしろラッキーだと思っていた。警官が屋根に登ってきたとき、ビートルズはとても興奮していた。映画に映っている若い警官がいたが、彼は、帰宅して妻にショーを止めるためではなく、ビートルズの演奏を聴くために屋根に登った」と語ったのだ。」

事実とすれば警官としてあるまじき行為ではありますが、おそらくこれがホンネでしょうね(笑)だって、ビートルズのライヴをただで聴けるんですから。

彼らが、本気でコンサートを中止させるつもりであれば、悠長にドアをノックしたり、玄関の辺りをウロウロしたりしませんよね。少しでも長く彼らに演奏させてやりたい、というか自分たちが聴きたかったのでしょう。その仏心が、逆にヤラセ疑惑を生んでしまう結果になったのは皮肉ですが。

 

(3)違法薬物を持ち込むはずがない

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最大の決め手となるのは、ビートルズ側が現場に違法薬物を持ち込んでいたことです。ヤラセで警察が来ることがあらかじめわかっていたのなら、そんなヤバいものを持ち込むはずがありません。

ただ、ビートルズ側は、ジェファーソン・エアプレインの例があるので、早晩、警察が駆けつけるだろうと予測はしていたと思います。なので、彼らの時とは違って、あらかじめカメラマンがスタンバイして警官が到着するのを待ち構えていたとしても不思議ではありません。

警官が駆け付けるであろうと予測してカメラマンをスタンバイさせていても、警察と連携していなかったのですから、ヤラセには当たりません。現実にはあり得ませんでしたが、警察が出動しないままコンサートが無事終了したかもしれなかったからです。

(4)歴史を作った警察のアシスト

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ホッグは、「警察がコンサートを中止させようとしたら、暴動が起きるかもしれないと思った。」と語りました。「私は、ボンドストリートの向こう側のロイヤルアカデミーの屋根の上に、多くの人々が立っていたことに驚いた。」

「いくつかの古い映像の中には帽子を被り、パイプを持っている人たちが映っている。しかし、そこにはパーティーの雰囲気があった。」

そりゃビジネス街のど真ん中ですからね(^_^;) ロックコンサートには似つかわしくない、ビジネスパーソンが往来してました。それでも、まるでパーティーのような雰囲気だったというのです。

「屋根の上で行われたこのフランクなコンサートを中止させたいと思った警官は一人もいなかっただろう。」 

(参照文献)Rollingstone, Entertainment, DEN OF GEEK

(続く)

 

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