★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ビートルズが歌詞の中にこっそり仕込んだ遊び心(345)

кяιѕтιηα on Twitter: "One of the best ones… "

1 ビートルズは進化し続けた

ビートルズが、デビューしてからどんどん芸術的に進化していったことは、彼らのキャリアの中でも特筆に値するできごとの一つです。もちろん、彼らは、デビュー当初からすでにポピュラー音楽のあるべき姿を変えていました。

しかし、彼らがアイドル時代のポピュラーな作品から、より芸術性の高い作品へ軸足を移行するにつれ、果てしなく理論的な探求をしていかなければならなくなると同時に、メンバーそれぞれの作品に対する観点の相違から、メンバー間に不協和音が発生するようになりました。もっとも、それは、必ずしもマイナスであったともいえず、むしろメンバーがそういった相違を楽しんでいるようにも見えたのです。

彼らは、表向きはお互いを批判しているかのようにみえましたが、内心では「やっぱり、あいつはすごい。」と認め合っていたんです。ただ、それを素直に口に出すのはちょっと抵抗があったんでしょうね(^_^;)

 

2 ビートルズの仕掛け

(1)歌詞を引用

ビートルズが常にリスナーの期待に応え続けてこられた秘訣の一つとして、素晴らしい歌詞が挙げられます。彼らは、メジャーになるとすぐに、彼らの楽曲が隅々まですべて世間に晒されていることを知りました。そこで、彼らは、それを逆手にとって、ファンが見つけられるよう遊び心で小さな仕掛けをしていたのです。

ビートルズは、ハンブルクの下積み時代からお客さんをどうやったら楽しませるかを身体で学びました。彼らは、メジャーになってからも、様々な仕掛けでファンを楽しませたのです。彼らは、革新的な楽曲やレコーディング方法で数多くの斬新な楽曲を制作して、ファンや音楽評論家を驚かせてきました。しかし、目立たないようにあえてコッソリ仕掛けて、人々に問いかけることも好きでした。

彼らが特に気に入ってよく使っていた仕掛けは、ある楽曲の歌詞の中で自分たちの他の楽曲をそれとなく引用することでした。これは、ある楽曲の歌詞のどこで他の楽曲のどの部分を引用しているか、ファンが探し出すという新たな面白い遊びを提供するだけでなく、自分たちが文化の巨大なインフルエンサーであることを確認するためのものでもありました。

(2)どの楽曲に他の楽曲のどこが引用されているか?

他のどのポップグループよりも、ビートルズは、自分たちが世界の文化の一部となっていることを認識し、自分たち自身の楽曲の歌詞をさり気なく引用することでファンを夢中にさせたのです。以下でビートルズの楽曲の中で、他の楽曲を引用しているものをピックアップしていきます。

…とここでネタバラシする前に少し考えてみて下さい。ちょっとしたクイズです(笑)ファンなら「あれだな。」と何曲か思いつくハズです。でも、分かりやすいものもあれば、意外に難しいものもあるかもしれませんね。全部正解できたら上級者かもしれません。

 

3 最も有名な楽曲は

(1)多くの楽曲を引用した

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最も有名なのは「Glass Onion」で、ジョンは、この楽曲の中で「Strawberry Fields Fields Forever」「I Am The Walrus」「Lady Madonna」「The Fool on the Hill」「Fixing a Hole」といったビートルズの名曲の数々を引用しました。こう言ってしまえば簡単ですが、こんなに何曲も引用してそれでなおかつあの名曲を作るなんて、やはり天才としかいえませんね。だって、作詞家が一曲の歌詞を作るだけでも大変な作業なんですから。まるで曲芸ですよ。

彼は、歌詞を引用しただけでなく「the walrus was Paul」と意味深なラインをそこへ埋め込んだため、世間をザワつかせました。このラインの解釈を巡って、数え切れないほどの論争を生み出すことになったのですが、これについて、ジョンは、面白半分でイタズラを仕掛けたのです。

(2)ジョンの解説

彼は、プレイボーイ誌のデイヴィッド・シェフのインタヴューに応えて、「これは私が『Walrus』やこれまで書いてきたすべての曲と同じように捨て曲を作っただけなんだ。」と語っています。この名曲が棄て曲⁉️これだけじゃなくて他の楽曲も⁉️いやいや、あり得ないでしょ(^_^;)相変わらずの彼一流の自己否定ですね。

「もう少しみんなを混乱させるために、『ウォルラスはポールだった』というラインを入れたんだ。元の歌詞のままだと、ウォルラスが私だということになるだろうと思っていた。つまり、『私がその人だ』ということだ。ただ、この曲は、そういう意味だけではなかったんだ。」

「『フォックス・テリアはポールだ』とやっても良かったかもしれない。つまり、ちょっとした詩のようなものなんだ。ただ、そういうラインを放り込んでみただけなんだよ。」

(3)解説を読んでもよく分からない

John Lennon - 1969.03.22 And His New Bride Yoko Ono Stroll The Lanes Of A  Flea Market In Paris. Lenno… | Imagine john lennon, John lennon and yoko,  Beatles pictures

このジョンの解説を読んで、皆さんは意味が分かりますか?正直、私は、いまいちピンと来ません(^_^;)彼の説明自体が詩のようになっていて理解しづらいんです。何となく彼の言いたいことは分かるような気がするのですが、モヤモヤした感じですね。

私なりに解釈すると「the walrus was Paul」の部分は、別に何でも良かったというわけですよね?タイトル通りだとジョン自身が「ウォルラス」ということになります。しかし、それだと何のヒネりもなくて面白くない。そこで、読んだ人を混乱に陥れるために、あえて全く違う歌詞を放り込んだということです。そこは、分かります。

しかし、「そういう意味だけではなかった」というくだりはちょっと良く分かりません💦これは、ウォルラス=ジョンということではなかったということを言いたかったんでしょうか?ジョンは、インタヴューでも「詩人」だったので、こちらで真意を汲み取らないといけません。

もっとも、私の場合、ジョンの難解な歌詞は、理解するものではなく感じるものだと思っています。かつてブルース・リーが映画「燃えよドラゴン」の中のセリフで「Don ' t Think Feel(考えるな感じろ)」と言いましたが、それと似た感覚ですね。

(4)ジョンの狙い通り

彼の狙い通り、世間は、この楽曲の解釈を巡って喧喧諤諤の大論争となりました。正に彼の思うツボでしたね(笑)彼は、色々な評論を見ながらニヤニヤ笑っていたのでしょう。

ジョンがこういう仕掛けをやった本意は、彼がビートルズの楽曲を作るときに発揮する力をよく知っていて、自分やビートルズの曲に隠された意味を探している人たちに応える遊びを考えたのです。彼は、沢山の歌詞の中から引用している箇所を探そうとしている人たちに、たくさんの参考となる資料を提供したのです。

 

4 他の楽曲でも引用はある

(1)ポールも引用

www.youtube.com

他にも、ビートルズが自分たちの楽曲を他の楽曲で引用した例は色々あります。「Lady Madonna」は、「I Am The Walrus」の中の「see how they run」という箇所の歌詞を引用していますが、実は、これは「Lucy In The Sky With Diamonds」の「see how they fly like Lucy in the sky」という歌詞を引用しているのです。つまり、ジョンの歌詞をポールが引用し、さらにそれをジョンが引用したという再々引用ですね。いやあ、手が込んでますね〜(^_^;)

ビートルズの勝利のアンセムの一つである名曲「All You Need Is Love」では、自分たちの楽曲をより直接的に引用しています。それは、ポールがエンディングのバック・ヴォーカルで「She loves you, yeah, yeah, yeah」と「She loves you」のサビの箇所を歌っています。これは、誰でも気が付きますね。っていうか、この二つの楽曲は曲想もテーマも何もかも違いますが、これが同じアーティストの作品だと思うと改めてビートルズの偉大さが理解できる気がします。

(2)ジョージも引用

While My Guitar Gently Weeps — George Harrison's song began life as a  folksy ballad — FT.com

ジョージがエリック・クラプトンの歯医者への恐怖心について書いた曲「Savoy Truffle」では、「Ob-la-di Ob-la-da」のタイトルそのものが引用されています。「Carry That Weight」では、グループは「You Never Give Me Your Money」のメロディーを使い、歌詞を少しアレンジしてAbbey Roadメドレーの次のパートへの橋渡しをしています。

このように、ビートルズの作品は、掘り下げれば掘り下げるほど色々な発見があることに気づきます。それを探し出すのも楽しみの一つですね。

(3)ビートルズの偉大さ

隠れたメッセージや自分たちの作品の引用を含め、リスナーに延々と作品の中で答探しをさせるといった、これほどまでに巧妙な仕掛けができるアーティストはそう多くはないでしょう。単なるお遊びで傑作を作成することなど不可能です。

しかし、ビートルズは、遊び心を芸術に昇華させるセンスと才能を持っていたのです。そのことが、今日まで彼らが多くの人々から愛されている理由の一つなのかもしれません。彼らは、熱狂的なファンを生み出すために一つの手段を提供したのです。

 

(参照文献)ファー・アウト

(続く)

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