★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

マルはビートルズのために運河に飛び込んだ(453)

ジョンとポールと

1 雑用係としても働いた

(1)車のフロントガラスを砕いた

ビートルズを乗せて運転するマル

ポールは、マルがビートルズを乗せて高速道路を走っていた時のことをこう語っています。「高速道路を走っているとき、フロントガラスが小石で割れたんだ。僕らの偉大なローディーであるマル・エヴァンズが運転していたんだけど、彼は帽子を逆手に取り、フロントガラスを完全に打ち抜いて、そのまま走り続けた。これはイギリスの冬で、凍てつくような霧が立ちこめ、彼は、リヴァプールまで200マイル(約320km)の道のりを縁石に気をつけながら走らなければならなかったんだ。」*1

道路の小石が跳ねて車のフロントガラスを割っちゃったんですね。マルは、咄嗟にフロントガラスを粉々に砕いて取り除き、前方が見えるようにしたのです。しかし、凍てつくような寒さで、外は真っ暗な上に霧がかかっていました。マルは、無事にビートルズを自宅まで送ろうと必死でしたが、メンバーは生きた心地がしなかったでしょう。このエピソードは、彼が自伝を出版しようとしたとき「200 Miles to Go(あと200マイル)」というサブタイトルに使われていました。

(2)雑用係もやった

ビートルズとともにインドに滞在したマル

本来のローディーとしての仕事に加えて、エヴァンズは、しばしばビートルズの雑用係として働き、衣服、食料、その他の必需品を含む物品を調達するよう要求されました。ビートルズの名声が高まるにつれ、彼らは、あらゆる欲望が満たされることに慣れてきていたのです。

ジョージは、こう語っています。「彼は、何年にもわたって彼が開発したバッグを持っていた。なぜなら、彼は、いつもみんなからこんな風に頼まれていたからだ。『マル、絆創膏を持ってる?ねじ回しを持ってる?このボトルを持ってる?あれはある?』そして、彼は、いつもすべてを持っていた。もし、彼がそれを持っていなかったら、彼は、すぐにそれを手に入れていた。彼は、自分のやっていることが大好きで、奉仕することについて何の問題も感じない人物だった」*2

正に「歩くデパート」ですね。ビートルズ自身が買い物に行くわけにはいきませんから、必然的に買い出しはマルの仕事になり、彼は、求められればすぐ取り出せるよう、ありとあらゆる物を用意して持ち運んでいたのです。

 

 

2 ありとあらゆる要求に応えた

(1)運河に飛び込んだ

アムステルダムの運河をボートで下るビートルズ

1964年の最初のワールドツアーでのエピソードのように、マルのビートルズに対する忠誠心は、彼らのどんな気まぐれな要求にも応えることを意味していました。ジョージは、こう語っています。「僕らは、(アムステルダムの)運河でボートに乗り、元気いっぱいに手を振っていた。そしたら、人混みの中に、格好良いマントを着た男が立っているのを見たんだ。僕らはマルを彼の下へ走らせ、どこからそれを手に入れたのかを調べさせた。マルは、ボートから飛び降りるか泳いで約3時間後に男から買ったマントを着て僕らのホテルに現れた。そこから香港へ飛行機で飛んだとき、僕らは全員マントのコピーを作成したけど、シドニー空港の暴風雨で色落ちしてしまう位安物の素材だったんだ。」*3

(2)ボディガードとしても活躍

ジョージとパティと

ビートルズの無茶振りも酷いですが、それに文句一つ言わず応えたマルも大したもんです。本当に運河に飛び込んで泳いだんでしょうか?ボートは途中で接岸なんかできませんから、おそらく飛び込んだのは間違いないでしょう。下手をすれば溺死しちゃいますよ。それにしても、全身ずぶ濡れの大男に「そのマントをどこで手に入れたんですか?」って聞かれた人もさぞ怖かったでしょうね。

ビートルズボディガードとしてのマルの仕事は、バンドのメンバーが熱狂的な一般の人々に邪魔されないようにすることも含まれていました。多くの場合、彼らの才​​能は、人々の病気を治してくれるとまで人々が考えたため、彼らは、宗教的な熱意に近い扱いを受けました。今では信じられませんが、多くの人々がビートルズは病気さえも治してくれると本気で信じ込んでいたのです。

リンゴは、こう語っています。「みんなが楽屋に障がい者を置いていくんだ。お茶を飲みに行くのか知らないけど、置いていくんだよ。どうしようもないから『マル、障がい者が!』と叫ぶことが口癖になっていた。障がい者でなくても嫌なヤツがいたら、『マル、追い出してくれ!』と叫んで追い出してもらうんだ」

当時は、今と違ってセキュリティーが甘く、誰でも簡単に楽屋に入れたんです。そして、ビートルズが神だと勘違いして、障がい者を置き去りにしていく人がいました。今では想像もできません。

 

 

3 メンバーとの格差

(1)エコノミーからファーストクラスへ

空港を歩くポールとマル

これは良く知られていることですが、マルとニールはファンからの要求に応えるために、ビートルズの代わりにサインをすることがよくありました。二人とも一生懸命サインをマネして書いてファンに渡していたんですね。

こんな風に二人は、ビートルズの側近として貴重なスタッフでしたが、ブライアンとグループが常にファーストクラスに乗っていたのに対し、彼らは、ほとんどいつもエコノミーに乗っていました。ビートルズの広報担当者デレク・テイラーは、1964年のアメリカ・ツアーでビートルズが大成功を収めた後、ブライアンがどのようにグループから彼らの待遇を良くするよう説得されたかを説明しています。そりゃ、メンバーじゃないとはいえ、彼らだけエコノミーなんて気の毒ですもんね。ビートルズが見かねてブライアンに彼らの待遇改善を要求したのです。

デレク・テイラーは、こう語っています。「ブライアンは、マルとニールと私をファーストクラスに乗せるためにエコノミーまでやって来た。実際、彼は、ビートルズから行ってこいと言われてきたんだ。『彼らは、あそこで何をやっている?僕らは、ツアーで大金を儲けたんだ。彼らをここに上げてくれよ。彼らをここへ連れてきてくれ』」*4

(2)収入にも大差が

ビートルズがまだ駆け出しの頃は仕方なかったでしょうが、ワールドツアーで大成功して大金を稼げるようになったのです。ビートルズは、彼らに献身的に貢献してくれたマルたちをファーストクラスに載せるようにブライアンに要求したのです。彼らの思いやりですね。

ビートルズとその経営陣、スタッフとの格差は、各当事者が受け取った報酬にまで及びました。ジョージは、こう語っています。「僕は最近、1963 年の一時期に僕らが実際にいくら稼いでいたかを示す紙を見つけた。72,000 ポンドから始まって、僕らは、それぞれ約 4,000 ポンドを稼いだことになる。ブライアン・エプスタインは週に2,025ポンド、ニールとマルはそれぞれ25ポンドを受け取っていた。」*5

確かに、マルたちはスタッフではありますが、それにしてもすごい格差ですね。彼らの献身的な仕事ぶりからしても、もっと報酬を上げるべきだったでしょう。その後は上がったでしょうけどね。

 

 

4 マリファナを知ったビートルズ

ニールとマル

マルは、ボブ・ディランビートルズマリファナを紹介した1964年8月28日の夜に同席していました。彼は、メンバーとともにマリファナを試用し、ポールからちょっと変わった依頼を受けました。

ポールは、こう語っています。「人生の意味を発見したんだ。そして、僕は突然、リヴァプールの地元紙を代表する記者になったような気分になった。僕は、それが何であるかを人々に伝えたかった。僕は、ニューヨークのマリファナの海での偉大な発見者だったんだ。僕は、この海を航海し、この海を発見した」

「僕は、ロード・マネージャーのマルに『鉛筆はあるか』と尋ねていたのをずっと覚えている。でも、もちろん、みんなラリっていて、紙と鉛筆の組み合わせはおろか、鉛筆すら見つけられなかった。何とか見つけてその時の気分を書き留めてマルに渡したんだ。一晩の間に色んなレヴェルになった。僕は、そんな自分に出くわした。『ハハハ!君だ!』そして、別のレヴェルに変身するんだ。とにかく、マルは、朝、僕にこの小さな紙切れを渡したんだけど、そこには『7つのレヴェルがある!』と書いてあった」

マリファナを摂取して全員がハイな気分になっていたんですね。ポールは、マリファナで幻覚症状を起こして、刻々と変化していく自分の意識をメモしようとしたんですが、まともに字も書けなくなっていました。本当に薬物とは恐ろしいものです。

ビートルズの麻薬への依存が深まるにつれて、マルとニールは、自分たちの仕事が再び変化していることに気づきました。ジョージは、こう語っています。「ビートルズの物語の中で、マリファナの話題は避けられない。僕らが仕事をしている間、マルとニールは、いつもスタジオ 2 の音響機器の後ろに座って、マリファナを巻いて吸っていた」*6

マルは、ビートルズのレコーディングセッションの後、ロンドンのクラブでポールやニールとよく遊んでいました。特にお気に入りだったのは「バッグ・オネイルズ」で、そこで彼は、スウィングするロンドンのスターたちと交流しました。1965年、ジョンとジョージが二度目のLSDを体験し、リンゴが初めてLSDを摂取したとき、マルはアメリカにいました。この体験は、後にジョンの作品である「She Said She Said」にインスピレーションを与えました。

(参照文献)ザ・ビートルズ・バイブル

(続く)

 

 

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*1:アンソロジー

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*3:アンソロジー

*4:ブライアン・エプスタインの物語、デボラ・ゲラー

*5:アンソロジー

*6:アンソロジー