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映画「YESTERDAY」制作の裏話~エド・シーランは真剣に演技に取り組んだ(432)

「YESTERDAY」に出演したエド・シーラン

1 エド・シーランは真剣に演技に取り組んだ

(1)エドはナイスガイだった

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ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」に出演したエド

映画「YESTERDAY」の裏話を続けます。

実は、エド・シーランが本人役を演じるのは、「YESYRDAY」が初めてではありませんでした。映画「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期(原題:Bridget Jones's Baby)」や「ゲーム・オブ・スローンズ」で、エド本人としてカメオ出演していたのです。著名人がチョイ役で出演することはよくあります。

しかし、「YESTERDAY」で彼が担ったのは、主役である無名のジャックをエド・シーランとして見出し、引き立てていくという大切な役どころでした。これは、過去の出演とは比べ物にならないほど重要で、より多くのセリフを覚える必要があり、セットでより多くの時間を費やし、より多くのリハーサルを行うことを意味しました。

実際に現場でシーランと仕事をするのはどんな感じだったのでしょう?主演のヒメーシュ・パテルは、このシンガーソングライター兼俳優を非常に高く評価し、次のように語っています。「彼は、とてもリラックスしていて、優しかった。彼のチームは、ウェンブリー・スタジアムを2夜用意してくれたんだ!彼は、愛すべき人だ。ナイスガイで分別のあることでも有名だ。」

(2)現場ではからかわれていた

YESTERDAY Trailer (2019) Ed Sheeran, Lily James - YouTube

ダニー・ボイル監督も、シーランが現場でとても仕事しやすかったことに同意し、次のように語っています。「彼は、ユーモアのセンスに溢れていたが、それはとてもこの作品の中で重要な役割だった。なぜなら、彼は、(俳優としてはプロではないため)明らかに撮影現場でからかわれていたが、彼は、それを跳ね返す位いい仕事をしたし、陽気だった!」

また、脚本家のリチャード・カーティスもこう語っています。「彼はとても礼儀正しくて、面白くて、私たちが彼をからかうことを気にしなかった」。さらに彼は、こう付け加えました。「エドは私の友人なので、彼がいつもやっているようにサッカーをしたり食事をしたりする代わりに、今回の作品ではエドと一緒に遊んだり、ちょっとした仕事をしたりしたような感覚だった」

彼は、エドとは以前から友人だったのですが、たまたま一緒に仕事をすることになったのです。脚本家と監督のコンビは、シーランが演技を「非常に真剣に」受け止め、そのプロセスに多くの時間を費やし、他の俳優たちとのリハーサルにもすべて参加したという事実で一致しました。

エドは、ミュージシャンとしては一流ですが、俳優としては必ずしもそうではないので、撮影現場では色々と苦労したようです。でも、彼は、そんなことを一切気にせず、一生懸命作品の制作に取り組み、素晴らしい演技をしました。私は、彼のビートルズに対する愛情がより演技にリアリティーを持たせたのではないかと思います。

私が好きなのは、ジャックとエドが即興で作曲対決するシーンです。ジャックが「The Long And Winding Road」を作曲し、エドが敗北を認めて「君がモーツァルトなら、僕はサリエリだ」と言い残して立ち去るところがジーンときました。それから「即興で」「Something」を演奏したシーンも良かったですね。

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(3)エドの妻も出演していた

実は、エドの妻もこの映画に出演していたのです。映画の中で、ジャックがエドと一緒にプライベートジェットで彼らのツアー地へ向かうシーンがあります。そのジェット機の客室乗務員は、なんとエドの妻、チェリー・シーボーンだったのです。彼女は、ちょっとした思いつきでキャスティングされたようで、カーティスは、次のように語っています。「そう、彼女はとても素敵だったから、我々は、彼女に出演して欲しいと思ったんだ。彼女は、本当に楽しかった」

 

 

2 カーティスは脚本を執筆中にビートルズを聴くのをやめた

リチャード・カーティス

カーティスがこの作品の脚本を書くにあたって、さぞかし何度もビートルズの曲を聴いたのだろうと思う人が多いかもしれませんが、そうではありません。実際はむしろ逆で、彼は、映画を執筆する過程でビートルズを聴くのをやめなければならなかったと告白しました。

彼は、こう説明します。「奇妙なことに、この映画の脚本を書いている間、ビートルズが消えてしまったという内容で、映画の主人公の立場に自分を置きたかったので、実際にはビートルズを聴くのをやめてしまったんだ。」「でも、時間が経てば経つほど、古いビートルズの素敵な曲を聞くことができて、とても幸せだった。」

ビートルズが存在しない世界」というありえないストーリーを展開するわけですから、彼らの曲を聴いてしまったら現実に引き戻されてしまい、筆が進まなくなることを恐れたんでしょう。

 

 

3 ケイト・マッキノンはセリフを自分で考えた

エージェント役のケイト・マッキノン

カーティスは、ロマンティック・コメディの王様であり、「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」「ラブ・アクチュアリー」「フォー・ウェディング」「葬儀」など、数多くの古典的なロマンティック・コメディの脚本を書いています。

しかし、そんな彼ですら、アメリカのバラエティ番組である「サタデー・ナイト・ライヴ」でコメディアンとして名を馳せた女優のケイト・マッキノンが、撮影現場では自分より面白いセリフを思いつくことがよくあったことを認めています。

彼は、BTTVに次のように語っています。「『サタデー・ナイト・ライヴ』からやって来たケイト・マッキノンとの仕事は、彼女がセリフを作ってくれるという素晴らしいものだった。我々は、一日の終わりに「ケイト、好きなことを言ってくれ」とだけ言ったんだ。そして、彼女のアドリブは、しばしば私が書いたものよりも優れていたんだよ!」

脚本家が考えたセリフよりもいいものを思い付くとは、流石は名コメディアンですね。残念ながら、どのセリフがそれなのかまではわかりません。

4 この映画のタイトルは元々「YESTERDAY」ではなかった

タイトルを「YESTERDAY」とすることに同意したポール

この映画のタイトルを「YESTERDAY」以外に想像するのは難しいですが、映画の元々のタイトルはビートルズの曲にちなんで付けられたことが明らかになりました。カーティスは、次のように語っています。

「当初、この映画は『All You Need』というタイトルになる予定だったが、ダニーはそのアイデアを放棄した。それはむしろ良いことだと思う。なぜなら、この映画はある意味、愛こそすべてであるという結論を下しているし、それが最も重要なことだからだ。」確かに、愛こそすべてであるというテーマは作品で十分に示しているわけですから、改めてタイトルにしなくてもいいとは思いますね。

最終的にはカーティスがポール・マッカートニーに許可を求めた「YESTERDAY」が採用されました。私もこれが一番シンプルで分かりやすいと思います。ポールは、許可を与える際、カーティスに祝福の言葉を伝えましたが、ついでに「スクランブルエッグ」にしてはどうかと提案しました。これは、彼が「YESTERDAY」に決める前に仮タイトルとしてつけていたことで有名ですが、流石にそれはないですよね。ポールお得意のジョークです。

 

 

5 「All You Need Is Love」は採用されなかった

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「Love Actually」で使用された「All You Need Is Love」

カーティスの代表作である映画「Love Actually」ではラストシーンで「All You Need Is Love」が披露されました。そして「YESTERDAY」のテーマが「愛こそすべて」であるとするならば、当然、「All You Need Is Love」も取り上げられるのだろうと、彼のファンは期待したかもしれません。しかし、この作品では採用されませんでした。

カーティスは、このことについて次のように語っています。「私にとって『All You Need Is Love』は、ビートルズがあのスタジオに座ってあの歌を歌った史上初の衛星放送なんだ。『Love Actually』は、あの傑作に関する私の記憶のごく一部にすぎないんだよ」

確かに彼は、「Love Actually」で「All You Need Is Love」を使用しましたが、あくまで彼の中であの曲はビートルズがテレビで演奏した時のものなんですね。もう一度使おうという気はまったくなかったのです。

 

 

6 撮影現場のノーフォークの住民がエキストラとして出演

エキストラで参加したノーフォークの住民

あなたが撮影の日にゴーレストンビーチで水遊びをしていたとしたら、「YESTERDAY」に出演していたかもしれません。ジャックがビルの屋上で演奏する映画の中の主要なコンサートシーンには、実際にノーフォークの海辺の町ゴーレストンのビーチに5,000人のエキストラが参加し、そのシーンのエキストラとして最初に選ばれたのが地元住民だったのです。

その日の撮影を回想して、リチャードは次のように語っています。「ゴーレストンで、有名なビートルズのルーフトップ・コンサートのパロディを演じていたあの日、ヒメーシュは『Help!』を歌っていた。ビーチには5,000人がいて太陽が輝いていて、それは私にとって最も幸せな日の一つだった。」

(参照文献)BT

(続く)

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