★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ビートルズから絶大な信頼を受けていた秘書「愛しのフリーダ」(446)

ビートルズの秘書だったフリーダ・ケリー

1 ビートルズの元秘書

(1)ビートルズの公設秘書

17歳で秘書になったフリーダ

今回はザ・ガーディアン紙でエリザベス・デイが執筆した記事を基にお話しします。ビートルズファンならフリーダ・ケリーという女性の名前を耳にしたことがあると思います。当時17歳だった彼女は、何千人もの10代の女の子たちから羨望の眼差しで見つめられていました。

何と言っても彼女は、ビートルズの秘書であり、ファンクラブを運営していましたから。彼女の役割に関するドキュメンタリー映画の中で、彼女は、長年の沈黙を破り、ついにビートルズについて語ることを決意したのです。

(2)解散後は平穏な生活を送っていた

ビートルズの解散後、フリーダは、平穏な日々を送ってきました。彼女は、毎朝、ウィラルの自宅からバーケンヘッドの法律事務所まで車で向かい、そこで上級パートナーの一人の秘書を務めています。

彼女は、午前9時から勤務を開始し、法的ファイルの処理、アポイントの設定、精神保健法廷との連絡を取り、手紙をタイプしています。彼女の机の上には、誰かが自分のものだと思って取り込まないように、ホチキスには彼女の名前がラベリングされています。彼女はここで21年間働いています。ビートルズの元秘書だったことは一切明かさず、ごく普通の事務職員として勤務しています。

 

 

2 映画「愛しのフリーダ」で脚光を浴びた

(1)裏方から表舞台へ

www.youtube.com

映画「愛しのフリーダ」のトレーラー

2013年英米合作の映画「Good Ol' Freda(邦題:愛しのフリーダ)」が公開された時点で68歳だったフリーダは、思いがけず自分が注目の的になっていることに気づき、不思議に思いました。「それはね」と彼女は軽く首を振りながら言いました、「誰が秘書の話なんか聞きたいなんて思う?ってことよ」

彼女がそう思うのも無理はありません。ビートルズのメンバーじゃありませんし、ニールやマルみたいに常に彼らと一緒にいたわけでもありませんから。ただ、こんな特別な秘書はそうザラにはいないでしょう。フリーダは、ただの年配の秘書ではなく、1962年から11年間、ビートルズの秘書として仕事をしてきた唯一の存在です。

(2)タイトルの由来

ちなみに映画のタイトルに含まれる「Ol'」は、英語のスラングで「old」を意味します。この場合、「old」は文字通り年齢を指すのではなく、親しみや愛情を表現するために使われます。したがって、「Good Ol' Freda」は、邦題のとおり「愛しのフリーダ」という意味になるのです。彼女は、ビートルズとそのファンに対する愛情と尊敬を持って仕事をしていました。

この映画のタイトルは、ビートルズが毎年ファンクラブの会員向けに制作していたレコードの1963年版に由来しており、その中でジョージがフリーダに感謝の意を表し、全員が声を揃えて「グッド・オール・フリーダ!」と叫ぶ場面が収録されています。メンバー全員が、いかに彼女への敬意と感謝の気持ちを持っていたかをよく表しています。下の動画に出てきますが、ほんの一瞬なのでよく耳を澄まして聴いてください。

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3 ビートルズから絶大な信頼を得ていた

(1)「世界で最も羨望の的になった女の子」

オフィスで電話に応対するフリーダ

彼女は、ドキュメンタリー映画の主人公としてスポットライトを浴び、この中で20世紀で最も有名なバンドの魅力的な舞台裏を垣間見せます。ビートルズの「真実の」物語を伝えることに費やされてきた何㎢もの印刷物と何kmもの映像があるにもかかわらず、彼女は、これまで一度も自らの体験談を公表したことはありませんでした。

しかし、17歳から彼らのために働いている間、彼女は、彼らの側近の一員となり、彼らの驚くべき名声が高まっていくところを直接目のあたりにしました。彼女の職務には、ビートルズのマネージャーであるブライアン・エプスタインの下で働き、ファンクラブを管理することが含まれていました。

バンドの成功の絶頂期に新聞の見出しは彼女を「世界で最も羨望の的になった女の子」と呼びました。それはそうでしょう。彼女は、バンドに在籍していた間、ずっと世界的なスーパースターであるバンドに関わり続けた数少ない従業員の一人でしたから。そして、2023年10月現在で彼女は、生き残った数少ない関係者の一人となっています。

(2)ビートルズの妹

フリーダにキスするジョージ

ビートルズの元広報担当者トニー・バーロウが映画の中で次のように語っています。「フリーダは、ファブ・フォーのために一生懸命働いてきたにもかかわらず、それに値する評価を一度も得ていない数少ない『裏部屋の少年』の一人だ」絶対に表舞台に立つことのない裏方だったのですが、陰で一生懸命にビートルズを支えていました。

彼女自身もリヴァプール出身の少女であり、バンドの背景を理解していました。彼らの家族は、彼女の家から歩いて行ける距離に住んでいました。ジョージは、よく彼女を家まで車で送ってくれました。これだけでもファンからしたら失神してしまいそうなほど羨ましいことです。ポールの継母であるアンジーによれば、「ビートルズは彼女を妹として見ており、(彼らの)家族は彼女を娘として見ていた」とのことです。フリーダがビートルズから家族同然の扱いを受けていたことがわかります。

 

 

4 ビートルズ解散後

(1)思い出の品々はファンにプレゼントした

リンゴ夫妻とフリーダ(2012年)

年月が経つにつれ、彼女には本を書くというオファーが6、7件ありましたが、お金のために自分の思い出を売るのは適切ではないと感じたと語っています。フリーダは、かなりの数のビートルズとの思い出の品々を所有していましたが、1970年にビートルズが解散した後、そのほとんどをファンにプレゼントしました。「振り返ってみれば、私はおそらく億万長者になっていたでしょうね」と彼女は語っています。

もちろん、それらの品々をオークションにかけていれば、高値で売れて彼女は大金持ちになっていたでしょうが、そんな気持ちはサラサラなかったのです。やはり、長年ビートルズを支えてきたスタッフは、彼らのことをダシにして儲けようなどというセコいことは考えないんですね。

(2)ビートルズを売り物にしなかった

現在、彼女の屋根裏部屋には保管箱が4つだけ残されており、それぞれの箱には彼女が書いたビートルズの同人誌がぎっしり詰まっています。彼女は、結婚式の日にメンバーそれぞれが彼女に送った電報と、ジョージの髪の束が入ったカールした封筒も保管しています。「私は、お金に執着しているわけじゃないの。生きていけるだけのお金があればいいんだから」と、小雨の降る金曜日にバーケンヘッドでデイの取材に応じたとき、フリーダは言いました。

彼女は、お金目当てに回顧録を書いたり、ビートルズに関連するものを売却したりというようなことはしていません。その辺りは、本当に彼らのことを大切にしようという思いで溢れているんでしょう。もっとも、ファンにとっては、彼らに関連するものは何でも欲しいという気持ちがありますからね。

ただ、彼女にお金を儲けたいとか名声を得たいとかなどという野心はなくても、彼女の記憶や物品などをそのまま埋もれさせてしまうのは社会的損失になってしまいます。貴重なビートルズに関連する記憶や品々は、彼女の中に留めておかずなんらかの形で世の中に出してもらいたいですね。例えば、リヴァプールにあるビートルズ記念館である「ビートルズストーリー」に寄付するのも一つの考えだと思います。もっとも彼女は、そんなことくらいはすでに考えているのかもしれませんが。

 

 

5 秘書だったことをひけらかさなかった

現在のフリーダ

取材したデイのレポートです。「彼女は、仕事の邪魔にならないように昼休みに会う手配をしてくれ、邪魔されずに話せるようオフィスの個室を用意してくれた。私たちは、机を挟んで向かい合って座った。片側には電話会議用の電話があり、もう一方には冷水の入ったプラスチックカップがあった。カーペットは、全国の郊外オフィスによく見られる一般的なグレーだ」ごく普通のオフィスですね。

「(フリーダがビートルズの秘書であったことを)ここのスタッフの半分は知らないのよ」と彼女は認めました。「そのことについて話して歩き回ったりしないわよね? バス停でバスを待っている女性を呼び止めて『こんにちは、私は、ビートルズのスタッフとして働いていました』とは言わないでしょ」

そりゃ、よほどの目立ちたがり屋でもなければそんなことはしないでしょう。彼女は、一切そんなことはひけらかしませんでした。

「本を書きたいと思ったことは一度もないわ。すでにたくさんの本が世に出ているもの。それに、多くの人たちは、私が何かしらの話題を持っているだろうといつも期待してくれるけど、私はそんなものはないって思っていたの」デイが、それは彼女がまだバンドへの忠誠心を抱いているからなのかと尋ねると、彼女はうなずきました。彼女は、ずっと沈黙を守ることがその証だと信じていたのでしょう。しかし、彼女がビートルズへの忠誠心を貫こうとしても、時代がそれを許してくれなかったのです。彼女は、やがて否応もなく歴史の表舞台に立たざるを得なくなりました。

それが彼女を主人公にした映画のお話なんですが、長くなるので次回にご紹介します。

 

 

(参照文献)ザ・ガーディアン

(続く)

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