★ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログ★

ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

(194)ヘヴィメタルという新たなジャンルを開拓したビートルズ

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1 Hey Judeのお話の続き

(1)ユダヤ人からのクレーム

話が飛び飛びになってすいません💦ポールのお話の続きです。彼の来日公演があるので、書き残していたことを書いておきます。

「バスの乗客がその広告を見て好奇心をそそられた。そしたら、ユダヤ人の男性から『Hey Judeなんてふざけたことを書きやがって、どういうつもりだ?』と恐ろしい抗議の電話がかかってきた。ヒトラーの時代にナチスが『Juden raus!(ユダヤ人は出ていけ!)』という貼り紙を街中に貼っていたんだ。僕は、そのことと関連付けるつもりは全くなかった。曲を作る過程で、ファーストネームとしてこの言葉を思いついただけなんだ。」

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「彼は、怒り狂っていて、僕に罵声を浴びせかけてきた。それで僕は、慌てて『ちょっと待ってください』と言った。そしたら、彼は『今から俺の息子をお前の所へ行かせて、お前をぶちのめしてやる。』と言うんだ。僕は『落ち着いてください。あれは曲のタイトルなんです。』と必死に説明した。それで、彼は、落ち着きを取り戻してくれた。」

 「おかげであることが突然、とんでもないトラブルを引き起こす原因になるということを学んだよ。彼の家族が実際に迫害を受けたんだ。どうにか彼の息子にぶちのめされる目には遭わずに済んだけどね(笑)」

その男性にしてみると「おい、ユダヤ野郎」と言われた気がしたんでしょうね。第二次世界大戦は20数年前の出来事で、ナチスユダヤ人を迫害した忌まわしい記憶がまだまだ残っていたんです。

(2)ツアーで心がけていること

「僕が新しいツアーを始める時は、全ての曲を新しく塗り変えるつもりで臨む。『Hey Jude』を演奏する時はとても楽しくて、観客に曲を渡すんだよね。これはとても素晴らしいことだけど、そこにコミュニティーを感じるんだ。ライヴ会場は、薄暗くて一人一人の観客がそれぞれ警備員によって分離されている。」

「観客がみんな一緒に『Hey Jude』を歌っているのを見るのは、とてもファンタスティックなことだ。僕はそれを見るととても幸せになるから、ずっとショーを続けているんだ。」

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ビートルズ時代とソロ時代の曲を合わせただけでも大変な数のストックがあるにもかかわらず、ポールがツアーの時に決して手を抜いていないということが良く分かりますね。50年以上前の曲であろうと最近の曲であろうと、初めての曲のように一から演奏しているんです。

彼ほどのベテランになると安全運転しても良さそうですが、それは、彼のプロ意識が許さないんですね。そして、「Hey Jude」で観客みんなが大合唱するのが、彼にとってはとても幸せな瞬間なんです。

 

2 Helter Skelter

 

(1)作品を作ったきっかけ

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「ある日ラジオを聴いていると、人々がこの曲がヘヴィメタルの先駆けだと言っていることが分かった。この曲を作ったきっかけは、 僕がある音楽雑誌を読んでいると、The Whoがとてもヘヴィーな曲を作り、ピート・タウンゼントが最も汚く、最も騒々しい曲だと語っていたのを見たことだ。」

「僕は、まだその曲を聴いたことがなかったし、それが具体的にどの曲なのかも未だに知らないんだけど、とても嫉妬を覚えた。それで、スタジオに行ってメンバーにThe Whoよりもっと汚くて騒々しい曲を作ろうと持ちかけた。僕たちが作った曲を振り返ってみると、この2曲以外にこういった優れた形式の曲が入ったレコードを制作したアーティストはいなかったと思う。」

ポールが語ったThe Whoの曲とは、「恋のマジック・アイ」(I Can See for Miles)だと言われています。ただ、改めて聴いてみると、それほど騒々しい曲ではないですよね(^_^;)むしろ、幻想的な美しい曲だと思います。

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ポールがThe Whoに対して、ライヴァル心をメラメラと燃やして作り上げた結果、本当にヘヴィメタルのような曲が完成しました。彼のライヴァル心が作り上げた産物かもしれませんが、それが後のヘヴィメタルというジャンルの創造につながったとすれば、それはそれで素晴らしいことだと思います。

(2)ヘヴィメタルの先駆け

「この後に出したシングル3曲は、同じジャンルの曲だった。その頃、僕たちはまだ若くて、スタジオにずっと座って退屈そうにギターを弾くなんてありえないと思っていた。だから、どんなことであろうと、違うことにチャレンジしようと思っていた。そんな僕たちの姿勢の中で生まれた『Helter Skelter』は、とても粗削りで騒々しい曲だ。」

「僕たちは、何度もテイクを重ねた。大変だったのはリンゴだよ。最後に彼が『指にマメができちまったよ!』と叫んだのが聞こえた(このセリフは、ステレオ・ヴァージョンではそのままこの曲に収録されています)。彼は、とてもハードに騒々しくドラムを叩いていたからね。」

ヘヴィメタルのバンドは、この曲を聴いてどう思ってるんだろうな。ロックンロールを騒々しく演奏するというのが、基本的な彼らのスタイルだからね。」

AC/DCがずっとこのスタイルで演奏してるよね。バンドが、エレキギターのプラグを接続して好きなように音量を上げると、とてもクールな気分にさせてくれる。そのフォームやアイデアの基礎は、僕たちが作ったんだということが分かる。」

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ヘヴィメタルは、もはやロックの一ジャンルとして完全に確立しています。そして、図らずも「Helter Skelter」がその先駆けとなったことは、当時のロックシーンの事情を考え合わせると間違いないでしょう。

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ビートルズのすごいところは、同じアルバムでこの曲の前のジョンの「Sexy Sadie」、後のジョージの「Long Long Long」という曲が静かなバラードだということです。「これが同じバンドなのか?」と思っちゃいますね(笑)

 

3 Blackbird

(1)アメリカの公民権運動

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「この作品は、60年代の公民権運動を巡る問題を取り上げたニュース、特にアラバマ州にあったリトルロック高校事件を見ながら、座ってアコースティックギターを弾きながら作った。その問題がずっと頭の中にあって、人種差別と戦っている人たちに少しでも希望を与えられるような曲を作れたらいいなと考えた。」

「イギリスでバードというと、少女という意味もあるんだ。それで、黒人の女性をブラックバードに置き換えた。さあ、傷んだ翼を広げ飛び上がって自由になる時が来たよ、というようにね。」

このお話は、私も過去にこのブログで取り上げました。60年代は、ビートルズが脚光を浴びた時代でもありましたが、アメリカでは公民権運動やヴェトナム戦争が大きな社会問題となっていました。

60年代は、若者たちが大人たちに対して強く反抗した時期でした。特に、アメリカは、ケネディ大統領の暗殺、ヴェトナム戦争の泥沼化、核戦争の恐怖、深刻な東西冷戦など世界の終末を予感させるような暗いニュースばかりでした。そこへビートルズが登場して人々に希望を与えたのです。  

(2)ビートルズが人々に希望を与えた

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「音楽を仕事にしていて素晴らしいと思うことは、たくさんの人が僕たちの曲を聴いてくれて、その曲に込められたメッセージを真剣に受け止めてくれることだ。私は、ビートルズがとてもポジティヴな曲をよく作っていたことをとても誇りに思う。たとえ、どんな内容であっても、聴く人を元気づけるような曲を作っていたんだ。Let It Be, Hey Jude, Black Birdとかね。」

「僕が好んで作ったのは、人々に希望を与えるようなメッセージだね。問題を抱えている人たちが、それを解決できるような何らかのヒントを得られる曲だ。人々がそれを聴いて、ああ、私一人じゃないんだと思って、彼らの心の傷を塞ぐような曲だよ。」

(3)ポールも曲にメッセージ性を込めた

ジョンに比べてポールは、曲にメッセージ性を込める傾向があまりなかったように受け取られがちですが、必ずしもそうではなかったということですね。Hey Jude, Let It Be のようなメジャーなヒット曲にも、実は、人を勇気づけるメッセージ性が込められていたのです。

前期のビートルズは、ラヴソングがほとんどでした。しかし、後期になるとジョンは、どちらかといえば自分自身を見つめたり、人や愛とは何かと深く思考するような曲、ポールは、人を明るい気分にさせるような楽天的な曲を作る傾向になりました。もちろん、二人ともそればかりではありませんでしたが。

50年以上の長きにわたり、世界中のバンドやソロミュージシャンが、彼らの楽曲を演奏し、彼らのレコードやCDその他のグッズを収集し、彼らに関する著作物を読み、彼らについて語っています。

彼らが50年前に出したアルバムが「サージェント・ペパーズ」がリメイクされリリースされると、たちまちチャート・トップを飾りました。「ホワイト・アルバム」もそうなるでしょう。こんなおばけみたいなアーティストは他に類を見ません(^_^;)

ということで、満を持して「ホワイト・アルバム」のお話に写りましょうか?あ、その前にポールの来日公演のお話ですね。

 

(参照文献)GQ

(続く)

 

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