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ビートルズを誰にでも分かりやすく解説するブログです。メンバーの生い立ちから解散に至るまでの様々なエピソードを交えながら、彼らがいかに偉大な存在であるかについてご紹介します。

ビートルズとロックの革命~「映像の世紀バタフライエフェクト」(456)

ビートルズとロックの革命 - 映像の世紀バタフライエフェクト - NHK

1 改めて知るビートルズが世界に与えた影響

(1)映像の世紀バタフライエフェクト

子どもの頃のスティング

今回は、2023年12月30日にNHKで放送されたテレビ番組「映像の世紀バタフライエフェクト」で紹介されたことについて記述します。ファンの皆さんにとっては、すでによく知っていることが多かったとは思うのですが、あまりよく知られていなかったことや当時の映像などもありましたのでご紹介します。放送を見逃した方はもちろん、観た方も振り返って味わってみてください。

スティングは、「Love Me Do」を聴いたときのことをこう振り返っています。「初めてビートルズを聴いたのは中学生の時だった。水泳プールの更衣室にいた友人と、お互いの下半身をタオルでバシバシ叩いてふざけていた。部屋の隅のラジオから『Love Me Do』が流れてきた途端、僕らは馬鹿騒ぎをやめた。それは革命的とさえ言える刺激的な体験だった」中学生にもビートルズの音楽のユニークさが伝わったのです。

(2)徴兵制の廃止

あまり注目はされていない出来事だと思いますが、イギリスで徴兵制が廃止されたことがビートルズに幸運をもたらしました。ポールは、こう語っています。「ビートルズの本当に凄いところは、すんでのところで徴兵から逃れられたことだ。生まれるのがあと2〜3年早ければ、全員陸軍に入隊させられていたわけで、僕たちはどこかの駐屯地に配属されて出会うことすらなかったかもしれない。本当にラッキーだった。僕らには、自由と60年代が味方についていたんだ」

 

 

2 若者たちを大人の束縛から解放した

ピンク・フロイド

レッド・ツェッペリンジミー・ペイジは、こう語っています。「ビートルズが出てくる前と後とでは状況が全く変わっていた。作曲なんて夢にも思わなかった奴らが俺もいっちょやってみるかと思うようになったんだ」また、ピンク・フロイドのロジャー・ウォータースはこう語っています。「自分たちの人生や感じたことを書いてもいいんだ。自分たちはありのままに表現してもいいんだと学んだ。俺たちは自由なアーティストであり、その自由には価値があるのだと」

ミュージシャンだけではありません。イギリスの作家ニック・コーンはこう回想しています。「私がニューキャッスルからロンドンに出てきた1963年、ビートルズは『She Loves You』を発表し、世の中は突然可能性に満ちて輝き始めた。戦後の禁欲的な空気が一変した。徴兵制も終わり、初めて若者が自分の人生を自分で決められるようになったんだ」第二次世界大戦後に誕生したベビーブーマーたちが大人になり、ビートルズに影響を受けて自己主張し始めたのです。

 

 

3 音楽とユーモアで世界を変えた

(1)階級の壁を壊した

ミニスカートを世界中に流行させたツイッギー

労働者階級の若者は、ビートルズに背中を押され、新しい文化を生み始めました。その代表例がミニスカートです。そのブームの火付け役となったのは、モデルのツイッギーでした。彼女もビートルズと同じ労働者階級の出身です。彼女はこう語っています。「ビートルズが階級の壁を壊した。育った環境なんて関係ない。才能さえあれば成功できるの」ビートルズは、階級社会にあからさまに反抗するのではなく、音楽とユーモアでその壁を軽やかに飛び越えたのです。

ビートルズと同じく英王室のショーに出演した作曲家バート・バカラックは、こう語っています。「あの夜のビートルズのようなバンドは見たことがなかった。彼らには特別な何かがあってそれを説明するのは難しい。しかし、私は忘れない。この4人のイギリス人は、彼ら自身も知り得ない世界に向かっていた」彼もすでに大人の一人でしたが、ビートルズがとてつもない才能を持っていて、これからの世界を変えていくことを見抜いていたのです。

(2)女性を性差別から解放した

キャロル・キング

全米を熱狂させた「エドサリヴァン・ショー」を観たキャロル・キングはこう語っています。「演奏は絶叫するファンでほとんど聴こえなかったけど、ビートルズが1曲目を演奏し終えた頃には、アメリカ中のティーンエイジャーは髪の毛を伸ばし、ギターを弾こうと決意していた。インタビューの時の4人の無礼な受け答えは、多くの若者に『彼らみたいになりたかったんだ』『奴らは俺たちの考えていたことを口に出している』と気づかせた」ビートルズは、記者たちの意地の悪い質問にも巧みなユーモアで切り返し、若者たちの喝采を浴びていたのです。

新人監督ロバート・ゼメキスは、ビートルズに夢中になる女性を描いた映画「抱きしめたい」を世に送り出しました。当時は、アメリカでも女性の幸せは結婚にあると思われていたのですが、それだけが幸せじゃないとビートルズが気づかせてくれたのです。

アメリカの作家であるバーバラ・エーレンライクらの言葉です。「ビートルマニアは60年代最初の女性を主人公とした大衆の爆発だった。自制心を捨てること。叫び、気絶し、暴徒となって颯爽と駆け回ることは意識的ではないにせよ、結果的に女性ティーン文化に対する性的抑圧や性別のダブルスタンダードに抗議することとなった。それは女性の性革命の最初のそして最も劇的な蜂起だった」

また、レディー・ガガもこう語っています。「ビートルズがいなかったら、女性が廊下で カーディガンを脱ぐことはなかったと思う。彼らこそが女性に性革命をもたらした責任者だった」

ビートルズに熱狂した若い女性たちは、それまで女性は慎み深くあるべきだという伝統的な価値観に縛られていましたが、それから解き放たれたのです。

(3)人種の壁を壊した

モハメド・アリビートルズ

ビートルズは、長らく白人と黒人との間に横たわっていた人種の壁も壊しました。彼らは、アメリカでヘビー級のチャンピオンとなろうとしている若きカシアス・クレイモハメド・アリ)と無邪気にじゃれ合ったのです。

黒人ジャーナリストのカール・チャンセラーの回想です。「私たちの不満や願望を代弁する存在だったモハメド・アリとの共演は私の中でビートルズをよりクールな存在にした。それまで白人は私の世界の外の存在だった。ビートルズのおかげで白人と黒人の間にも共通項があると知ることができたのだ」

黒人ミュージシャンのスモーキー・ロビンソンは、こう語っています。「ビートルズは、黒人の音楽を聴いて育った。黒人音楽が大好きだと言ってくれた初めての白人だった。他にそんなことを言ってくれる人は過去に一人もいなかった。最高の賛同を受けた気持ちだった」

ビートルズに認められたことを喜んだスモーキー・ロビンソン

 

 

4 アーテイストとしても革命を起こした

オアシス

アルバム「サージェント・ペパー」は、音楽界に革命をもたらしました。ビートルズは、インド音楽クラシック音楽など、ありとあらゆる音楽的要素を取り込み芸術へと高めました。その中の一曲である「A Day In The Life」は、もはやライヴでは再現しえない複雑で高度な音楽表現となっていたのです。

この曲の衝撃的なエンディングを聴いたキング・クリムゾンロバート・フリップの言葉です。「ア・デイ・イン・ザ・ライフの最後の信じられないような結末に、ああ、私は衝撃を受けた。その一夜がまさに転機となった。もはや不動産管理を学びに大学に行くことはできないとはっきりした」この一曲が、若きフリップにプロミュージシャンになるという決意をさせたのです。

オアシスのノエル・ギャラガー も同じように語っています。「サージェント・ペパーは、俺にとって特別なんだ。俺は5月29日に生まれ、アルバムは6月1日にリリースされた。生まれたての俺が病院にいた時、このアルバムが病院のラジオでかかっていたんだ」

ビートルズがインドへ瞑想の修行に行ったことも多くの若者たちに衝撃を与えました。日本のイラストレーターである横尾忠則アップルコンピュータの創業者であるスティーブ・ジョブズらもインドへ向かったのです。

 

 

5 スティーブ・ジョブズビル・ゲイツ

ビートルズから影響を受けたスティーブ・ジョブズ

ジョブズはこう語っています。「インドの田舎にいる人々は、僕らのように知力で生きているのではなく直感で生きている。そして、彼らの直感はダントツで世界一というほどに発達している。直感はとてもパワフルなんだ。この認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた」ビートルズがインドへ行かなければ、アップルコンピュータも存在しなかったかもしれません。後に彼はiPodを発明し、それをプレゼンした時にビートルズの楽曲を使用しました。

ビートルズは、4人がお互いのマイナス面を補い合っていた。うまくバランスが取れていて全体としては個々を足した以上のものとなる。ビジネスも同じだ。大きなことは一人ではなし得ない。人と人が組みチームとなってこそ偉業を成し遂げられる。ビートルズの曲にこんな一節がある。『僕ら二人には目の前に広がる長い道よりもっと長い思い出がある。それは僕ら二人にとって真実だ」これは「Two Of Us」の歌詞です。

彼の最大のライヴァルだったマイクロソフト社の創業者であるビル・ゲイツも同じくビートルズファンでした。コンピュータ界の巨人二人は、まるでジョンとポールのように切磋琢磨しながら、新しい世界を切り開いてきたのです。ゲイツは、こう語っています。「私たちはビートルズが大好きだった。私たちの関係を表すのに、ビートルズの曲『Two Of Us』を引き合いに出したことがある。私たちが共に競い合い一緒に仕事をしてきた道のりは、まるでこの歌のようだねと」ビートルズというバタフライの羽ばたきが人種差別をなくし若者を解放し、全世界を激変させたのです。

スティーブ・ジョブズビル・ゲイツ

(続く)

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